多発性骨髄腫に対するダラツムマブ,ボルテゾミブ,デキサメタゾン投与中 ..


多発性骨髄腫は、体内に入ってきた異物など、非自己とみなした物質(抗原)から体を守る形質細胞が、がん化したことによって発症する病気です。多発性骨髄腫は、完全に治癒させることは難しい病気ですが、近年、造血幹細胞移植(正常な血液をつくる細胞を移植して、その機能を回復させる治療法)や、新しいタイプの薬が使われるようになり、治療成績はとても向上しています。
最初の治療は、患者さんの年齢や体力、合併症や臓器障害による症状などによって、造血幹細胞移植を行う場合と、2~3剤の薬を組み合わせて症状を緩和する治療を行う場合に大別されます。いずれも、異常に増えた骨髄腫細胞と骨髄腫細胞からつくられるM蛋白という異常な蛋白をできる限り減らし、症状を軽くすること、悪化させないようにすること、良い状態で長く過ごせるようにすることを目指します。


症状のない骨髄腫(MGUS、くすぶり型骨髄腫)から多発性骨髄腫への進展率は年に

多発性骨髄腫の治療経過は、最初の治療後に奏効が何年も続く場合もあれば、骨髄腫細胞がなかなか減らず、薬を変更したり放射線療法と組み合わせたりと、いろいろな治療の工夫が必要な場合もあります(難治性)。
多くの患者さんは、最初の治療で奏効が得られた後、安定した状態が長く続きますが、その後、再発、治療、奏効を繰り返します。
新しい治療薬の登場により、奏効を維持できる期間は以前に比べ、とても長くなっており、骨髄腫は進行や症状をコントロールしながら、長くつき合う病気となっています。

移植を行う予定の患者さんでは、後で行う自家移植に影響しないように、骨髄にダメージを与えない薬で骨髄腫細胞を減らす寛解導入療法が行われます。
寛解導入療法後、白血球を増やす薬などを使用して、患者さんの末梢血から造血幹細胞を採取し、凍結保存します。その後、体の中に残っている骨髄腫細胞を大量の抗がん剤により死滅させます。保存しておいた造血幹細胞を患者さんの体に点滴で戻し、しばらくすると造血幹細胞がはたらくようになり(生着)、正常な血球や免疫が回復していきます。

[PDF] 当院で多発性骨髄腫の治療としてカルフィルゾミブと ..

Dimopoulos MA らはVADとliposomal doxorubicin(VAD doxil群)の比較試験を行っている(Ann Oncol 14:1039-44, 2003)。127例のVAD療法と、132例のliposomal doxorubicin(VAD doxil群)を用いた群との比較では、127例VAD群のみの結果について記載する。年齢中央値66(37-88)歳、男性67例、女性59例、治療に対する反応は完全寛解16例(12.6%), 部分寛解62例(48.8%), 反応なしが、49例(38.6%)であり、grade 2以上の好中球減少20%, grade 2以上の血小板減少10%, greade 2以上の吐き気、嘔吐4%, 脱毛55%, grade 2以上の粘膜障害7%, grade 2以上のerythrodysesthesia 2%, grade 2以上の神経障害13%であった。VAD doxil群でもほぼ同じであった。VADでのTTPは23.93ヶ月間であった。(95%CI16.92~30.94).
6.

多発性骨髄腫では、治療コースごとに治療がどれくらい効いたか、効果判定が行われます。自家造血幹細胞移植を行った場合には、移植の約100日後に効果判定が行われます。
治療によって骨髄腫細胞やM蛋白が減少し、安定した状態が続くことを「奏効」といいます。尿中のM蛋白がどれくらい減ったか、骨髄中の形質細胞の割合はどうなったかといった指標により、部分奏効(PR)、最良部分奏効(VGPR)、完全奏効(CR)などと判定されます。
近年、新しい治療法の登場により、深い奏効が得られる患者さんの割合が増え、奏効の深さに応じて生存期間の延長がもたらされることが明らかとなり、より深い奏効を得ることが治療の目標とされるようになってきました。

デキサメタゾン、メルファランしか処方できなった時代もありましたが、再発難治性多発性骨髄腫の新薬は今でも複数あります。

18:475-480, 1995)。1990年から1992年までに47例の第1選択治療に不応であった骨髄腫患者、VAD単独群24例、interferon併用群23例の比較である。差は認められず、有害事象については24例のVAD単独」において、白血球減少11例、血小板減少4例、貧血9例、感染症6例、口腔粘膜障害1例、肺炎3例、低血圧1例、神経障害;運動性2例、浮腫1例、高血糖1例、その他3例であった。
7.

維持療法では、多くはプロテアソーム阻害剤や免疫調節薬の単剤もしくは2剤で、通常1~2年治療が続けられます。病気の進行が抑えられ、副作用などの問題がない場合には、さらに長期間にわたって継続される場合もあります。ただし、治療の継続が困難な副作用や二次性発がんの可能性など、リスクとベネフィットを個々に検討する必要があります。
薬の種類や使用期間については、患者さんの状態や生活スタイル、副作用の発現状況などをみながら、総合的に判断して決められます。
維持療法は、定期的な通院は必要になりますが、最近では、治療薬の種類(プロテアソーム阻害剤、免疫調節薬など)、投与方法(経口剤、注射剤)や治療頻度(週1回、連日など)が異なる、様々な治療選択肢がでてきています。初回導入療法と比べても治療負担の増えない選択肢もあります。

キーワード:多発性骨髄腫 IMiDs デキサメタゾン CRBN

多発性骨髄腫において、 免疫抑制作用のあるデキサメタゾンの使用方法は臨床医によって意見が分かれる. 本試験により、 レナリドミドと併用する治療の維持療法としてデキサメタゾンを抜くエビデンスが示されたということができる.

Cesana Cらは、97例に対して、合計340コースのVAD療法について細菌感染症の危険因子について報告している。(Haematologica 88:1022-1028, 2003)1990年5月から2001年12月までの97例において、340コース中、敗血症3例(1.5%)、肺炎18例(9.7%)、CMV感染症2例、原因不明熱1例であった。その他に軽度の感染症として、尿路感染3例、急性気管支炎1例、皮膚蜂か織炎、である。帯状疱疹3例、口腔内カンジダ症4例、32例の患者に合計44回感染症のエピソードがあった。危険因子については単または多変量解析によって、診断後4ヶ月以後、好中球数最低値が1,000未満、血清クレアチニン値1.2mg/dLをこえている、抗生物質の予防投与の内場合、中心静脈留置、に感染症発症の危険率が高くなるとしている。治療前の危険因子としては男性、前治療歴を有する、持続点滴による投与、年齢56歳を越えた場合、骨髄腫のタイプとしては、病期にはよらず、尿中L鎖陽性者、PS, 非寛解例に高かった。
以上の8編の論文から好中球減少は約20%に認められ、感染症の合併には注意を要する。またこの疾患自体が免疫不全であり、高齢者に多い疾患であり、感染症、特に肺炎の合併、PSの不良例では注意する。
4.本療法の位置づけについて


5.国内における本剤の使用状況について


再発難治性多発性骨髄腫、belantamab mafodotin上乗せの有用性

[VAD chemotherapy of multiple myeloma]
臨床血液 1990 Jul;31(7):917-21.
12例の不応性または再発した骨髄腫に、行われ、7例に奏功し、部分寛解3,minor response4例である。63.7%に奏功したと考えられる。感染症、消化管出血、うっ血性心不全が有害事象として報告された。
以上のように国内において症例報告等もあり、すでに繁用されており、使用経験は多い。
6.本剤の安全性に関する評価


7.本剤の投与量の妥当性について


近年,新規薬剤を含む治療法の改善により,多発性骨髄腫患者の生存期間は年単位で延長してきているが,高齢

多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)は,形質細胞の単クローン性(腫瘍性)増殖と,その産物である単クローン性免疫グロブリン(M 蛋白)の血清・尿中増加により特徴づけられる疾患である。わが国では人口10 万人あたり約3 人の発症率で,本邦での死亡者数は年間4,000 人前後である。全悪性腫瘍の約1%,全造血器腫瘍の約10%を占め,発症率,死亡率ともに年々増加傾向にある。国際骨髄腫作業部会(International Myeloma Working Group:IMWG)による診断規準が広く用いられている()

[PDF] 医師のための ASH2008 多発性骨髄腫 ハイライト

この中で全身化学療法の対象となるのはCRAB(O)で称される臓器障害,すなわち高カルシウム血症,腎不全,貧血,骨病変,その他(過粘稠度症候群,アミロイドーシス,年2 回を超える細菌感染)のうち一つ以上を有している症候性骨髄腫(symptomatic myeloma)および症候性非分泌型骨髄腫患者であり,M 蛋白量は治療開始の指標としては用いないことに注意が必要である。ただし,2011 年の第13 回国際骨髄腫作業部会においてガイドラインの見直しが提案された。改訂事項としては,臓器障害を骨髄腫診断事象(myeloma-defining event:MDE)と称すること,「年2 回を超える細菌感染」はMDE から除外されたこと,アミロイドーシスや軽鎖沈着単独ではMDEとしないこと,腎不全の定義には血清クレアチニン値ではなく推算糸球体濾過率(estimated glomerular filtration rate:eGFR)を用い,①他に原因のない年35%以上のeGFR の低下,②他に原因がなくeGFR 50 mL/分未満,③腎生検によるlight chain nephropathy の診断,の何れかがMDE として用いられることになったことなどが挙げられる。症候性骨髄腫患者の診療において治療開始前のベースライン評価として勧められる検査項目を列挙する()。

サノフィ株式会社の依頼による再発性及び/又は難治性多発性骨髄腫患者を対 ..

再発多発性骨髄腫患者でこれまでに 1~3 回治療を受けたことのある患者を対象に,ボルテゾミブ(bortezomib)と高用量デキサメタゾンを比較した.

多発性骨髄腫は血液細胞の中の「形質細胞」というリンパ球の仲間の細胞ががん化し、骨髄を中心に増殖する「形質細胞腫瘍」の最も代表的な疾患です。

骨髄腫が再発した患者 669 例を,ボルテゾミブを 1,4,8,11 日目に静脈内ボーラス投与(1.3 mg/m2 体表面積)する 3 週間のサイクルを 8 回行ったのち,ボルテゾミブを 1,8,15,22 日目に投与する 5 週間のサイクルを 3 回行う群と,高用量デキサメタゾン(40 mg 経口投与)を 1~4 日目,9~12 日目,17~20 日目に投与する 5 週間のサイクルを 4 回行ったのち,高用量デキサメタゾンを 1~4 日目に投与する 4 週間のサイクルを 5 回行う群のいずれかに無作為に割付けた.デキサメタゾン投与に割付けられた患者については,疾患の進行後,並行試験において,クロスオーバー法でボルテゾミブを投与することが認められた.

期待できない再発・難治性の多発性骨髄腫に対し、エムプリシティを加え

症候性骨髄腫に対して患者予後を推定するための病期分類として,血清β2 ミクログロブリン値とアルブミン値のみを用いる国際病期分類(International Staging System:ISS)の使用が推奨される()。加えて染色体分析とFISH (fluorescence in situ hybridization)法を用いた病型の提唱が行われており,高リスク病型と標準リスク病型に分類され予後因子としての意義が示されている()。しかし,現時点ではISS や染色体病型に基づく化学療法の層別化は実施されていない。

種々のヒト多発性骨髄腫細胞株に対して増殖抑制作用を示し、その作用はレナリドミドとの併用により増強された。 18.3 In vivo試験

ボルテゾミブは,これまでに 1~3 回治療を受けたことのある多発性骨髄腫患者の再発治療において,高用量デキサメタゾンよりも優れている.

(力価)/m2(体表面積)以下とする。 6.7 多発性骨髄腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法

ボルテゾミブ,レナリドミド,デキサメタゾンの併用(VRd)は,新たに診断された多発性骨髄腫患者に対する一次治療の選択肢として選好される.VRd レジメンに抗 CD38 モノクローナル抗体イサツキシマブを追加することで,移植非適応の多発性骨髄腫患者の病勢進行または死亡のリスクが低下するかは不明である.

多発性骨髄腫に対して,ボルテゾミブとデキサメタゾンの有用性を比較検討した RCT で,ボルテゾミブ.

国際共同非盲検第 3 相試験で,多発性骨髄腫と新たに診断された移植非適応の 18~80 歳の患者を,イサツキシマブと VRd を併用する群と,VRd 療法のみを行う群に 3:2 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性評価項目は無増悪生存とした.完全奏効以上,完全奏効を達成した患者における微小残存病変(MRD)陰性状態などを,重要な副次的評価項目とした.

本薬の申請効能・効果は、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」と設定されていた。

446 例が無作為化された.追跡期間中央値 59.7 ヵ月の時点で,60 ヵ月無増悪生存率の推定値は,イサツキシマブ+VRd 群では 63.2%であったのに対し,VRd 群では 45.2%であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.60,98.5%信頼区間 0.41~0.88,P<0.001).完全奏効以上を達成した患者の割合は,イサツキシマブ+VRd 群のほうが VRd 群よりも有意に高く(74.7% 対 64.1%,P=0.01),完全奏効と MRD 陰性状態が得られた患者の割合も同様であった(55.5% 対 40.9%,P=0.003).イサツキシマブ+VRd レジメンに,新たな安全性シグナルは認められなかった.投与中の重篤な有害事象の発現率と,投与中止にいたった有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

多発性骨髄腫に対するイサツキシマブ,ボルテゾミブ,レナリドミド

D-MPB療法完了の定義」参照)し、かつ二次登録前28日以内の総合効果判定でPR以上(PR/VGPR/CR/sCR)の奏効※が得られている。ただし、D-MPB療法を完了していない場合であっても、D-MPB療法を12コース以上行い、かつ二次登録前28日以内の総合効果判定でPR以上の奏効※が得られていることに加えて以下の①②③の1つ以上を満たす場合には二次登録可能とする。①患者がD-MPB療法の中止を希望した(中止を希望する理由として有害事象との関連の有無を問わない)が、維持療法は希望した場合②ダラツムマブおよびボルテゾミブとの因果関係が否定できる(unlikelyまたはunrelated)有害事象により、D-MPB療法の中止規準に該当した場合③有害事象により、「6.3.