⑦ 自発性異常味覚:「口の中に何もないのに苦みや渋みを感じる」
味覚には、5大基本味の塩味と甘味、酸味と苦味、うま味があると言われます。食べ物や飲み物に含まれる物質が口の中に入ると舌に触れますが、舌には乳頭と呼ばれる多数の突起があり、その中に味蕾があります。この味蕾が味を情報としてとらえて脳に伝達し、脳内で味を認識します。
味を感じられなくて食事が進まないといった方は、味蕾が十分につくられていなくて、味を感じないということがあります。味蕾は代謝回転が速い細胞で、亜鉛などのミネラルが十分に摂取できていないときちんとした味蕾がつくられないことも原因となり、味覚異常を起こします。
また、味覚異常に似た感覚に「におい」がわからないといった臭覚異常も問題になります。現在、猛威を振るっているCOVID-19による感染症では、その所見として味覚・臭覚異常がみられるとされます。
「カレーなどの風味がわからない」といった場合は、味覚異常というよりも臭覚に問題があるのかもしれません。
これらの味覚・臭覚異常は、亜鉛の吸収を妨げたりする薬の服用によっても起こりやすく、味覚障害を起こす薬はたくさんあります。利尿薬のフロセミドや血圧降下剤のACE阻害薬、抗菌薬ではテトラサイクリン系やマクロライド系などです。味覚・臭覚異常を訴える患者さんがいたら、ぜひ最寄りの薬剤師に相談してみてください。
マイコプラズマ肺炎が流行しています。その治療に用いられるマクロライド系抗菌薬、その最大の課題である苦味は、なぜ起こるのか?
味覚を感じるのは、舌の表面にある味蕾という微小な器官です。
味蕾には味細胞という細胞があり、新陳代謝が活発で、約1か月という短い周期で新しく生まれ変わっています。
味細胞の再生には亜鉛が必要です。
つまり、亜鉛が不足することで味細胞が再生できず機能が低下し、味覚障害が起こることがあるのです。
亜鉛不足のその他の症状として皮膚障害、脱毛、免疫機能の低下、貧血、成長障害(小児)などがあります。
・原因薬剤の休薬・減量
早期に休薬することで症状の改善、回復に至ることが多い。
原疾患治療のため休薬できない場合は薬剤の変更を検討する。
・亜鉛剤の補給
プロマックⅮ:胃潰瘍のみ保険適応。1錠中に亜鉛を17mg含有し、適応外処方として使用される。
ノベルジン:ウィルソン病のみ保険適応だったが、2017年に適応拡大され低亜鉛血症の診断名で
処方が可能に。
・口腔乾燥の治療・唾液流出の促進、口腔の浸潤を保ち、唾液分泌を促進する
サリベート(人工唾液)や、麦門冬湯、白虎加人参湯などの口腔乾燥に有効な漢方薬
・口腔清掃とケア
子供が粉薬を嫌がるのって本当にお子様に原因があるのでしょうか。
このような副作用情報が氷山の一角現象といわれている例としては、抗がん剤の典型的な副作用、吐き気、が挙げられる。抗がん剤療法のような通院化学療法の場合、医療関係者は遅延性の副作用、吐き気や嘔吐などの場面に直接経験しないので報告の対象とはならないし、また患者や医療関係者もそのような副作用はあまりにも周知であるので、だれも報告するものとは考えないようです。したがって、このような副作用も氷山の一角現象の範疇に入るのです。したがって、そのような抗がん剤の正確な副作用の発生頻度、発生時期情報、その継続期間などの詳細デ-タは通常の副作用自発報告制度では解析できないのです。
薬剤性味覚障害の原因となる薬剤の例として以下のようなものがあります。
亜鉛キレート作用(亜鉛の吸収を抑制する作用)のある薬や唾液分泌をおさえる薬に味覚障害が起こりやすいと考えられています。
今回紹介したいお薬はクラリス(クラリスロマイシン)というお薬です。 ..
味覚障害は副作用の中でも肝障害や腎障害のように検査値からわかるもの、薬疹、眠気、便秘や下痢といった自覚症状から気付きやすいものと違い、患者さん自身も副作用だと気付いていないことが多く見逃されがちです。
ですが、味がわからないことで食欲がなくなり栄養不足になったり、味付けが濃くなって塩分をとりすぎてしまったりすることで、原疾患の治療に影響することも考えられます。
「何を食べても味気なくて・・・」といった何気ない会話から、薬剤師として服用薬にそういった副作用があることを情報提供し、気付いてあげることができればと思います。
苦い薬の服用時に苦味を消す方法を「マスキング」といいます。苦味をマスキングするためにさまざまな工夫が施されています。苦いものを感じないように甘いもので味付けをする方法として、甘味料が用いられています。白糖、マンニトール、フルクトース(果糖)、ラクトース(乳糖)などが使われています。白糖は安価で安全性が高く、甘味剤として最も多く使用されています。薬の表面にコーティングして被膜をつくるように塗り付けてある場合もあります。錠剤に塗り付けているものを糖衣錠と言います。甘味料としてサッカリンが使われている場合もあります。以前は膀胱がんの増加が危惧されましたが現在は否定的です。エネルギーが少なく、減量用の甘味料として炭酸飲料などにも用いられています。また、砂糖の100~200倍の甘味を感じるとされるアスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)や糖アルコールの1つであるキシリトール、果物などに含まれるエリスリトール、砂糖を加工して合成されたスクラロースや、漢方の成分である甘草が使われたりする場合もあります。苦味を感じる代表的な薬にマクロライド系抗生物質であるエリスロマイシンやクラリスロマイシン、アジスロマイシンがあります。マイコプラズマをはじめ、多くの細菌感染症に汎用され、小児にも使われます。
私たち成人は錠剤やカプセル剤を服用する場合が多く、あまり苦味を感じないかもしれませんが、小児用に細かい粒状の細粒剤や水に溶かして飲むドライシロップ剤が発売されています。これらをうまく飲み込めずに口の中に薬が残ってしまうと強烈な苦味を感じてしまい、服用しなくなってしまう小児も散見します。そこでジスロマックでは、サッカリンなどの甘味料を組み合わせたり、いちご味の矯味料を使ったりして苦味をマスキングしています。
口腔内はほぼ中性(pH6.8程度)ですが、このpHでこれらのマスキング剤が溶け出さないような工夫も施されています。つまり薬が胃内のpHではじめて溶け出すような工夫が行われているのです。
苦みを訴えて受診される患者さんがおられます。原因としては、 ①逆流性食道炎 ②亜鉛不足 ③内服薬の影響 ④がん.
原因として以下のようなものが考えられます。
・薬の副作用(薬剤性味覚障害)
・糖尿病、肝障害や腎障害などの全身疾患
・風邪
・口腔疾患
・放射線治療の副作用
・亜鉛欠乏症(偏った食生活)
食べ物の味がわからなくなる味覚障害は高齢者に多い症状です。舌の表面で味を感知する味蕾や唾液の分泌量が、加齢とともに減少することが大きな原因ですが、ほかに日常的に服用している薬の副作用による「薬剤性味覚障害」も多いといわれています。
このためCYP3Aの働きに関係するお薬には、併用に注意が必要です。 【併用注意:CYP3Aを阻害するお薬】
いずれにしてね「苦み」のような自覚症状については、副作用についての関心がほとんどない医師は「おかしいですね」で済ませてしまうのです。いずれにしても、このような添付文章情報はたんなる行政当局向けに作られたものであって、患者の為に作られているわけではないのです。ですから、申請時のデタがどのようにして作成されたかとの過程は重要ではなく、それなりの体裁を整えていれば問題なく許可になるのです。また普通の医師は医療用医薬品の添付文書なんか端から端まで真面目に読む人はいないのです。かって、ある大学の先生が新聞の投書欄で、「あんな添付文書を読む人はいませんよ、ちょうど保険の証書の裏に書かれてあるいろいろいな条件、説明書を誰も読まないのと同じなのですよ」と豪語されていたくらいです。
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薬剤性味覚障害は、薬を服用してから2-6週間くらいで症状が現れ、なるべく早期で治療したほうが改善しやすいといわれています。
ストレスなども多い。口腔内の保湿力低下の主な原因は、開口による
味覚障害によって食欲が落ちれば、体力の低下にもつながります。味が感じにくい、金属味や渋みなど嫌な味がする、口が渇くなどの症状があるときには、早めに医師や薬剤師に相談しましょう。
くすり服用後の苦味感 氷山の一角現象 (**) クラリスロマイシン例
味がわからないことを味覚障害といいますが、その症状はさまざまで舌の一部や片側が、また舌全体が味覚を感じないことがあります。
味覚障害の程度も、濃い味でなければ感じないもの(味覚減退)や、全く味を感じないもの(味覚消失)があります。
さらに本来の味を異なった味に感じること(錯味)もあります。
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苦味のある薬をマスキングしても、上手に薬が飲み込めないと苦味を感じてしまいます。苦いとわかっている薬はさまざまな工夫がなされていますが、もともとそれほど苦くない薬でも子どもは苦く感じやすいため、服用時の工夫が必要です。たとえば、チョコレートを先に食べて口腔内に油膜を張り、舌をチョコレートの被膜を覆うようにしてマスキングするといったことも効果があると言われています。またアイスクリームやヨーグルト、プリンなどに混ぜて薬を飲ませる場合もあります。
このような時に注意したいのは、スポーツドリンクなどの酸性飲料で服薬させる場合です。前述したマクロライド系抗生物質はアルカリ性で、同じアルカリ性の高分子でドライシロップ剤などを服用させやすいように工夫している製剤があります。これを酸性のスポーツドリンクで服用してしまうと、コーティングが破壊されて苦味のある薬が表面に現れ薬自体の強い苦味を感じてしまいます。エリスロマイシンやクラリスドライシロップも同様に、ヨーグルトやオレンジジュース、りんごジュースなどと一緒に服用しない注意が必要となります。同じ抗生物質でもセフェム系と呼ばれるセフゾンは、どんなものでも苦味は感じないようですが、子どもが好むからと言って、酸性飲料で薬を服用させると、強い苦味を感じて薬の服用を嫌がることもあるので注意が必要です。
飲み薬と味覚障害
寝つきが悪い、あるいは、睡眠の維持が困難がある人に対する治療薬として処方されています。
[PDF] 薬物性味覚障害
今回は医薬品の副作用のひとつ、薬剤性味覚障害についてお話ししたいと思います。
[PDF] 28. 味覚障害を起こす薬剤
追記 (2015 Dec)
この記事はもう五年以上前に書いたのですが、その後、この記事へのアクセスが毎日十数例前後もあるのです。ということはいろいろな人がこのような内容の記事に関心があることになるのです。このことは逆な立場に立って理解すると、副作用の氷山の一角現象は意外とみなさん関心があり、またある意味では知らされていない情報なのかもしれません。私の人生の半分は医薬品の安全性関連ですが、このような「氷山の一角」現象はいまだに解決されていないことが実感されます。おそらく将来永遠に解決はされないでしょう。(≧ヘ≦)
クラリス 口の中が苦いについて | 医師に聞けるQ&Aサイト
甘味を好む人は体重増加しやすいとか、反対に肥満者では甘味感受性が低下しているのではないか、といったように味覚という観点から生活習慣病対策も考えられるようになっています。また第6の味覚として脂肪味を考える人もいます。脂肪にうま味を感じて肥満になってしまうという考え方です。味覚障害というと、NSTで患者さんの管理をしていた筆者はつい低栄養を心配しますが、その反対に味覚細胞の異常で通常の味を感じることができなくなってしまい、つい塩辛さや甘味が強いものを食べ過ぎて高血圧や糖尿病をはじめとする生活習慣病を誘発するおそれもあります。管理栄養士さんがよく観察し、患者さんの味覚異常の有無を発見することがとても大切です。(『ヘルスケア・レストラン』2022年7月号)
⑧ 片側性味覚障害 ..
追記)2016 May)
この記事はもう六年前に書いたのですが、いまだに毎日のようにこの記事へのアクセスが10-30人と続いているのは極めて驚異的です。そこで、考えたことはこのような抗生物質投与がかなりの頻度で行われていることを間接的に表していることになります。しかし、これを投与している医師の大部分は味覚異常のような軽微な副作用を自分自身では全く経験していないので、患者の立場になってそのような日常生活におけるある程度の味覚障害に対しては全く関心がないのです。
[PDF] 味覚障害について
A.処方された抗生物質の種類と混ぜる食品によって甘味や苦味が違ってきます。おおよその薬で苦味を感じることなく内服できるのは、バニラアイスやチョコアイスですので、アイスに混ぜて飲ませてあげる方法がおすすめです。
薬の副作用からくる味覚障害があるのをご存知ですか?
ペニシリン、セフェムなど他の抗菌剤が土中から発見されたのに対して、キノロンは人工的に合成した抗菌剤です。1980年代から、各種の製剤が開発されています。歯科では、レボフロキサシン(商品名:クラビット他)、トスフロキサシン酸塩水和物(商品名:オゼックス)、ロメフロキサシン塩酸塩(商品名:ロメバクト他)、シタフロキサシン(商品名:グレースビット)が処方されることが多いです。
飲み薬と味覚障害|今日から始める口腔ケア
『医師は副作用を体験できないですから。とはいえ、経験がなくても患者が治療を始める際にどんなことが起こるかを想定し、伝えなければなりません。味覚障害が出たときに備えて対処法を示すなど、投薬前や投薬中の患者の不安を和らげるのは医師の責務です。ですが、医療者がもっともらしく説明したところで、患者にメリットはありません。経験したことのないことを分かっているフリをして伝えるよりも、「どういうものかは経験したことはないから分からない」と正直に前置きをした上で、「ある患者さんはこう表現しているし、他の方はこう表現していました」と伝えたり、「ある患者さんはこんな症状が出たと話して、こんな対処をしていました」というように伝えればよかったのだと反省しています。 患者としては、副作用そのものの説明もほしいですが、どちらかといえば、副作用が出たときにどう対応しながら生活をしていかなければならないのか、ということをより知りたいと思っています。』