に渡航者下痢症,細菌性赤痢,サルモネラ腸炎,早期のカンピロバクター腸炎などにおいては,適切な抗菌薬の投 ..
クラリス(一般名:クラリスロマイシン)とはマクロライド系の抗生物質です。従来のマクロライド系抗生物質であるエリスロマイシンを改良してできたものであり、ニューマクロライドともいわれています。抗生物質の代表といえるのはβラクタム薬(ペニシリン系、セフェム系等)ですが、マクロライド系も肺炎球菌をはじめとするグラム陽性菌、インフルエンザ菌や百日咳菌など一部のグラム陰性菌、嫌気性菌、非定型菌のマイコプラズマやクラミジア、マイコバクテリウムなど多くの細菌に対して効力を発揮します。いろいろな細菌に有効なので、呼吸器系の領域を中心に多くの診療科で処方されています。多くは咽頭炎・肺炎・中耳炎などに対する処方です。消化器領域ではピロリ菌の除菌薬としても数多く処方されています。皮膚科領域においては、感染を伴う、表在性/深在性皮膚感染症、リンパ管/節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍などの疾患に対して選択されることがあります。
(必要ないので求めてはいけません!) カンピロバクター菌、赤痢菌、サルモネラ
カンピロバクター腸炎の特徴は「やや長い潜伏期間」です。一般的なウイルス性腸炎は摂取後時間以内くらいに症状が出始めることが多いですが、カンピロバクター腸炎の場合は潜伏期間は「日から日」といわれています。長い場合は日くらい経ってから発症する場合もあります。この後説明する症状に当てはまったら、もしかしたらと、週間前まで食事の記憶を遡ってみて下さい。
クラリスに最も特徴的なのは、一般的な抗生物質が効かないマイコプラズマやクラミジア、マイコバクテリウムなどの非定型細菌にも有効であることです。マイコプラズマは肺炎を引き起こすことで有名ですが、皮膚に感染して皮膚に治りにくい傷を作る原因になることもあります。またクラミジアは性感染症の原因となり、外陰部に痛みや痒みを引き起こします。マイコバクテリウムは皮膚の下で膿を作り、ジクジクとした傷を引き起こす原因菌です。これらはどれも稀な病気で抗生物質が効きにくいのが特徴ですが、クラリスは比較的よく効きます。またクラリスが改良される前の薬であるエリスロマイシンには胃酸によって効力が落ちるという弱点がありましたが、クラリスは胃酸の影響をほとんど受けません。体内にしっかりと吸収されるため、1日2回の服用で十分な治療効果が得られます。その他の特徴として、クラリスはアレルギーを起こしにくいとされています。βラクタム系の抗生物質に対してアレルギーがある人でも使用可能です。ただし他の薬と相互作用を起こしやすいので、飲み合わせには注意が必要です。
[PDF] マクロライド系抗生物質製剤 日本薬局方 クラリスロマイシン錠
下痢やおう吐などによる脱水症状に対しては、水分や塩分などをこまめに摂取するようにしましょう。病院では、腸内の菌を殺す抗菌薬や、腸内環境を整える整腸剤を組み合わせた薬が処方されます。下痢が起こるため、自己判断で下痢止めを服用してしまうこともありますが、下痢を止めることによって、細菌を体の外に排出する働きを妨げてしまうので、安易に下痢止めを使用するのはやめましょう。
一般的な感染症に対してはクラリスロマイシン1日400mg、非結核性抗酸菌症には1日800mg、どちらも2回に分けて経口で投与します。投与量は年齢、症状にあわせて増減します。またピロリ菌の除菌に用いる場合は他の抗生物質や胃薬と併用して処方されます。
[PDF] クラリスロマイシン製剤 マクロライド系抗生物質製剤
C. jejuniとC. coliは通常、マクロライド、フルオロキノロン、カルバペネム、アミノグリコシドに感性。また、in vitroでクリンダマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコールに感性であるが、これらの薬剤の臨床的有効性を示すデータはない。ペニシリン、多くのセファロスポリンを含むβラクタム薬、トリメトプリムに耐性。
一方、C. fetusは基本的にマクロライド、フルオロキノロンに耐性。アンピシリン、カルベペネム、アミノグリコシドに感性。
・Campylobacter jejuni腸炎
基本的は自己限定的なため、抗菌薬加療は不要。体液量/電解質管理を行う。
抗菌薬加療を行うのは、重症の時と、重症化のリスクがある時(高齢、妊婦、免疫抑制)
アジスロマイシン 1回500mg 1日1回 経口 3日間
代替薬:シプロフロキサシン 1回500mg 1日2回 経口 3日間
重症の場合、カルバペネム±アミノグリコシド
※渡航者、特に東南アジアは、フルオロキノロン耐性が増えている
・Campylobacter jejuni菌血症
アジスロマイシン 1回500mg 1日1回 経口 14日
重症の場合、カルバペネム±アミノグリコシド
潜伏期は通常2~3週間で、初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などである。咳は初発症状出現後3~5日から始まることが多く、当初は乾性の咳であるが、経過に従い咳は徐々に強くなり、解熱後も長く続く(3~4週間)。特に年長児や青年では、後期には湿性の咳となることが多い。鼻炎症状は本疾患では典型的ではないが、幼児ではより頻繁に見られる。嗄声、耳痛、咽頭痛、消化器症状、そして胸痛は約25%で見られ、また、皮疹は報告により差があるが6~17%である。喘息様気管支炎を呈することは比較的多く、急性期には40%で喘鳴が認められ、また、3年後に肺機能を評価したところ、対照に比して有意に低下していたという報告もある。昔から「異型肺炎」として、肺炎にしては元気で一般状態も悪くないことが特徴であるとされてきたが、重症肺炎となることもあり、胸水貯留は珍しいものではない。
他に合併症としては、中耳炎、無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、膵炎、溶血性貧血、心筋炎、関節炎、ギラン・バレー症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群など多彩なものが含まれる。
理学的所見では聴診上乾性ラ音が多い。まれに、胸部レ線上異常陰影があっても聴診上異常を認めない症例があり、胸部レ線検査が欠かせない。胸部レ線所見ではびまん性のスリガラス様間質性陰影が特徴とされてきたが、実際には多いものではなく、むしろウイルス性、真菌性、クラミジア性のものに多いと報告されている。マイコプラズマ肺炎確定例では、大葉性肺炎像、肺胞性陰影、間質性陰影、これらの混在など、多様なパターンをとることが知られている。血液検査所見では白血球数は正常もしくは増加し、赤沈は亢進、CRP は中等度以上の陽性を示し、AST 、ALT の上昇を一過性にみとめることも多い。寒冷凝集反応は本疾患のほとんどで陽性に出るが、特異的なものではない。しかしながら、これが高ければマイコプラズマによる可能性が高いとされる。
クラリスロマイシンは,1991年3月に承認されたマクロライド系抗生物質である。 ..
きちんとしたデータを見たことはありませんが、おそらく「カンピロバクターに複数回感染した人」ではないか、というのが私の臨床経験に基づく意見です。一般に免疫能というのは、その病原体にさらされればさらされるほど上昇します。そして免疫能が上昇しすぎて「異常な状態」になったとき、攻撃の矛先は自己に向かいます。例えば、薬を「敵」とみなして異常なアレルギー反応が起こる「薬疹」は、初めてその薬を飲んだ時には起こらずに2回目以降の服用で発症します。スギ花粉症は、長年スギ花粉を浴び続け一定の曝露量を超えたときに発症します。ということは、カンピロバクターが原因のギラン・バレー症候群は、複数回感染したときにリスクが上昇するということになります。
早期に発見することは難しいですが、まずは鶏肉の喫食歴の有無を確認することが大事です。カンピロバクターは、感染するとや、などの症状が出ます。1週間程度で回復し、死亡例や重症例はまれですが、感染の数週間後に、手足の麻痺や、などを起こす「」を発症する場合もあります。下痢や腹痛といった食中毒症状と入れ替わりで、手足のなどを感じたら、早期に医師に相談するようにしましょう。
クラリスロマイシン錠200mgの場合、服用後に腹痛、下痢、発疹(他多数) ..
ほかの細菌による食中毒症状と同様に、、、などの症状がみられます。特徴的な症状としては、に代表される中枢神経症状があるといわれています。また、潜伏期間が1~7日間とやや長いことも特徴です。患者の多くは1週間程度で回復し、死亡例や重症例はまれです。しかし、子どもや高齢者、その他抵抗力の弱い人は重症化する可能性が高いので、注意が必要です。また、感染の数週間後に手足の麻痺や、などを起こす「」を発症する場合もあります。
細菌の蛋白合成を阻害することにより細菌の増殖を抑えるマクロライド系抗生物質です。
17年2月27日、世界保健機関(WHO)は「最も重要な薬剤耐性菌12種」を発表しました(注)。そのうちの一つがカンピロバクター、正確には「ニューキノロン耐性カンピロバクター」です。「」の回で解説したように、ニューキノロン系抗菌薬は、カンピロバクターを含むグラム陰性菌に「よく効きます」。しかし、数年後に同じような文章を書く機会があれば「よく効いていました」としなければならないかもしれません。
11 カンピロバクター腸炎(Campylobacter enteritis)
疾病リスクだけでなく、リスクを下げるための食品情報、酪酸菌や乳酸菌やエクオール産生菌の割合、 バランス評価など、きめ細やかなレポートで皆様の健康をサポートします。
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第一選択薬はクラリスロマイシンやアジスロマイシンなどのマクロライド系薬となる。
症状は一般的な胃腸炎と同じように、腹痛、下痢、嘔気・嘔吐が生じることが多いですが、カンピロバクター腸炎では発熱寒気が出たり、高熱が出ますや倦怠感が強く、頭痛などの症状も強く出やすいことが知られています。カンピロバクター腸炎は“回盲部”という小腸と大腸の繋ぎ目の部分に炎症を伴うことが多く、右下腹部の痛みが強くなることが多いです。また腸の炎症がひどい場合は血便が出ることもあります。症状は日から日くらいで治ることが多いですが、長引く場合もあります。
カンピロバクター腸炎は特に乳幼児や学童の下痢症として重要な疾患で、原因菌の95 ..
病原体は肺炎マイコプラズマ( )であるが、これは自己増殖可能な最小の微生物で、生物学的には細菌に分類される。他の細菌と異なり細胞壁を持たないので、多形態性を示し、ペニシリン、セフェムなどの細胞壁合成阻害の抗菌薬には感受性がない。専用のマイコプラズマ培地上にて増殖可能であるが、日数がかかり(2~4 週間)、操作もやや煩雑で、雑菌増殖による検査不能例も発生する。肺炎マイコプラズマは熱に弱く、界面活性剤によっても失活する。
感染様式は感染患者からの飛沫感染と接触感染によるが、濃厚接触が必要と考えられており、地域での感染拡大の速度は遅い。感染の拡大は通常閉鎖集団などではみられるが、学校などでの短時間での暴露による感染拡大の可能性は高くなく、友人間での濃厚接触によるものが重要とされている。病原体は侵入後、粘膜表面の細胞外で増殖を開始し、上気道、あるいは気管、気管支、細気管支、肺胞などの下気道の粘膜上皮を破壊する。特に気管支、細気管支の繊毛上皮の破壊が顕著で、粘膜の剥離、潰瘍を形成する。気道粘液への病原体の排出は初発症状発現前2~8日でみられるとされ、臨床症状発現時にピークとなり、高いレベルが約1 週間続いたあと、4~6週間以上排出が続く。
感染により特異抗体が産生されるが、生涯続くものではなく徐々に減衰していくが、その期間は様々であり、再感染もよく見られる。
第₁選択薬であるマクロライド系抗菌薬のクラリスロマイシン(CAM)とエリスロマイ.
家禽(かきん)や家畜は、健康な状態でも体内にカンピロバクターをはじめとする食中毒菌を持っていることが知られています。カンピロバクターによる感染性胃腸炎は、食肉の加熱不足や二次汚染された食材によって引き起こされることがほとんどです。原因食品としては、鶏レバーやささみの刺身、鶏のたたきといった半生製品が疑われています。また、牛生レバーも原因食品として挙げられます。
カンピロバクター種の耐性菌が選択される可能性を示している。飼料内抗菌剤の広範 ..
このカンピロバクター腸炎も重症化する場合は、入院の必要がある腸炎として知られています。いつもと比べて症状がひどい腸炎になった場合はもしかしたらカンピロバクター腸炎かもしれませんから、こちらのコラムを読んで頂き、一度消化器内科を受診することをお勧めします。
[PDF] 抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 (案) 資料2
カンピロバクターを治療することができるのはニューキノロン系抗菌薬だけではなく、マクロライド系の抗菌薬も比較的よく効きます。ですが、ニューキノロン系抗菌薬は激しい下痢をもたらす多くの細菌に高い効果があるため、カンピロバクターを疑いつつ、他の細菌が原因の可能性もある場合には、第一選択薬に選ばれることが多いのです。細菌培養検査の結果が出るまでに数日はかかります。臨床医としては、目の前の苦しんでいる患者さんをそれまで待たせるわけにはいかないのです。
抗生剤(抗菌剤)の適正使用 (後編) | みうら小児科クリニック
本菌の発育には微好気条件(酸素濃度:5〜10%)が必須で、発育温度域は34〜43℃、炭水化物は好気・嫌気的にも利用できず、 NaCl濃度0.5%前後を至適とした好塩性を有する。本菌はウシ、ヒツジ、野鳥及びニワトリなど家禽類の腸管内に広く常在菌として保菌されており、はブタでの保菌率が極めて高いことを特徴とする。
症状は下痢、腹痛、発熱、悪心、 嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などであり、他の感染型細菌性食中毒と酷似するが、潜伏期間が一般に2〜5日間とやや長いことが特徴である。感染性腸炎研究会資 料によると、入院患者の98%に下痢が認められ、その便性状は水様便(87%)、血便(44%)、粘液便(24%)である。特に粘血便がみられる場合は、 細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ等による腸炎との鑑別を要する。下痢は1日に10回以上に及ぶこともあるが、通常2〜6回で1〜 3日間続き、重症例では大量の水様性下痢のために、急速に脱水症状を呈する。また、腹痛は87%、嘔吐は38%にみられた。発熱時の平均体温は38.3℃ で、サルモネラ症に比べるとやや低い。
感染症の診断は臨床症状からは困難で、糞便等から本菌を分離することが最も確実である。培養は微好気培養により最低2日間(37〜42℃)要する。本菌の 同定には通常3〜5日間程度必要であり、迅速性・正確性を期するために、PCR法等の遺伝子診断技術が必要不可欠となっている。
いずれも第一選択薬はマクロライド系抗菌剤(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)
長期的に内服すると、耐性菌という抗菌薬が効きにくい菌が発現したり、赤血球・白血球・血小板が減少する可能性があります。クラリスを処方された場合は、決められた投与量をしっかり守って治療に当たりましょう。副作用のチェックのため、定期的に血液検査が必要になる場合もあります。
*2:クラリスロマイシン 400 mg,ロキタマイシン 600 mg.
ここでは、抗生物質の過剰使用による腸内細菌叢への影響をご紹介しましたが、病気の治療には処方に基づく薬の使用が大切です。
[PDF] JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―腸管感染症―
診断については、便培養検査を行い、菌が検出されることで診断となりますが、便培養の結果が出るまでには日くらいかかってしまうので、結果が出る頃には、症状が治まっていることが多く、臨床診断病歴や症状から診断をつけることとなる場合が多いです。