スルバクタムナトリウム(ABPC/SBT)。僅差で、経口薬であるアモキシシリン(AMPC)が続いた。
病原微生物の抗菌薬への耐性化がたびたび話題になる昨今、感染症診療において、「どの抗菌薬がどの細菌に対して効力を示すか」を知ることは大切なことです。本書は、最新の文献をもとに、各種細菌に対する抗菌薬のMIC90値をひと目でわかるように示した「サークル図」をまとめたものです。各抗菌薬のページでは、サークル図だけでなく薬剤の特性やガイドラインの推奨情報、添付文書情報、腎機能低下患者への投与量など役立つ情報が満載。読者の要望に応え、総論での耐性菌についての解説も充実させました。白衣のポケットに入るコンパクトサイズで、臨床現場で抗菌薬使用に従事する方におすすめの一冊です。
スルバクタム/アンピシリン、クラブラン酸/アモキシシリン 丹羽 隆 南山堂 薬局 72巻 3号 (2021年3月) pp.405-415
この系の抗生物質はβラクタム環、つまり四角形の環構造(4員環)を持つという共通の特徴があります。βラクタム系抗生物質はこの4員環の右に接する構造によっていくつかに分類できる。
Βラクタム系抗生物質の作用は、細菌の細胞壁の構成成分であるペプチドグリカン(別名:ムレイン)の伸長を止めて細胞壁の合成を阻害することであり、細胞壁は人のような真核生物にはないため、細菌特異的に効果を示すということになる。
S/A:スルバクタム/アンピシリン,C/A:アモキシシリン/クラブラン酸,
ペニシリン系抗菌薬を加水分解できるβラクタマーゼであるペニシリナーゼを産生するメチシリン感性黄色ブドウ球菌(MSSA)や一部のインフルエンザ菌、モラキセラ、バクテロイデスはペニシリン系薬を分解します。このようなβラクタマーゼ産生菌はβラクタマーゼを阻害するスルバクタム(SBT)やクラブラン酸(CVA)、タゾバクタム(TAZ)が配合されたABPC/SBT、AMPC/CVA、PIPC/TAZといった合剤で治療します※1。
ムレインモノマーのペプチド鎖のD-Ala-D-Ala部分がβラクタム環に類似しているため、ペプチドグリカン合成の際にPBPがβラクタム系抗生物質を標的と勘違いしてしまう。
◎アモキシシリンの主な代替薬はセファレキシン、マクロライド系抗菌薬、クリンダマイシンである。
ペニシリンG(PCG)は抗菌スペクトルは狭いですが、抗菌活性※2は高く、第一に使い方を覚えるべき抗菌薬です。半減期が約30分と短く時間依存性※3の抗菌薬であり、1日4~6回の頻回投与または1日必要量を2~3分割して持続投与を行います。PCG 100万単位を重さに換算すると約0.6 gとなります。最大用量である2,400万単位=14.4 gと概算すると投与量をイメージしやすいと思います。
これによって、トランスペプチダーゼ活性に必要なPBPのセリン残基の水酸基とβラクタム系抗生物質が安定なエステル結合(共有結合=不可逆)を形成し、トランスペプチダーゼ活性を阻害するため、ペプチドグリカンの合成がなされず、細胞壁の合成が止まる。
Β-ラクタマーゼ阻害薬(クラブラン酸またはスルバクタム)を追加することにより,メチシリン感受性ブドウ球菌,インフルエンザ菌(H
Βラクタム系抗生物質は親水性が高く、腎臓から未変化体で排泄される割合が高い薬剤であり、親水性が高い(マクロライドとテトラサイクリン系は逆に親油性が高い)ために脂質二重層である細胞膜は通過しにくい。
グラム陽性菌は細胞内圧が高く、分厚い細胞壁を壊すと溶菌されるためβラクタム系抗生物質が効きやすい。グラム陰性菌は細胞内圧が低く、細胞壁も薄い、そして外膜を通過するためにポーリンを通過する必要があるため、βラクタム系抗生物質の効果は限定的となる。
[PDF] セフェムアレルギーと βラクタム系抗菌薬の使用(交差反応)
さて、その甲斐もあり、2016年まで横ばいであった日本の抗菌薬使用量(販売量ベース)は2017年、2018年と継続的に減少し、ついに2013年比で10.7%の減少に至った(図1)[1]。もちろん、これはこれでAMRを生み出す選択圧が減少しているという意味で大切なことなのだが、抗菌薬使用量そのものが減少することよりも、「抗菌薬が適切に選択される」ことがより大切であろう。抗菌薬が適切に選択された結果として、抗菌薬使用量が減少することがわれわれの目標である。
クラブラン酸/アモキシシリン (薬局 72巻3号) | 医書.jp
<Key Points>◎ベンジルペニシリン、アンピシリン、アモキシシリンは侵襲性肺炎球菌感染症、溶連菌性咽頭炎、腸球菌感染症、梅毒、歯科治療などのキードラッグである。◎ベンジルペニシリン、アンピシリンの主な代替薬はセフトリアキソン、セフォタキシム、テトラサイクリン系抗菌薬、グリコペプチド系抗菌薬である。◎アモキシシリンの主な代替薬はセファレキシン、マクロライド系抗菌薬、クリンダマイシンである。
スルバクタムナトリウムは、β-ラクタマーゼ阻害薬として機能し、細菌が産生 ..
抗生物質の構造が細胞壁を形成するペプチドグリカンのD-アラニル-D-アラニン末端と類似しているため、ペプチドを伸長させるのに必要なペニシリン結合タンパク(PBP)のランスペプチターゼいう酵素が、D-アラニル-D-アラニン末端でなく抗生物質のほうに結合してしまうことによる。
アモキシシリンならびにアモキシシリン/クラブラン酸の不足に関する提言(2023.8
抗菌薬選択では,(1)量より質(必要最小限の抗菌薬を,十分な理解と自信を持って処方!),(2)新しさより実績(十分な使用経験に耐えてきた抗菌薬をまず選ぶ),(3)想定する感染臓器に届くか(特に中枢神経系や前立腺,眼球に注意。また何よりもスペクトラムを十分に熟知して使用!),(4)効果に差がなければ可能な限り安く,(5)患者,医師・ナースに優しい(副作用・薬物相互作用・投与回数が少ない)抗菌薬を選ぶことがポイントとなります。
アモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウム amoxicillin and clavulanic acid ..
ユナシンS(アンピシリンナトリウム/スルバクタムナトリウム; Ampicillin/sulbactam)とは、感染症治療に用いられる抗生物質の一種で、細菌による様々な感染症に効果を発揮する薬剤です。
アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム ampicillin/sulbactam.
アモキシシリン水和物とは、ペニシリン系抗生物質の一種で、細菌感染症の治療に広く用いられる薬剤です。
原則として、「アモキシシリン水和物【内服薬】」を「急性副鼻腔炎」に対して処方 ..
この薬剤を基に改良された新しい抗生物質が、スルタミシリントシル酸塩水和物です。
一般細菌のアンピシリン及びスルバクタムの合剤に対する感受性測定
スルタミシリントシル酸塩水和物の有効成分は、アモキシシリンとスルバクタムの二つの成分が結合した形態をしており、この独特な構造により体内での吸収性と安定性が向上し、より効果的な抗菌作用を発揮することが可能となっています。
アンピシリンナトリウム・スルバクタム, ampicillin/sulbactam, Access
使い分けや覚え方に腐心する抗菌薬。今回はその中のを、公立大学法人 横浜市立大学附属病院 血液・リウマチ・感染症内科の副島 裕太郎 先生に解説していただき、一覧にまとめました。
・アモキシシリンならびにアモキシシリン/クラブラン酸の代替薬と ..
アモキシシリンはペニシリン系抗生物質として広範囲の細菌に対して強力な殺菌効果を持つことで知られ、一方、スルバクタムはβ-ラクタマーゼ阻害剤として機能し、細菌が産生する抗生物質分解酵素の働きを抑制する役割を担っています。
駆け出し感染症内科医のClinical Questions 調べたことは ..
スルタミシリントシル酸塩水和物が体内に入ると、腸管から吸収される過程で、アモキシシリンとスルバクタムに分離し、この二つの成分が協調して作用することで、強力な抗菌効果を発揮します。
通常成人にはスルバクタムナトリウム アンピシリンナトリウムとして、
ユナシン(アンピシリンナトリウム/スルバクタムナトリウム)は、二つの重要な有効成分から構成されており、これらが協力して強力な抗菌作用を発揮する特徴的な抗生物質です。
[PDF] 【4】Q&A 腎機能に応じた抗菌薬の投与量について
アンピシリンナトリウムは、ペニシリン系抗生物質の一種で、細菌の細胞壁合成を阻害することで殺菌効果を示し、幅広い細菌に対して効果的に作用します。
回投与は、アンピシリンスルバクタム 3g 静注でもよい。 感染が成立している場合 ..
青カビから分離された天然抗生物質です。スペクトラムは狭域ですが、レンサ球菌・髄膜炎菌への強力な活性を持つ「切れ味のよい」抗菌薬と言えるでしょう。半減期が短いため、4時間ごとの点滴もしくは24時間持続点滴で投与(腎機能正常の場合)します。
+オーグメンチン(アモキシシリン/クラブラン酸)250mg 1日3回.
スルバクタムは細菌が産生するβ-ラクタマーゼという酵素と結合し、その活性を抑制することで、アモキシシリンがβ-ラクタマーゼによって分解されるのを防ぎ、抗菌作用を維持することができます。