医療用医薬品 : ジスロマック (ジスロマック点滴静注用500mg)
薬を飲んでいるとワクチンが効かないのではないかというご心配は、予防接種をしているとよく受ける相談です。
ワクチンは生ワクチンと不活化ワクチンに大きく分けられます。生ワクチンは生きた細菌やウイルスの毒性を弱めたもの、不活化ワクチンは細菌やウイルスを殺し免疫を作るのに必要な成分を取り出し、毒性をなくして作ったものです。
生きた細菌が入っていれば、確かに抗生剤がワクチンの細菌を殺してしまう可能性はあるのですが、小児用肺炎球菌、四種混合、ヒブはすべて不活化ワクチンなので生きた菌は入っていません。免疫を作るのに必要な成分だけがはいっているので、これらは抗生剤を飲んでも効果が無くなったり薄まったりすることはないのです。
生ワクチンには麻しん風しんワクチン、水痘ワクチン、おたふくかぜワクチンなどがあり、これらには生きたウイルスが入っています。しかし、抗生剤は細菌には効きますがウイルスにはまったく効果はありませんので、接種した後に抗生剤を飲んでも効果に問題はおきません。ただし、川崎病のように大量ガンマグロブリン療法という治療を行うと、一時的にウイルスの抗体が血液中に増加するので、ワクチンの中のウイルスが増えることができず免疫ができないことがあります。そこで、大量ガンマグロブリン療法の後には6か月の間隔をおいてから、生ワクチンを接種することになっています(ただし、BCGとロタウイルスワクチンは生ワクチンですが、大量ガンマグロブリンの影響を受けないので間隔をあける必要がありません)。同じ理由で、重症のウイルス感染症の後には一時的に免疫がつきにくくなることがあるので、病気が治った後1~2週間あけて生ワクチンを接種することが勧められています。また、BCGは生きた結核菌が入っていますが、結核菌には上気道炎や気管支炎に使う抗生剤は効果がありませんので、BCGの後に抗生剤を使うことも、ワクチンの効果という面では問題ありません。
ワクチンの取扱説明書にあたる添付文書には 接種不適当者(予防接種 ..
アジスロマイシン(ジスロマックⓇ)という内服薬が第一選択です。マクロライドという種類に含まれる抗生物質のため、妊娠中も服用することができます。
ジスロマックは一度に250mg錠を4錠内服しなければなりませんが、1回の内服で済みます。
百日咳とは、百日咳菌という細菌による呼吸器の感染症です。百日咳菌が気道に付着すると百日咳毒素をつくりだし、激しい咳発作を起こします。百日咳菌は非常に感染しやすい細菌で、くしゃみや咳をした時に飛び散る飛沫や、患者との接触で広がります。
子どもは母親から百日咳の抗体を受け継いでいません。そのため、ワクチン未接種の乳幼児が百日咳にかかると激しい咳による呼吸困難や二次感染による肺炎の併発など、症状が重くなる確率が高くなります。まれに一時的な呼吸停止(無呼吸)によって死に至ることや脳への感染によって脳炎を起こし、脳の損傷や、知能の発達に遅れが見られる精神遅滞などの重大な障害を引き起こす危険性もあります。
1990年代に、百日咳のワクチンを含む三種混合ワクチンが生後3カ月から接種できるようになり、子どもの百日咳は減少しました。しかし、ワクチンを接種してもその効果は一生ではないため、大人になってから百日咳に感染するケースが目立ち始めています。百日咳は、子どもだけでなく、誰もが感染の可能性があることを知っておきましょう。