【抗菌薬に関する推奨】クループ症候群に対しては抗菌薬を投与しないこと
解説: デキサメタゾンは投与してから30分から2時間で効果を発揮し、その効果は24から48時間持続する。軽症のクループではデキサメタゾン0.15mg/kgと0.6mg/kgでは効果の差を認めないが、中等症以上では効果に差があるとの報告がある。
我が国ではデキサメタゾンエリキシル(0.1mg/ml)が使用されることが多いが、10kgの小児では1回15mlとなり、製剤中には5%のエタノールが含まれているので15mlのビールを飲ませるのと同等のアルコール量になるので注意が必要である。
幼児または小児のクループに対する噴霧吸入プデソニドの通常用量は2mg で
推奨: 小児(生後6ヶ月から5歳)の中等症・重症の喉頭気管支炎(仮性クループ)に対して、臨床症状の改善、入院率の低下を考慮した場合、デキサメタゾン(0.15mg/kg)を経口で単回投与することを推奨する。
皆さんの施設ではクループの子にデキサメタゾンをどうやって内服させていますか?
文献班のメンバーに聞くと、エリキシル製剤にはアルコールが入っているので小児への処方は避けるという意見も複数ありました。施設によっては粉砕したデカドロン錠を単シロップに混ぜて「練り団子」のようにして飲ませたり、粉砕した錠剤を水で懸濁して5mlの注射器でピュッと口の中に入れて飲ませるなどの工夫をしている様です。
とても面白い話題なので各施設の工夫を共有していただけると幸いです。
クループ症候群におけるDexamethasone単回静注後のrebound発熱
クループ症候群とは,声門下の気道粘膜・気道組織の炎症性浮腫により吸気性喘鳴,犬吠様咳嗽,嗄声等の症状を呈する疾患群の総称である。上気道のウイルス感染症で生じることが多く,上記症状以外に,発熱,カタル症状を伴う。原因ウイルスとしてはパラインフルエンザウイルスが一般的であるが,RSウイルス,インフルエンザウイルス,アデノウイルスなど,他のウイルスが原因となることもある。ウイルス性は,一般的に予後は良好である。細菌性として,急性喉頭蓋炎,喉頭ジフテリア,細菌性気管支炎が重要である。細菌性はきわめて稀であるが,死亡する危険性が高いため,注意を要する。
クループ症候群は夜間に悪化することが多いため、咳・喘鳴が再発した場合はすぐにステロイドを服用させ、できるだけ早く受診する必要がある。
デカドロンエリキシル、リンデロンシロップでは 1.5mg/kg
最後に、ちょっと面白いTIPsです。
ACLSなどで2人法のBVM換気を指導している方も多いと思います。
ただ胸骨圧迫とBVM換気を2人で行う場合は、普通は1人法のBVM換気を行う事になりますよね。
筆者らは、一人が両手でBVMのマスク部分をホールドして、胸骨圧迫を30回終えた人がバッグを揉むという方法の有効性を人形を使って調べました。
意外にも、胸骨圧迫の中断時間を増やすことなく有効に換気することができました。
さらっと読める論文です。しかも臨床に有用な情報だと思います。
クループに対するステロイドの経口投与は、古典的にはデキサメサゾンの0.6mg/kgです。
UpToDateによるとデキサメタゾンの内服は味が悪いとのことです。日本には比較的飲みやすいデカドロンエリキシル®がありますが、0.6mg/kgで飲むと10kgの子が60mlも飲まなくてはいけないという問題があります。また小児の保険用量は40mlまでです。
いくつかのStudyで0.15mg/kg~0.3mg/kgでも同等の効果があると示されていますが、n数が100例程度の小規模Studyが中心でした。
今回のStudyは1200人以上ものクループの患者を集めて、デキサメサゾン通常量(0.6mg/kg)、デキサメサゾン少量(0.15mg/kg)、プレドニゾロン(1mg/kg)の3群に410名ずつを割り当てたRCTです。
今回のRCTで、デキサメサゾン少量投与やプレドニゾロン投与は、デキサメサゾン通常量投与に対して非劣性を示しました。
すでに0.15mg/kgで処方している施設の方にとっては朗報と言えると思います。
2施設で1200人もクループを集められるのがすごいですね。
・ボスミン注 0.2mL を生食 2mL に希釈して吸入 30 分ごとに反復
クループ症候群は主にウイルス、細菌感染により、のど周囲にむくみや炎症を来し狭窄することで空気の通り道が悪くなり呼吸器症状を呈する病気をまとめて指します。狭窄する病変部位が声門・声門下である ①クループ、喉頭蓋・声門上である ②急性喉頭蓋炎に大きく分けられます。
1998; 279:1629-1632. に対して、グルココルチコイド内服と吸入の同時投与が有効かどうかを調べた無作為化比較試験(古い文献:1998年)。 3〜5歳のCroup症例を、加湿療法の少なくとも15分後にスコア2以上有する子供を3グループに分け治療を行った。3グループ:3グループの病院の入院率、医師の勤務時間、救急部への再受診、1週間後に残存する症状(スコア)を調べた。スコア(Westley): 結果:Table1:3グループの集団差なし。救急部受診時スコアは3グループ間でほぼ同等(3.5~3.8)。Table2:3グループでスコアの改善度に有意差なく、も同等に症状を改善する。 Table3:1週間後のによる症状も3グループで有意差なし。結論:3グループはいずれも同様の結果であった。 Oral Dexamethasone in the Treatment of Croup:0.15mg/kg Versus 0.3mg/kg Versus 0.6mg/kgPediatric Pulmonology 1995; 20:362-368.結論→0.15㎎/㎏、0.3㎎/㎏、0.6㎎/㎏単回内服のスコアの改善に有意な差はない。 二重盲検無作為化対照。中等症で入院した小児における経口の単回投与の有効性を比較した投与量は0.15㎎/㎏、0.3㎎/㎏、0.6㎎/㎏とした。で入院した120人の子供(年齢範囲6〜160ヵ月)が参加。各試験における2つの群に分けた。トライアルA群:60人、0.3または0.6mg/kgのシロップを投与した。トライアルB群:60人、0.15または0.6mg/kgのシロップを投与した。アドレナリン吸入併用は、重症のStridorやスコア5-6点の症例に用いた。スコア:結果:入院期間の中央値は、トライアルA/ Bで同等である(A:7hおよび8h、B:9hと9h)。アドレナリン吸入、集中治療を受けた患者数、再発による再受診率、退院後の再入院率は、いずれも同等であった。治療後のCroupスコアの改善はグループ間で有意な差がなく、全てのグループで初期スコアよりも有意に低い。重症例に関して:A randomized comparison of dexamethasone 0.15 mg/kg versus 0.6 mg/kg for the treatment of moderate to severe croup.Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2007; 71(3):473-7.注射の0,1,2,3,4,6,8,10および12時間後にスコアを測定⇒注射の1時間後よりスコアは有意に低下した。2つのグループ間の平均スコアは、全ての測定時間で差がなかった。0.15mg/kgと0.6mg kgの両群でスコアが2以下になるのは0.6㎎/㎏:8時間および0.15㎎/㎏:7.9時間であった。いずれの群においても治療からの重大な副作用はなかった。
クループに対するデカドロン、0.6mg/kg?0.15mg/kg?
クループ症候群の診断は難しいものではありません。2,3日の感冒症状ののち,嗄声(声のかすれ),犬吠様咳嗽(咳のこと。犬というより,「オットセイが鳴くような」と表現したほうがお
[PDF] 小児 COVID-19 軽症から中等症の治療フローチャート
4F-PCC製剤(ケイセントラ®)が日本でも2017年9月に発売されました。
これはⅡ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ+プロテインC+プロテインSなどを含んでおり、ワーファリンの拮抗薬として使用が承認されています。
さらにワーファリンの拮抗薬としてだけでなく、外傷の凝固障害に対する治療薬としても有効であるという意見が動物実験や小規模Studyでは示されていました。
今回はアメリカのTQIOというデータベースから約12万人の外傷患者にPropensity-matchingをかけて、4-PCC+FFPを使用した群(234人)とFFPを単独で使用した群(234人)を比べています。
4-PCCを加えた群の方が死亡率・ARDS・AKIの割合はかなり下がりました。RBCやFFPの投与量も有意に減りました。
4-PCC凄い!!でも今のところ適応外使用。。。
前向き試験の追試が待ち遠しいですね!
[PDF] デキサメタゾン COVID-19 小児患者に対する治療薬としての位置付け
デカドロン®エリキシルの在庫がない場合は、リンデロン®シロップ(ベタメタゾン)の同量処方で代用される場合がある。
適応に応じ様々。 COVID-19 に対する RECOVERY trial では成人を対象に 6mg/日を経口または静注で最長 10 日
クループ症候群は上記の3大症状で診断するため特別な検査はありません。
かぜを知ろうその7 クループの咳 | くぼこどもクリニック ブログ
上気道の最も狭い部分は,成人では声門部ですが,クループ症候群を発症する4歳未満の小児では,声門下です。Poiseuilleの法則(生理学の教科書を参照)によると,気道の抵抗はその半径の4乗に反比例します。ただでさえ狭い小児の声門下に,ウイルス感染により気道粘膜浮腫が起こると,4乗のパワーで気道抵抗が増大するのです。それにより気流が層流から乱流になり,吸気時喘鳴(stridor)が生じます。
[PDF] 5) 田中弘之, 他. 骨形成不全症の診療ガイドライン。
新型コロナウイルス感染症オミクロン株流行以降はクループ症候群を合併する子どもが増加し、一部では気管内挿管・人口呼吸を必要とする重症例も報告されています。夜中突然にわが子がノドの痛そうな激しい咳が出だして止まらなくなり、あわてて夜間救急診療所を受診することの多いクループ症候群。わけがわからず言われるがままに吸入を受け、出されたお薬を飲ませている親御さんが多いのではないでしょうか。どのような治療法があり、どのような効果があるのか、皆さんはご存じですか?
ステロイド(デキサメタゾン)の内服により炎症を速やかに抑えるわけですね。 ..
図1は,気道をモデル化したものです。上気道は大きく鼻咽頭・喉頭・気管に分けることができます。声門は,喉頭部分にあります。「声門下」とは,声門の直下から気管までの間を言い,ここが何らかの原因で狭窄する疾患群をクループ症候群と呼んでいます。原因はパラインフルエンザなどのウイルス感染であることがほとんどです。
>デキサメタゾンとして、通常成人1日0.5〜8mgを1〜4回に分割経口投与する。 ..
クループ症候群を引き起こすウイルスは通常,二次的な細菌感染を引き起こさないため,抗菌薬が適応となるのは稀である。ただし,初期対応時の検査結果で白血球増多,CRP上昇など細菌性感染の可能性が疑われる場合は,抗菌薬の適応と考えてよい。また,急性喉頭蓋炎であれば,インフルエンザ菌の耐性状況を考慮して,セフトリアキソン,セフォタキシムなどの注射薬を用いる。
7歳喘息持ち夜間クループを起こし、ボスミン吸入、デカドロン20ml内服しま.
なお、デカドロン®エリキシルはクループ症候群には適応外になるが、社会保険診療報酬支払基金では「当該使用事例を審査上認める」対象になっている。
■ クループ症候群は、主に低年齢でおこる疾患です。
①4F-PCCは外傷の凝固障害に有用か?(必読)
②クループのデキサメタゾン内服は少量で良い?
③高齢の失神患者の原因が分からないとき、入院と帰宅では予後が変わる?
④自閉症スペクトラム障害の子に初療室で鎮静をかけるときの投与量は?
⑤2人でBystander CPRを行うときの裏技
今回はクループ症候群について勉強していきます!
診断は年齢、特徴的な症状、経過から診断を行います。クループ症候群のお子さんは泣く事で症状悪化するためなるべく泣かせないように診察いたします。
クループ症候群とは?デカドロンエリキシルの投与量は?
前回は,気管支喘息・RSウイルス性細気管支炎を中心とした,下気道閉塞について勉強しました。今回と次回は,上気道閉塞について勉強したいと思います。今回はクループ症候群のマネジメントについて,次回はその他の上気道閉塞を起こす疾患について学びます。
小児にクループ症候群という病気の形があります。 パラインフルエンザとかインフルエンザとか数種類のウィルスの感染によって、犬が鳴くような「ケン!
①クループ
症状や所見から重症度を評価します。のどのむくみを和らげる効果のあるボスミン吸入を行い、吸入による症状の消失の有無を評価します。ボスミン吸入の効果時間は1-2時間程度であり長続きしませんが、デカドロン(ステロイド)という薬は効果が24時間程度持続するため、再発の恐れのあるお子さんに処方いたします。ボスミン吸入を繰り返しても効果が不十分な場合や、。
クループ症候群(小児科) | 症状、診断・治療方針まで
●急性の気道閉塞性呼吸困難を呈する病態の総称。
●多くはウイルスが原因で、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、インフルエンザウイルスなどの感染により起こる場合がある。
●多くはの小児に発生する。
●喉頭の炎症による「」や、吸気性喘鳴、嗄声、呼吸困難などの症状があるとクループ症候群を疑う。