例 3) 中等度催吐性リスクの抗がん薬を使用する場合の、遅発性の悪心・嘔吐の予防


また,軽度・最小度催吐性リスク抗がん薬による遅発期の悪心・嘔吐に対する制吐療法については,同様にエビデンスはなく,実臨床では患者の症状に応じて適切な対応が必要である。


薬物相互作用 (27―がん化学療法における制吐剤の 薬物 ..

今回,推奨の根拠となるエビデンスがない制吐療法については,患者の価値観・好みも考慮のうえ,実臨床で行われている制吐療法について記述した(→ 参照)。

軽度催吐性リスク抗がん薬の急性期悪心・嘔吐についての明らかなエビデンスはないものの,実臨床では,デキサメタゾン3.3~6.6 mg 静注(または4~8 mg 経口)の単剤投与,5-HT3 受容体拮抗薬の単剤投与,状況に応じて,ドパミン(D2)受容体拮抗薬の投与が広く行われている。最小度催吐性リスク抗がん薬の急性期の悪心・嘔吐に対する予防的制吐療法は基本的に不要とされている。

[PDF] 2016年04月 『抗癌剤の催吐性リスク分類と制吐療法について』

悪心・嘔吐に限りませんが、患者さんに治療日誌を書いてもらい、ご自身の体調管理に活用してもらうことを勧めます。ただし、治療日誌は書く人はきちんと書きますが、書かない人は書かないので、患者さんには治療日誌の有用性を説明します。診療時の短い時間内に医師に的確に症状を伝えるには、治療日誌が必要になることを伝えると、患者さんも治療日誌の活用に前向きに取り組んでくれると思います。

高度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として,5-HT3 受容体拮抗薬とNK1 受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの3 剤併用療法に加えて,オランザピンを追加・併用することを強く推奨する(→ 参照)。ただし,本邦では糖尿病患者へのオランザピン投与は禁忌であるため,糖尿病患者においては従来の3 剤併用療法を行う。

【1 日目(急性): 5-HT3 受容体拮抗薬 + デキサメタゾン, 2 日目~(遅発性): デキサメタゾン】

患者さんに、「抗がん薬による悪心・嘔吐の発現は7日くらいで消失することが多い7)こと」を説明すると、ゴールがみえてくるので気持ちが楽になるようです。悪心・嘔吐の原因は抗がん薬だけでなく、腸閉塞や脳転移、カルシウム値の上昇などの電解質異常、尿毒症、腎臓疾患、心因性などさまざまありますので、原因についても考慮した看護が必要になると思います。

吐き気と嘔吐(N&V)の予防と制御は、がん患者の治療における最優先事項である。化学療法誘発性のN&Vは、がん治療の中で最も苦痛をもたらす急性副作用の1つである;化学療法誘発性のN&Vは最大80%の患者に起こり、患者のQOLに大きな影響を及ぼしうる。またN&Vにより、以下の状態になることもある:

(day 1)。 シクロホスファミドやドキソルビシンなど遅発性

最小度催吐性リスク抗がん薬に対する制吐療法についてはさらにエビデンスが乏しく,予防的制吐療法を推奨するエビデンスはないが,必要時には適切な制吐療法を行う。

高度催吐性リスク抗がん薬に対する予防的制吐療法については,前版一部改訂版(ver.2.2)では,NK1 受容体拮抗薬,5-HT3 受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの3 剤併用療法を推奨グレードA として提示しており,オランザピンの追加・併用については,「本邦における推奨用量,使用方法についてはまだ検証段階であるため,適切な患者に慎重に投与することが望まれる」としていた。一方,NCCN ガイドライン2017,ASCO ガイドライン2017 では,オランザピンを含む4 剤併用療法が推奨として追加された。今回,本邦において実施されたランダム化第Ⅲ相比較試験が報告され,より適正な制吐療法およびそのオプションの提示が必要と考えられ,本CQ を設定した。


☆遅発性悪心・嘔吐:抗がん薬投与後 24 時間以降に発現します。 ☆突出性悪心 ..

抗がん薬の催吐性リスクの適正評価は重要で,リスクに応じた制吐療法の標準化が必要である。軽度催吐性リスク抗がん薬に対する制吐療法のエビデンスは国内外において認められず,NCCN ガイドライン2023 ver. 2 ,MASCC/ESMO ガイドライン2016 ,ASCO ガイドライン2020 においても推奨できるものはないとされ,前版でも推奨できる制吐療法は挙げていなかった。しかし,実臨床では軽度催吐性リスク抗がん薬に対する予防的制吐療法は必要と考えられており,患者の状態を評価しながら制吐療法を行うべきである。

遅発性の悪心・嘔吐:投与後24時間~120時間程度持続する悪心・嘔吐

催吐性の高いレジメンの場合、悪心・嘔吐の発生時には制吐薬を服用するよう、事前に指示することがあります5)。がん治療といえば「脱毛」と「吐き気」というイメージを患者さんも持っているので、吐き気で食べられなくなることを当たり前と感じ、患者さんによっては吐き気があっても制吐薬を服用せず、「吐き気があってつらかった」と後から伝えてくることがあります。

また,AC療法においてはデキサメタゾンの投与期間を短縮可能(遅発期のCR ..

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、吐き気と嘔吐(N&V)の病態生理および治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

がん治療の後、数日間服用します。 がん治療による吐き気・おう吐

吐き気とは、咽頭背部および/または上腹部に感じる波のように押し寄せる不快な感覚という主観的現象であり、結果として嘔吐を生じうる。嘔吐とは、胃、十二指腸、または空腸の内容物が口腔を経由して強制的に排出されることをいう。むかつきとは、吐物の排出を伴わない胃および食道の嘔吐運動をいう;空吐きとも呼ばれる。

には、遅発性悪心・嘔吐の予防のために2~4日目にデキサメタゾン投与が提案さ

近年,中等度催吐性リスク抗がん薬に対して,5-HT3 受容体拮抗薬,デキサメタゾンに加え,NK1 受容体拮抗薬の3 剤を併用することが増えている。高度催吐性リスク抗がん薬に対するNK1 受容体拮抗薬を含む3 剤併用下におけるパロノセトロンと第1 世代5-HT3 受容体拮抗薬との比較試験では,主要評価項目である120 時間までのCR 割合に有意差がなかったことを考えると,中等度催吐性リスク抗がん薬に対してNK1 受容体拮抗薬を用いる場合には,第1 世代の5-HT3 受容体拮抗薬を選択することも許容される。

注) アプレピタントを使用しない場合は、 1日目のデキサメタゾ

吐き気と嘔吐(N&V)を制御する神経生理学的機序の理解に進歩がみられる。N&Vはいずれも、中枢神経系により制御または媒介されるが、その機序は異なる。吐き気は、自律神経系を介して伝達される。嘔吐は、以下の部位からの求心性刺激の輻輳を含む複雑反射における刺激の結果起こる:

抗がん薬投与後、数時間以内に出現。 ▫ 遅発性下痢(腸管粘膜障害性下痢)

CTZでみられる神経伝達物質(セロトニン、サブスタンスP、ドパミンなど)、嘔吐中枢(孤束核に位置すると考えられる)、消化管の腸クロム親和細胞は続いて遠心性インパルスを放出し、腹部の筋肉組織、唾液中枢、呼吸中枢へと伝達される。このようなN&Vの症状を引き起こす多数の経路の相対寄与は複雑で、薬物のさまざまな催吐性(内因性催吐および緩和要因[すなわち、投与量、投与経路、曝露期間])および催吐性プロファイル(すなわち、発現までの時間、症状の重症度、および持続期間)を説明する仮説となる。

遅発性悪心、嘔吐:抗悪性腫瘍剤投与開始後24~120時間までに発現する悪心、嘔吐 ..

パロノセトロンの予防的制吐効果を検証したランダム化比較試験は多数あり,メタアナリシスも行われている。中等度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防に関するメタアナリシスの結果,パロノセトロンの制吐効果は第1 世代5-HT3 受容体拮抗薬を上回っていた。また,高度催吐性リスク抗がん薬と比べて,中等度催吐性リスク抗がん薬に対するパロノセトロンの制吐効果は第1 世代よりも明らかに良好であった。このため,中等度催吐性リスク抗がん薬に対してデキサメタゾンに併用する5-HT3 受容体拮抗薬は,パロノセトロンを選択することが強く推奨される。

[PDF] 選択的NK1受容体拮抗型制吐剤 アプレピタントカプセル

嘔吐により胃液・腸液が減少し、カリウム値が低下すると不整脈が現れることがありますので、カリウム値には注意が必要です8)。患者さんが頻回に嘔吐している場合は、内服でのカリウム補充は難しく、点滴で補正する必要があるため、入院加療が選択されることもあります。

デキサメタゾンの3剤併用療法だ。 オランザピン5mgを併用すると嘔吐 ..

化学療法を受けている患者のほとんどに吐き気と嘔吐(N&V)のリスクがあるが、その発症、重症度、誘因、および期間はさまざまである。腫瘍の位置、使用される化学療法薬、放射線曝露など腫瘍関連、治療関連、および患者関連の因子すべてがN&Vに寄与する。

日本語 (1)急性(0-24時間)および遅発性(24-120時間)嘔吐のCR率

このような状況において,中等度催吐性リスク抗がん薬に対する予防的制吐療法において,どの5-HT3 受容体拮抗薬を用いるべきか解説する。

化学療法を受けている、または受ける予定の小児および若年(18歳未満)の予期性、急性、および遅発 ..

オランザピン10 mg 追加・併用の有用性を検討したランダム化比較試験2 編,をもとに評価した。オランザピン追加・併用群の高血糖発現頻度は,それぞれGrade 3 以上0.5%,Grade 2 以上1.7%と低かった。メタアナリシスでは出版バイアスは認められず,オランザピン非追加・非併用群と有意差はなかった〔RD 0.01(95%CI:-0.01-0.02,p=0.37)〕()。一方,オランザピンの至適用量を検討したランダム化第Ⅱ相比較試験(5 mg と10 mg)では,いずれの群においても高血糖発現はGrade 1 のみで,頻度は5 mg 群5.2%,10 mg 群4.1%と低かった。

吐き気・嘔吐は、起こる時期によって急性、遅発性、予測性の3つに

5-HT3 受容体拮抗薬は,急性期悪心・嘔吐の予防において重要な制吐薬であり,第1 世代のグラニセトロン,オンダンセトロン,ラモセトロンなどのほか,より半減期が長い第2 世代のパロノセトロンがある。前版までは,対象となる抗がん薬の催吐性リスクや個々の患者のリスク因子に応じて,どちらを選択すべきか,薬価の問題を含め議論が続いていたが,薬価については後発品の登場により両者の差が小さくなった。また,NK1 受容体拮抗薬の登場により,中等度催吐性リスク抗がん薬に対する予防的制吐療法も変わってきた。