乳癌 Dose-dense EC 療法における 2 日目以降のデキサメタゾン省略による悪心へ ..


現在, 抗がん薬の副作用である悪心・嘔吐の評価方法としては, CTCAE (Common Terminology Criteria for Adverse Event) v4.0-JCOG が用いられているが,これは制吐療法の評価方法ではない(→)。従来のわが国の制吐療法における臨床試験では,悪心・嘔吐が「ない」,「我慢できる」から,「ほとんど食べられない」といったチェック項目を患者に提示して個々の治療効果を示してもらうなどの方法がとられていた。最近の臨床試験では,がん薬物療法施行後0~120 時間の完全制御割合,0~24 時間の完全制御割合(急性),24~120 時間の完全制御割合(遅発性)などが評価項目として用いられている()。しかし,医療者は過小評価の傾向が指摘されており,悪心・嘔吐の予測がどの程度できているかの評価も重要である。また, 患者自身による主観評価にあたる Patient-Reported Outcome (PRO) の重要性も認識されてきており, がん臨床試験における患者の自己評価に基づき, 有害事象評価の正確性と高い精度のグレーディングを追及したツールとしてPRO-CTCAEが公開されてきており(), 日常診療として客観的評価とどのようにして関連づけて評価していくか等に関する検討が必要になるであろう


防目的に点滴翌日以降に処方されるデキサメタゾンの必要性について検証しま.

① 全身状態の良い少数個脳転移例には,手術や定位放射線照射などの局所治療が検討される。
予後良好な単発脳転移患者に対する全脳照射のみと全脳照射+STIでは,全脳照射+STIのほうが有意に全生存期間を延長することが知られており6),全身状態の良い少数個の脳転移に対して全脳照射のみを行うことは勧められない。予後良好群(例えば,KPSが70%以上,年齢が60歳未満,HER2陽性,脳以外の転移病巣が制御されている等)であり少数個(4個以下)の脳転移患者には,手術または定位放射線照射が行われ,mass effectが強い場合は手術を検討する7)8)。MRIで注意深く経過観察し,適応がある限り救済定位放射線照射を繰り返すことにより,定位放射線照射の適応を超える増悪を認めるまで全脳照射を追加しないことが弱く推奨される(☞参照)。

② 全身状態のよい5個から10個以下の脳転移症例において,腫瘍径3 cm未満,脳転移の全腫瘍体積が15 mL以下,髄液播種所見がないなどの条件を満たす場合には,定位放射線照射を行い経過観察することで全脳照射を待機できる可能性がある(☞参照)。

☞ DTX の 1 回最大投与量を 100 ㎎/㎡としている欧米ではデキサメタゾンを DTX の投与前日

1) 佐伯俊昭.制吐薬適正使用ガイドラインに関するアンケート調査.癌と化療.2015; 42: 305-11.

脳転移病巣周囲の浮腫が原因で症候性の場合には,ステロイドや浸透圧利尿薬を使用する。ステロイドの投与量については明確なコンセンサスはないが,一般的にはデキサメタゾンを4~8 mg/日で開始し,神経症状や全身状態をみながら適宜増減する。デキサメタゾンと抗てんかん薬の併用は双方の効果が減弱することがあり,注意が必要である。また,浸透圧利尿薬の使用に際しては電解質異常や利尿による脱水と腎機能障害などに注意が必要である5)

Weeklyパクリタキセルの前投薬のデキサートは、初回導入時必ずデキサメタゾンとして8mg投与する

ニューロキニン1 (NK1) 受容体拮抗薬、5-HT3受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの3剤併用療法が推奨されている。グラニセトロン等の第1世代5-HT3受容体拮抗薬と第2世代5-HT3受容体拮抗薬パロノセトロンでは、急性期の嘔吐性事象に対する効果に大きな差はなく、医療経済的な面を考慮すると第1世代5-HT3受容体拮抗薬の使用が許容される7)。現在、本邦においてNK1受容体拮抗薬 + グラニセトロン + デキサメタゾン群に対し、NK1受容体拮抗薬 + パロノセトロン + デキサメタゾン群の多施設共同無作為化比較試験が実施されている。遅発期の嘔吐性事象に対する効果を含め、論文化が待たれるところである。

③ 予後不良と判断される上記以外の多発性脳転移(頭蓋外転移病巣が制御されていない,脳転移病巣数が10個を超える,腫瘍径が大きいなど)には,全脳照射が標準治療である。
多数個の脳転移例では長期予後が期待できない場合が多い。多発性脳転移例や全身状態不良などの予後不良例では,定位放射線照射や手術療法の適応は限られ,全脳照射が緩和治療として行われる。70%以上の患者で神経症状の改善が認められるが,全脳照射のみで長期間頭蓋内病変を制御することは難しく,脳転移に対する全脳照射は一時的な症状緩和を目指した治療となる。全脳照射のスケジュールにはさまざまなものがあり,30 Gy/10回,37.5 Gy/15回,40 Gy/20回,20 Gy/5回などが患者ごとに選択されている。全身状態や他臓器の転移病巣の状況などを考慮して,期待生存期間が長いほど分割回数が多い治療が選択される。また,全脳照射に際して神経毒性,特に認知機能温存を意図する海馬を回避した放射線治療を推奨する報告もみられる

乳癌でT-DXdによる吐き気・嘔吐をオランザピンと5-HT3受容体拮抗薬

しかし,その一方で,乳癌を対象とした試験ではないが,手術やSRSの適応ではない肺癌脳転移患者を対象としたQUARTZ試験において,全脳照射追加群とステロイド等を用いたサポーティブケア群とを比較したランダム化比較試験では,質調整平均生存期間がそれぞれ46.4日と41.7日であり,期待予後が非常に限られている場合は,サポーティブケアのみも選択肢となり得る

1サイクル:14日
投与日:day 1
サイクル数:4
【点滴静注】
1.5-HT3受容体拮抗型制吐薬+デキサメタゾン9.9 mg+生理食塩水50 mL 15分
2.ドキソルビシン60 mg/m2 orエピルビシン90 mg/m2+生理食塩水50 mL 15分
3.シクロホスファミド600 mg/m2+生理食塩水250 mL 30分
4.生理食塩水50 mL 15分
【皮下注】day 2-day 4
1.ペグフィルグラスチム3.6 mg皮下注
【内服】
アプレピタント125 mg day 1(化学療法薬投与60~90分前に内服),80 mg day 2,3(午前中に内服),
デキサメサゾン8 mg day 2,3,4


[PDF] レジメン名:ドセタキセル (DTX) 単剤療法 ↓ ↓ 癌種:乳癌

「乳癌診療ガイドライン①治療編2018年版」の参考文献に加え,PubMed・医中誌・Cochrane Libraryで,“Brain Neoplasms”,“Radiotherapy”,“Neoplasm Metastasis”のキーワードで検索した。検索期間は2016年~2021年3月とし,317件がヒットした。また,ハンドサーチにより他のガイドラインや二次資料などから重要と思われる文献を採用した。

術前・術後化学療法として使用する場合には、4回施行します。 2020.4

1サイクル:21日
投与日:day 1
サイクル数:4
【点滴静注】
1.5-HT3受容体拮抗型制吐薬+デキサメタゾン9.9 mg+生理食塩水50 mL 15分
2.ドキソルビシン60 mg/m2+生理食塩水50 mL 15分
3.シクロホスファミド600 mg/m2+生理食塩水250 mL 30分
4.生理食塩水50 mL 15分
【内服】
アプレピタント125 mg day 1(化学療法薬投与60~90分前に内服),80 mg day 2,3(午前中に内服),
デキサメタゾン8 mg day 2,3,4

周術期乳癌AC/EC/FAC/FEC療法に対する制吐効果における

全身状態の良い脳転移例では,手術や定位放射線照射などの積極的な局所治療により生命予後の改善が期待される。全身状態の悪い脳転移例において,まず重要なことは症状の緩和であり,全脳照射やステロイド投与により症状の改善が期待される。乳癌の脳転移例のみを対象とした研究は少ないため,転移性脳腫瘍全般を対象とした研究から,脳転移に対する治療方法について概説する。

[PDF] 関 連 す る 悪性腫瘍名 療 法 名 販 売 名 承 認 取 得

5-HT3受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの2剤併用療法が推奨されている。しかしCPT-11等催吐性の高い抗癌剤投与の際には、NK1受容体拮抗薬の追加投与が推奨される。遅発期の嘔吐性事象の予防に対しては、5-HT3受容体拮抗薬もしくはデキサメタゾンの単独使用が併用と同等の効果を有すると示されている。NCCNガイドラインでは、アプレピタントとデキサメタゾンの併用やアプレピタント単剤の有用性が示されており、MASCCガイドラインではパロノセトロンとデキサメタゾンの併用が推奨されている。

デキサメタゾン, オランザピンコントロール群: 5-HT3受容体拮抗薬, デキサメタゾン, プラセボ

1サイクル:21日
投与日:day 1
サイクル数:4
【点滴静注】
1.5-HT3受容体拮抗型制吐薬+デキサメタゾン9.9 mg+生理食塩水50 mL 15分
2.エピルビシン90 mg/m2+生理食塩水50 mL 15分
3.シクロホスファミド600 mg/m2+生理食塩水250 mL 30分
4.生理食塩水50 mL 15分
【内服】
アプレピタント125 mg day 1(化学療法薬投与60~90分前に内服),80 mg day 2,3(午前中に内服),
デキサメタゾン8 mg day 2,3,4

癌化学療法名:乳癌パクリタキセル(triweekly)・ゲムシタビン療法

1サイクル:21日
投与日:day 1
サイクル数:4 or 6
【点滴静注】
1.5-HT3受容体拮抗型制吐薬+デキサメタゾン6.6 mg+生理食塩水50 mg 15分
2.ドセタキセル75 mg/m2+生理食塩水250 mL 60分
3.シクロホスファミド600 mg/m2+生理食塩水250 mL 30分
4.生理食塩水50 mL 15分
【内服】
デキサメタゾン錠8 mg 分2 day 1夜~day 3朝(2日間)

TC療法 | 乳がん | レジメン解説 | 東和薬品「抗がん剤ナビ」

1サイクル:28日
投与日:day 1
サイクル数:6
【内服】
シクロホスファミド100 mg/m2 朝14日間(day 1~14) 体表面積1.5 m2未満は100 mg(2錠),1.5 m2以上は150 mg(3錠)
【点滴静注】投与日:day 1,8
1.メトトレキサート40 mg/m2+生理食塩水50 mL 20分
2.フルオロウラシル600 mg/m2+生理食塩水50 mL 20分
3.生理食塩水50 mL 20分

3) 乳癌診療ガイドライン①治療編 2018年版, 金原出版 ..

酒井氏は 「5-HT3受容体拮抗薬+デキサメタゾン+オランザピンの3剤併用療法は、 T-DXd治療の1サイクル目に引き起こされる遅発期および延長期の悪心・嘔吐を予防する効果的な制吐療法であると考えられる」 と報告した。

進行がん患者84名に対して、デキサメタゾン8mgとプラセボを14日間内服する比較試験が行われ、デキサメタゾン ..

1サイクル:7日
投与日:day 1
投与回数:12回
【点滴静注】
1.デキサメタゾン6.6 mg+ファモチジン20 mg+生理食塩水50 mL 15分
2.マレイン酸クロルフェニラミン10 mg+生理食塩水50 mL 15分
3.パクリタキセル80 mg/m2+生理食塩水250 mL 60分
4.生理食塩水50 mL 15分

[PDF] 副腎皮質ホルモン剤 デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液

1サイクル:21日
投与日:day 1
サイクル数:4
【点滴静注】
1.デキサメタゾン6.6 mg+生理食塩水50 mL 15分
2.ドセタキセル75~100 mg/m2+生理食塩水250 mL 60分
3.生理食塩水50 mL 15分
【内服】
デキサメタゾン錠8 mg 分2 day 1夜~day 3朝(2日間)

[PDF] ドセタキセル+トラスツズマブ療法 がん種:乳がん 1コースの期間

デキサメタゾンの単独投与か状況に応じてドパミン受容体拮抗薬の使用が推奨される。さらにロラゼパムやプロトンポンプ阻害薬等制酸薬の併用も検討されるべきである。

(5), 悪性腫瘍薬(シスプラチンなど)投与に伴う消化器症状(悪心・嘔吐) デキサメタゾン(内服)、リン酸デキサメタゾン(注射)

経口抗がん薬における催吐性リスクについては,MASCC/ESMO ガイドライン2016 を参考に作成委員会内でコンセンサスを確認し, それ以外の薬剤については承認申請時のデータ,代表的な臨床試験の報告をもって に示すリスク分類とした。わが国で使用頻度の高いテガフール・ギメラシル・オテラシル(S-1)では,悪心の発現頻度は3~54%,Grade 3/4 は0.2~7.1%,嘔吐の発現頻度は14~28%,Grade 3/4 は1.2~4.3%と報告されており,軽度リスクに分類した。トリフルリジン・チピラシル(TAS-102)は悪心と嘔吐の発現頻度がそれぞれ48%,28%であることから中等度リスクに,アレクチニブは悪心の発現頻度が13%であり軽度リスクに分類した(→)。レンバチニブでは悪心の発現頻度が41%, Grade 3 が2.3%であり, 中等度リスクに分類した。