KDIGO 2022 guideline on diabetes in CKD では、近年の大規模臨床試験の結果を踏まえて、糖尿病合併
また、安全性の主要評価項目である、心血管死、心筋梗塞または虚血性脳卒中を含む複合評価項目のMACEにおいて、フォシーガ群はプラセボ群と比較してリスクを増加させず、プラセボ群に対する非劣性を示し、これまでに確立されたフォシーガの安全性プロファイルと一貫した結果が確認されたとしている。また、副次的評価項目は名目上の有意差ではあるが、腎の複合評価項は対象となった広範な患者において、フォシーガ群はプラセボ群に対して、腎症の新規発症率または悪化率を24%減少した(4.3%vs.5.6%;HR0.76[95%CI:0.67-0.87])。また、全死亡はフォシーガ群においてより低い頻度だった(6.2%vs.6.6%;HR0.93[95%CI:0.82-1.04])。
そこで真に有用かどうかを調査するためには大規模臨床試験による裏付けがなされるのが一番です。 ..
DAPA-HFは、HFrEFに対するSGLT-2阻害薬の有用性を検証した最初のP3試験。左室駆出率が40%以下の患者4744人を対象にフォシーガとプラセボを比較したところ、フォシーガは主要複合評価項目(心血管死または心不全の悪化)を26%減少させ、統計学的に有意な低下を示した。フォシーガ群ではさらに、心不全悪化の初回発現リスクが30%低下し、心血管死のリスクも18%低下した。
DECLARE試験は、世界33か国の1万7,000名超の患者を対象にした、これまでで最も大規模なSGLT2阻害剤の心血管アウトカム試験。主要評価項目のひとつである心不全による入院または心血管死の複合評価では、フォシーガ群はプラセボ群に対して、有意に17%のリスクを減少(4.9%vs.5.8%;ハザード比[HR]0.83[95%信頼区間(CI):0.73-0.95],p=0.005)。心不全による入院または心血管死の減少は、心血管リスクを有する患者群ならびに心血管疾患の既往歴のある患者群を含むすべての患者群において一貫して認められた。さらに、もうひとつの主要評価項目である主要心血管イベント()は、フォシーガ群で発現頻度は少なかったものの、統計学的な有意差は認められなかったという(フォシーガ群8.8%vs.プラセボ群9.4%; HR0.93[95%CI:0.84-1.03],p=0.17)。
これに従い SGLT2 の大規模トライアルがいくつも行われ、思いがけず心臓、腎臓に重要な
DAPA-HFで最も高頻度にみられた有害事象は、体液減少(フォシーガ群7.5%、プラセボ群6.8%)と腎有害事象(フォシーガ群6.5%、プラセボ群7.2%)で、発現率は両群で同程度だった。
DAPA-HFには、2型糖尿病を合併している患者と合併していない患者の両方が組み入れられた。いずれの集団でもフォシーガの有効性は同等で、心不全に対する同薬の作用は糖尿病の有無に左右されないことが示された。
TRANSFORM-HFという大規模臨床試験がJAMA今週号に発表されました。 私が ..
Med, 34: 2229-2235, 2014)。 しかし、今回の鈴木氏らの報告は、100例以上の症例をもって、男女問わず、左右問わず握力が増加したというように、全てp 「プラセボ対照がない研究であった点だけは残念ではあったが、もともと予測していなかった臨床研究であったためにやむえない。それでも、当初の予測に反した結果がでたという意味において、エンパレグ大規模臨床研究結果と類似している点が多く、その意味では、信憑性が高い結果であり、社会的なインパクトが極めて高い研究成果であったと考えられる」と鈴木氏は述べている。
私は今まで、あえてこのテーマから距離を置いて来たのかもしれない。でEMPA-REG OUTCOMEⓇに軽く触れ、でClass effectかDrug effectかというテーマにしてお茶を濁してきた。それはこのテーマに直球勝負で意見することに対し、四戒(驚、懼、疑、惑)を抱いていたからだ。しかし今、自信を持って言える。SGLT2阻害薬は凄い薬だ!
SGLT2阻害薬は発売当初から逆風の真只中に立ち続けてきた。尿糖を増やすとは何事だ!脱水で脳梗塞が激増するに違いない!といった非難を浴び続けた。しかし、冷静に考えればどの薬剤も治験を経て世に出回っているのだから、驚くような大惨事になるはずがない。群集心理は恐ろしいものだ。わが国最初のSGLT2阻害薬イプラグリフロジン(スーグラⓇ)が臨床応用された頃、ベーリンガー・インゲルハイム社の担当者と“エンパグリフロジン(ジャディアンスⓇ)が発売される頃にはSGLT2阻害薬が全面発売中止になっているかもしれませんね”と苦笑したことを覚えている。しかし、、で紹介したEMPA-REG OUTCOMEⓇ以降SGLT2阻害薬は一気にスターダムにのし上がった。その後、多くの大規模臨床試験でSGLT2阻害薬の心保護作用・腎保護作用が明らかにされ、最近では非糖尿病者に対しても、心不全や慢性腎臓病の病名で保険適応を取得するSGLT2阻害薬も現れた。SGLT2阻害薬は糖尿病治療薬の枠を超えたのだ。SGLT2阻害薬がここまで素晴らしい心腎保護の結果を出せた背景に、心腎連関の改善というメカニズムの存在が示唆されている(Mebio 34:58-66, 2017)。糖を尿に捨て血糖を下げ、浸透圧利尿で余剰な水を捨てるのみならず、ナトリウム再吸収も抑制するためmacula densaに流れ込むナトリウム量を増やして糸球体内圧を下げている。我々はスーグラⓇ発売当初から逆風に立ち向かい、FUSIONという臨床研究を行った(Endocr J 2018 Aug 27;65(8):859-86)。この時、SGLT2阻害薬が患者背景に関わらず血糖降下作用を発揮するということのみならず、血圧低下、体重減少、血清CPRの低下という副次的作用も見出した。
大規模臨床試験において心血管イベントを減少させることが報告されている ..
心臓と腎臓が影響を及ぼし合って互いの機能を低下させる「心腎連関」。糖尿病治療薬として開発されたSGLT2阻害薬が、心不全や腎臓病に対する有効性を示し、治療に新たな展開が訪れています。国内では昨年11月、アストラゼネカの「フォシーガ」が慢性心不全の適応を取得し、12月には慢性腎臓病への適応拡大を申請。日本ベーリンガーインゲルハイムの「ジャディアンス」も慢性心不全への適応拡大を申請中で、慢性腎臓病でも開発の最終段階に入っています。
2型糖尿病の合併の有無にかかわらず、NYHA新機能分類でII~IVのいずれの患者も含めて行われたDAPA-HFの良好な結果によって、フォシーガは真に心血管疾患治療薬とみなし得ることが実証された。既存薬で不良な治療成績をフォシーガが改善するベネフィットが明確に示されたことから、心臓病専門医らはHFrEF患者に対する同薬の使用に大きな期待をかけている。
本稿では,これまでの SGLT2 阻害薬を用いた大規模臨床試験が示して
0.1%)の発現頻度はいずれもわずかだった。 「2型糖尿病患者は、心筋梗塞や虚血性脳卒中の高い発症リスクとともに、健康な人の2~5倍の心不全発症リスクを抱えている。心不全は、診断から5年後の生存率が50%であり、今回の試験結果は血糖コントロールにとどまらないより広い理解をもつという意味で大変重要だ」と、アストラゼネカのElisabeth Björk氏は言う。 副次的評価項目は名目上の有意差ではあるが、腎の複合評価項目においては、対象となった広範な患者においてフォシーガ群はプラセボ群に対して、腎症の新規発症率または悪化率を24%減少した(4.3% vs.
フォシーガ、心不全に関する新たなエビデンスをAHA2022で発表/AZ
フォシーガは、ナトリウム・グルコース共輸送体2に作用するファーストインクラスの選択的阻害剤(SGLT2阻害剤)。成人2型糖尿病患者の食事、運動療法の補助治療としての血糖コントロールの改善を適応として、経口1日1回投与で単剤療法または併用療法の一環として使用される。フォシーガの臨床プログラムは、終了済みの試験を含め3万5,000例以上の患者を対象とする35件以上の第2b/3相試験から構成。同剤は、現在までに180万患者年以上に処方された。なお、日本において同剤の心血管イベント、心血管死、心不全の抑制、もしくは慢性腎臓病治療薬としての適応はない。
アストラゼネカは2022年11月8日のプレスリリースで、第III相DELIVER試験において、フォシーガ ..
SGLT-2阻害薬では、ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリーの「ジャディアンス」(エンパグリフロジン)も心不全治療薬として開発中で、HFrEFの承認取得は2021年となる見通しだ。HFrEFでクラス初の承認を得たフォシーガは、競合薬より有利となる。
HFpEF治療におけるSGLT2阻害薬の位置づけ | べーリンガープラス
Luke’s Mid America Heart Institute(米国・カンザスシティ)の独立研究機関の統計グループにより検証されました。CVD-REAL試験は、頑健性の高い傾向スコアマッチング手法を用いた大規模試験ですが、観察的な試験であるため、測定不能な交絡因子が残されている可能性を完全に除外することはできません。
アストラゼネカの循環器、腎および代謝疾患 (CVMD) 領域について
アストラゼネカは、循環器・腎・代謝疾患領域を将来の成長基盤のとなる主要な治療領域としています。心臓、腎臓、膵臓などの臓器の基本的な関連性をより明確に解明するサイエンスを追及し、疾患進行の抑制やリスク減少、合併症の抑制による臓器保護と予後の改善をもたらす医薬品のポートフォリオに投資をしています。当社は、世界中の何百万人もの循環器・代謝疾患患者さんの健康と、治療法の進歩に貢献する革新的なサイエンスを継続的に提供し、疾患の治療・進展抑制、さらには臓器及びその機能の再生の実現を目指しています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、炎症、感染症およびニューロサイエンスの領域においても、他社との提携を通じて積極的に活動しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
参考文献
心血管イベントリスクが高い2型糖尿病対象DECLARE試験結果を発表
参考文献のタイトル:「腎機能による糖尿病薬の心臓と腎臓への影響の違い:大規模な臨床試験の分析」
フォシーガ錠10mgの基本情報(薬効分類・副作用・添付文書など)
HFpEFには承認された治療選択肢がなく、承認を取得する薬剤が出てくればHFrEFよりも大きな収益が見込めるだろう。フォシーガもジャディアンスも、それぞれ行っているHFpEFに的を絞ったP3試験で、この治療困難な患者集団における臨床成績の向上を目指している。
フォシーガ錠10mg(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物錠) ..
英アストラゼネカ社は11月10日、「フォシーガ」(一般名:ダパグリフロジン、米国での製品名:Farxiga)の大規模な心血管アウトカム試験(CVOT)であるDECLARE-TIMI58試験の良好な全試験結果を発表した。この結果は、米国・シカゴで開催中の米国心臓協会(AHA)学術集会2018において発表され、同時に「New England Journal of Medicine」に掲載された。
[PDF] SGLT2 阻害剤による心不全入 院・心血管死リスクの低下
SGLT2阻害薬が著明な脱水を引き起こす可能性が危惧されていたが、発売後幾度の猛暑を経験してもSGLT2阻害薬で熱中症や脳梗塞が増えたという報告を耳にしない。最近の報告では、SGLT2阻害薬が糖と共に尿中に排泄する水は、利尿薬のような血管内の水ではなく浮腫みの原因とも言える、サードスペースの水であるとう見解も報告されている。そういえば私も、SGLT2阻害薬フォシーガⓇのサンプルを1錠頂いて飲んだ翌日、二日酔いの顔の浮腫みがスッキリしていたことを経験している。
加来先生に伺うSGLT2阻害薬の脱水予防と飲水に関するアドバイス
Luke’s Mid American Heart Institute(米国・カンザスシティ)の独立研究機関の統計グループにより検証されました。CVD-REAL試験は、頑強性の高い傾向スコアマッチング手法を用いた大規模試験ですが、観察的な試験であるため、除外不可かつ測定不能な交絡因子の可能性を完全に除外することはできません。
米国においてダパグリフロジンは、食事・運動療法で改善しない成人2型糖尿病患者さんの血糖値コントロールの改善として添付文書に記載されていますが、心疾患イベントや死亡リスクあるいは心不全による入院のリスクの減少としての記載はありません。なお、日本におけるダパグリフロジンの効果効能は2型糖尿病で、心疾患イベントや死亡リスクあるいは心不全による入院リスクの減少としての効能は取得していません。ダパグリフロジンにおいて前向き二重盲検心疾患アウトカム試験であるDECLARE試験が進行中で、2019年までにはデータが出る予定です。
以上
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References
Jabbour, S.
【心不全】「フォシーガ」承認 心血管疾患治療薬市場にとっての意味
慢性心不全では昨年11月、フォシーガがこのクラスの薬剤として初めて承認を取得し、ジャディアンスも適応拡大を申請。慢性腎臓病では、フォシーガが昨年12月に申請を済ませ、ジャディアンスも臨床第3相(P3)試験を行っています。カナグルは糖尿病性腎症を対象にP3試験を実施中です。
[PDF] SGLT2 阻害薬が糖尿病性腎臓病を抑制する機序を解明
フォシーガは、左室駆出率が低下した心不全(HErEF)の患者を対象に行ったP3試験「DAPA-HF試験」で、標準治療への上乗せで主要複合エンドポイント(心不全の悪化/心血管死)をプラセボに比べて26%低下。慢性腎臓病患者を対象とした同「DAPA-CKD」でも、主要複合エンドポイント(腎機能の悪化/心血管死または腎不全による死亡)を39%抑制しました。いずれも、2型糖尿病の有無に関わらず有効性が示されており、「心・腎保護薬」としての期待が高まっています。