の承認は、転帰や症状の改善を喫緊に必要とする慢性心不全患者さんに新たな治療選択肢を
心不全も腎不全も薬物治療の中心は降圧薬ですが、近年、心臓と腎臓の両方に対する臓器保護作用を持つ薬剤として注目されているのがSGLT2阻害薬です。
心不全治療における SGLT2 阻害薬の適正使用に関する Recommendation ..
この慢性的になった心不全に対する経口薬のラインナップは、最近まで20年近く大きな変化がないままに経過してきたのですが、2019年にHCNチャンネル遮断薬であるイバブラジン(商品名:コララン)、2020年にアンジオテンシン受容体・ネプライシン阻害薬(ARNI)のサクビトリルバルサルタン(商品名:エンレスト)とSGLT2阻害薬のダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)が新たに心不全の治療薬として保険収載され、心不全治療の実際に大きな変化をもたらしています。
フォシーガは、心血管死または心不全悪化の複合アウトカムを18%(中央値2.3年のフォローアップ期間でダパグリフロジン群で16.4%、プラセボ群で19.5%)低下させた(p
商品名フォシーガ)など、ここ1~2年の間に慢性心不全の適応を取得した薬剤の推奨が新たに加えられた。 ..
この所見は、検討した主なサブグループで一貫しており、フォシーガは左室駆出率の状態にかかわらず幅広い心不全患者に対した効果があった。試験結果では、カンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)の総症状スコアにより測定された患者報告アウトカムで症状改善の効果も示された。
【従前】(編集部で一部改変)
慢性心不全
▽効能または効果において「ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」とされているので、使用に当たっては十分留意する
▽効能または効果に関連する注意において「左室駆出率が保持された慢性心不全における本薬の有効性・安全性は確立していないため、左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与する」とされているので、投与開始に当たっては、左室駆出率の計測年月日および左室駆出率の値をレセプトに記載する
▽他の医療機関で左室駆出率を測定した場合には、当該測定結果・医療機関名をレセプトに記載することで差し支えない
循環器病対策、心不全治療の新たな展開 | 同友会メディカルニュース
一方、左室の収縮機能の保持された心不全については、上記のように明らかに寿命を延ばす効果のある薬は見つかっていませんでしたが、最近になりSGLT2阻害薬がこのタイプの心不全の入院や死亡を防ぐ効果があることが明らかとなりました。心不全の症状をとるためには、左室機能の低下に基づく心不全と同様、利尿薬が有効です。また収縮機能の保持された心不全では高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、心房細動などを合併していることが多いため、これらの併存症の治療をしっかり行うことも重要です。
この変化は心不全の日常診療に直結し重要な内容であったことから、日本循環器学会(JCS)と日本心不全学会(JHFS)が2018年3月に合同で発表した「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」を次回の改定を待つことなく「2021年JCS/JHFSガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療」として発表するに至っています。このガイドラインに示されている心不全治療のアルゴリズムを図2に示します。薬物治療の中で基本薬に加えてARNIへの切り替えやSGLT2の追加が示され、併用薬の中にはイバブラジンも入りました。
1) 日本循環器学会/日本心不全学会:急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017 年改訂版) ..
心不全は「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなって、生命を縮める病気」です。坂道や階段での息切れは、年齢のせいではなく心不全かもしれません。
今回は、「心不全の薬物治療」について説明します。
循環器病には多くの疾患が含まれますが、心臓の機能がなんらかの障害を受けることで最終的に生じる「心不全」の予防や治療は大きな課題となっています。心不全パンデミックとも言われる中では、いかに心不全を悪化させず、入院治療へ至らずに済むようにできるかが大切になります。予防が重要であることは変わりありませんが、心不全になってしまった場合には、投薬によって状態をコントロールすることも重要です。
心不全TOPICS#37 心不全治療におけるSGLT2阻害薬の ..
心不全は「心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなって、生命を縮める病気」です。
坂道や階段での息切れは、年齢のせいではなく心不全かもしれません。
SSy2-2慢性心不全・腎臓病の新展開 ~フォシーガに対する期待~
虚血性心疾患は、心臓に栄養を送る血管である冠動脈の血流が不十分になり、心筋が酸素や栄養素を十分に取り込めなくなることによって引き起こされます。冠動脈が狭窄したり(狭心症)、閉塞したりすることによって(心筋梗塞)、心臓の筋肉に十分な血液が送られなくなります。その結果心臓の動きが悪くなり、心不全を発症します。
Butt JHらは, 症候性心不全患者を対象に, SGLT-2阻害薬のダパグリフロジン(商品名 フォシーガ®) の ..
国内では、▽「フォシーガ」(一般名・ダパグリフロジンプロピレングリコール、アストラゼネカ)▽「ジャディアンス」(エンパグリフロジン、日本ベーリンガーインゲルハイム)▽「カナグル」(カナグリフロジン水和物、田辺三菱製薬)――の3つのSGLT2阻害薬が、心不全と腎臓病を対象とした開発を行っています(カナグルは糖尿病性腎症のみ)。
心不全に対するSGLT2阻害薬の使い方についてまとめてみた 2023.12
慢性心不全では昨年11月、フォシーガがこのクラスの薬剤として初めて承認を取得し、ジャディアンスも適応拡大を申請。慢性腎臓病では、フォシーガが昨年12月に申請を済ませ、ジャディアンスも臨床第3相(P3)試験を行っています。カナグルは糖尿病性腎症を対象にP3試験を実施中です。
国内の急性・慢性心不全診療ガイドラインでは、心不全の薬物治療法として、 ..
「心腎連関」とは、心機能の低下と腎機能の低下が影響を及ぼし合う現象のことです。心臓と腎臓は密接に関連しており、心疾患で心臓の機能が落ちると腎臓の働きが悪くなることがありますし、逆に、腎疾患で腎臓の働きが悪くなると、その影響で心臓の機能が低下することがあります。心不全患者の生命予後は腎機能に大きく左右されることが知られており、慢性腎臓病の患者では心血管疾患のリスクが高まることもわかっています。
害薬(販売名フォシーガ錠)が心不全治療薬として承認を取得している。
【見直し後】(編集部で一部改変)
慢性心不全
▽効能または効果において「ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」とされているので、使用に当たっては十分留意する
(後段の留意事項を削除)
試験で除外されており、慢性心不全治療及び慢性腎臓病治療における
フォシーガは世界110ヵ国以上で承認されているお薬で、1型糖尿病、2型糖尿病、慢性腎臓病、慢性心不全に使用できます。
○慢性心不全ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。 ○慢性腎臓病ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。 5
もう一つ、知っておいていただきたいのが、心不全以外の病気の治療に使われる薬が、心不全を悪化させることがあるということです。たとえば、鎮痛剤や消炎剤は腎臓の機能を落とし、体に水分が溜まりやすくします。そうなると心不全の悪化を助長する可能性がありますので、使用は必要最小限にすべきです。また、不整脈の薬やカルシウム拮抗薬の一部は、心臓の働きを弱め、心不全を悪化させる危険性があるといわれています。漢方薬のなかでは、甘草を含むものは、鎮痛剤・消炎剤と同様の理由で注意が必要です。糖尿病の薬のなかにも心不全を起こりやすくするものがあります。循環器以外の診療科から薬が処方されている場合は、どんな薬を飲んでいるのか、循環器の先生に知っておいてもらう必要があります(図19)。
循環器学会・日本心不全学会により2021年 JCS/JHFS ガイドラインフォーカスアップデート版 ..
第二の目的に用いられる薬剤としては、左室の収縮機能の低下が原因で起きる心不全では、①アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、ACE阻害薬が副作用などで使えない場合はアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)、②交感神経の緊張を抑えるベータ(β)遮断薬、③アルドステロン拮抗薬、さらに最近使えるようになった薬剤として④サクビトリル/バルサルタン、⑤SGLT2阻害薬などがあります。これらの治療薬を使っても心不全の悪化を繰り返す場合にはベルイシグアトという薬剤も使われます。また脈が規則正しく(洞調律)かつβ遮断薬などの治療薬を用いても脈が速い場合にはイバブラジンという薬剤も用いられます。これらの薬剤は、大規模臨床試験によって収縮不全の患者さんが心不全が悪化して入院したり死亡することを防ぐ効果があることが証明されています。これらの薬のなかには心不全の症状がなくても、心臓の機能が低下していることが分かった段階から始めたほうがよいものもあります。
慢性心不全治療薬の処方動向 フォシーガの慢性心不全患者への使用割合は全処方患者の「10%強」 ..
不全症では心臓弁膜が閉じることができず、血液が逆流します。これによって、心臓が余分な負荷を受けます。
フォシーガ® 錠は当初は糖尿病の治療薬として発売されましたが、心不全に ..
また、非薬物治療の中にある経皮的僧帽弁接合不全修復術は、僧帽弁という心臓の弁が逆流してしまう状態をカテーテル治療で治す方法になります。心不全では心臓が大きくなるために、弁が引き延ばされてしまう等により弁がきちんと閉まらなくなることで血液の逆流が生じ、そのことがさらに心不全を悪くしてしまうことがあります。経皮的僧帽弁接合不全修復術では、開胸術に比べて負担の少ないカテーテル治療で弁の逆流を治すことができ、COAPT試験という研究では心不全による入院を薬物治療に比べて47%減少したという結果も出ています。日本では2018年4月に保険適応となり、心機能が低下して重症な僧帽弁逆流がある方には、このような非薬物療法も検討していく必要があります。
これらの薬剤は今まで 20 年近く変化の無かった心不全治療を劇的に変化させることが期.
心不全の原因として特に多いのは大動脈弁狭窄症と僧帽弁閉鎖不全症です。
現在、心不全治療に用いられている①サクビトリル/バルサルタン ..
「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」が発表されて以降、Ifチャネル阻害薬やアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)、SGLT2阻害薬などが保険適用となった。また、非薬物治療においてもカテーテルアブレーションやMitraClipなどの重要なエビデンスが加わったことから、「2021年JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版急性・慢性心不全診療」が策定された。
2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療.
心不全になると全身に血液などの体液を循環させるポンプ機能が低下します。
このポンプ機能の低下を補うために、脈拍が増えたり血圧が高くなったりといった様々な変化(代償機転)が起こります。