薬剤師のためのBasic Evidence(制吐療法) | 日医工株式会社
患者の価値観・好みについてエビデンスに基づく評価はできていないが,嘔吐抑制,悪心抑制という益は多くの患者が求めるものであり,多様性は低いと考えられる。害については少ないと考えられたが,患者のライフスタイルや価値観も考慮すべきである。
高度催吐性化学療法における アプレピタントの有効性についての検討
患者の価値観・好みについてエビデンスに基づく評価はできていないが,嘔吐抑制,悪心抑制という益は多くの患者が求めるものであり,多様性は低いと考えられる。害については少ないと考えられたが,患者のライフスタイルや価値観も考慮すべきである。
患者の価値観・好みについてエビデンスに基づく評価はできていないが,嘔吐抑制,悪心抑制という益は多くの患者が求めるものであり,多様性は低いと考えられる。害については少ないと考えられたが,患者のライフスタイルや価値観も考慮すべきである。
また、デキサメタゾン及びメチルプレドニゾロンとの相互作用の検討では、推奨用法・用
オランザピン非投与群との比較ができていないため結果の解釈には注意が必要であるが,傾眠については,高度催吐性リスク抗がん薬を対象に行われた臨床試験で報告されている頻度と同程度であり(→ 参照),オランザピンの追加・併用による害は少ないことが示唆された。ただし,糖尿病患者へのオランザピン投与は本邦では禁忌である。また,作用点が重複するドパミン(D2)受容体拮抗薬との併用は避け,睡眠薬との併用にも注意を要する。
採用したランダム化比較試験は,症例数が少ない,高度催吐性リスク抗がん薬と中等度催吐性リスク抗がん薬が混在している,などの限界があるが,悪心抑制,嘔吐抑制いずれにおいてもオランザピンの追加・併用の有効性が示唆された。一方で,観察研究では有効性は明らかではなかった。
尿路上皮癌化学療法に伴う悪心・嘔吐に対するパロノセトロン/デキサメタゾンおよびパロノセトロン/アプレピタント/デキサメタゾン併用療法の検討
ランダム化比較試験2 編,,第Ⅱ相試験,観察研究1 編をもとに評価した。いずれにおいてもオランザピン非投与群でのデータが報告されておらず,比較はできなかった。中等度催吐性リスク抗がん薬のみを対象としたランダム化比較試験1 編では,オランザピン投与群において,傾眠Grade 1 が3/29 例(10.3%),Grade 2 が1/29 例(3.4%)に認められ,発現頻度は低かった。もう一方のランダム化比較試験1 編では,オランザピン投与群で眠気(sleepiness)が73%の患者に認められた。第Ⅱ相試験では,The M. D. Anderson Symptom Inventory(MDASI)により評価された眠気(feeling drowsy)は平均4.46(最悪値10,SD 3.02)であった。観察研究では,25/50 例(50%)にGrade 1/2 の鎮静が認められ,5/50 例(10%)がGrade 3 であった。
ランダム化比較試験2 編,をもとに評価した。中等度催吐性リスク抗がん薬のみを対象としたランダム化比較試験1 編では,オランザピン非投与群でのデータが報告されておらず,比較はできなかった。オランザピン投与群においては,Grade 1 の高血糖が1/29 例(3.4%)に認められ,発現頻度は低かった。もう一方のランダム化比較試験1 編では,抗がん薬投与後の血糖値について両群間で有意差はなかったと報告されていた。
アプレピタント,デキサメタゾン3剤併用の非盲検非対照第II相試験
本CQ では,中等度催吐性リスク抗がん薬による治療を受ける患者を対象に,悪心・嘔吐予防として,3 剤併用療法(5-HT3 受容体拮抗薬+デキサメタゾン+オランザピン)と2 剤併用療法(5-HT3 受容体拮抗薬+デキサメタゾン)を比較した際の「血糖上昇」「嘔吐抑制」「悪心抑制」「有害事象」「コスト(薬剤費)」の5 項目をアウトカムとして設定し,システマティックレビューを行った。
高度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として,5-HT3 受容体拮抗薬,NK1 受容体拮抗薬,デキサメタゾンの3 剤併用療法にオランザピンを加えた4 剤併用療法が,NCCN ガイドライン2017,ASCO ガイドライン2017 において推奨療法として追加された。一方,中等度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として5-HT3 受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの2 剤併用療法が推奨される場合に,オランザピンの追加・併用の有用性があるかについても検証すべく本CQ を設定した。
5-HT3受容体拮抗薬とデキサメタゾンの2剤を併用する。 イホスファミド、メトトレキサートを投与する場合は、さらに
システマティックレビューレポートに基づいて,推奨草案「中等度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として,3 剤併用療法へのオランザピンの追加・併用を弱く推奨する。」が提示され,推奨決定の協議と投票の結果,24 名中21 名が原案に賛同し,合意形成に至った。
シスプラチンを基にした高度催吐性化学療法の開始前、1 日目に 5-HT3 拮抗薬
第Ⅱ相試験1 編における評価であり,結果の解釈には注意が必要であるが,その報告における「傾眠」については,高度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防におけるオランザピンを含む臨床試験で報告されている「傾眠」と同程度の頻度,重症度であり(→ 参照),オランザピン追加・併用による害は少ないことが示唆された。ただし,糖尿病患者へのオランザピン投与は本邦では禁忌であり,本CQ で採用した本邦で実施された臨床試験,では,糖尿病患者は除外されていたことに注意を要する。また,作用点が重複するドパミン(D2)受容体拮抗薬との併用は避け,睡眠薬との併用にも注意を要する。
およびデキサメタゾンとアプレピタントを併用し、化学療法後となる 2 日目と
ランダム化比較試験においても症例数が少なく,結果の解釈には注意が必要であるが,嘔吐抑制,悪心抑制いずれにおいてもオランザピンの追加・併用の有用性が示唆された。
注)アプレピタントを使用しない場合は、1日目のデキサメタゾン注射薬
ランダム化比較試験1 編では有害事象は評価されておらず,第Ⅱ相試験1 編(33 例)で評価した。オランザピンの主な副作用である傾眠(somnolence)の発現頻度は48.5%で,Grade 1/2 のみであった。
ノセトロンとデキサメタゾン併用下においてオランザピン 10mg はアプレピタントと同等
本CQ では,中等度催吐性リスク抗がん薬による治療を受ける患者を対象に,悪心・嘔吐予防として,4 剤併用療法(5-HT3 受容体拮抗薬+NK1 受容体拮抗薬+デキサメタゾン+オランザピン)と3 剤併用療法(5-HT3 受容体拮抗薬+NK1 受容体拮抗薬+デキサメタゾン)を比較した際の「血糖上昇」「嘔吐抑制」「悪心抑制」「有害事象」「コスト(薬剤費)」の5 項目をアウトカムとして設定し,システマティックレビューを行った。
細胞腫瘍に対する低用量シスプラチン分割投与におけるアプレピタントの併用使用は,遅発期の悪心・嘔吐の軽減
高度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として,5-HT3 受容体拮抗薬,NK1 受容体拮抗薬,デキサメタゾンの3 剤併用療法にオランザピンを加えた4 剤併用療法が,NCCN ガイドライン2017,ASCO ガイドライン2017 において推奨療法として追加された。一方,中等度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として3 剤併用療法が推奨される場合があり(→ 参照),その際のオランザピンの追加・併用の有用性についても検証すべく本CQ を設定した。
注)アプレピタントを使用しない場合は、1日目のデキサメタゾン注射薬は
悪心・嘔吐予防として,5-HT3 受容体拮抗薬,NK1 受容体拮抗薬,デキサメタゾンの3 剤併用療法が標準となる中等度催吐性リスク抗がん薬のみを対象とした大規模比較試験による,オランザピンの追加・併用の検証が期待される。
デキサメタゾン併用が術後の悪心・嘔吐に与える影響.麻酔 2008 ; 57 : 978-982 (Ⅰ)
高度催吐性リスク抗がん薬に準じて3 剤併用療法を行うことが推奨されるカルボプラチンのような特定の中等度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として,3 剤併用療法にオランザピンを追加・併用する意義があるかは,臨床現場で遭遇する問題である。システマティックレビューを行い,4 剤併用療法の意義を検討した結果,5-HT3 受容体拮抗薬,NK1 受容体拮抗薬およびデキサメタゾンの3 剤併用療法にオランザピンを追加・併用することを弱く推奨するとした。
[PDF] 2016年04月 『抗癌剤の催吐性リスク分類と制吐療法について』
カルボプラチンを除く中等度催吐性リスク抗がん薬による治療を受ける患者を対象として,NK1 受容体拮抗薬を含む3 剤併用療法の有効性・安全性の評価についてはエビデンスが不十分である。また,新規制吐薬である選択的NK1 受容体拮抗薬のホスネツピタントは2022 年5 月に本邦で薬価収載となったが,本システマティックレビュー実施時には上市されていなかったので今回の検索の対象にはなっていない。これらのことから,カルボプラチンを除く中等度催吐性リスク抗がん薬に対するNK1 受容体拮抗薬の有用性を検証するランダム化第Ⅲ相比較試験が望まれる。
• デキサメタゾンは血糖上昇や不眠、骨量低下等の副作用を有する
システマティックレビューレポートに基づいて,推奨草案「中等度催吐性リスク抗がん薬のうち,カルボプラチンによる治療においては,悪心・嘔吐予防としてNK1 受容体拮抗薬の投与を強く推奨する。」が提示され,推奨決定の協議と投票の結果,22 名中22 名が原案に賛同し,合意形成に至った。
• 中等度またはシスプラチン以外の高度催吐リスク化学療法に対して
これらの結果は,NK1 受容体拮抗薬の作用機序や特徴を考慮すれば妥当な結果である。これらを総合すると,NK1 受容体拮抗薬を含む3 剤併用療法は悪心・嘔吐の抑制に有効と考えられる。
アプレピタント(イメンドカプセル®)、ホスアプレピタント ..
嘔吐抑制の指標は「CR 割合」とし,ランダム化比較試験15 編をもとに評価した。発現時期については,全期間14 編,急性期15 編,遅発期15 編で評価した。研究間の結果には一貫性があると判断した。メタアナリシスではバイアスリスクと出版バイアスはなく,いずれの発現時期においても,NK1 受容体拮抗薬を含む3 剤併用療法は2 剤併用療法と比較して有意にCR 割合を改善した〔RD:全期間0.11(95%CI:0.08-0.15,p<0.00001),急性期0.03(95%CI:0.01-0.05,p=0.01),遅発期0.10(95%CI:0.08-0.13,p<0.00001)〕()。
[PDF] 表3 造血器腫瘍に使用する抗がん剤の催吐性リスク分類と予防
本CQ では,中等度催吐性リスク抗がん薬による治療を受ける患者を対象に,悪心・嘔吐予防として,3 剤併用療法(5-HT3 受容体拮抗薬+デキサメタゾン+NK1 受容体拮抗薬)と2 剤併用療法(5-HT3 受容体拮抗薬+デキサメタゾン)を比較した場合の「嘔吐抑制」「悪心抑制」「有害事象」「コスト(薬剤費)」の4 項目をアウトカムとして設定し,システマティックレビューを行った。
シスプラチンと AC 療法を含む高度催吐性リスク抗がん薬に対して、パロ
前版では,中等度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防に5-HT3 受容体拮抗薬とデキサメタゾンの2 剤併用療法が推奨されている。しかし,中等度催吐性リスク抗がん薬の催吐割合は30%<~90%と幅が広く,催吐割合が60%~90%であるカルボプラチン(AUC≧4)に対しては,NK1 受容体拮抗薬を含む3 剤併用療法が推奨されている。推奨される制吐療法を行っても,悪心・嘔吐が十分抑制できない症例もあるため,催吐割合の幅が広い中等度催吐性リスク抗がん薬に対する適切な制吐療法を検証すべく本CQ を立案した。