ショウジョウバエやマウスで寿命を延ばせたからといって、その方法が人間にも有効 ..
ここからはメラトニンの主なはたらきである生体リズムの調整機能、催眠作用、抗酸化作用について解説していきます。
マウスは著しい寿命延長を示す(Bartke et al., 2001)
メラトニンはその睡眠作用から欧米で睡眠薬としてドラッグストアで販売されています。
しかし、メラトニンの睡眠作用は不眠症を改善するほどの効果はなく、就寝前に服用しても寝付きを少し良くする程度のものとされています。
寿命の28日目に開始して死まで続けられたが、メラトニンは、水(メラトニンの飽和 ..
メラトニンの抗酸化作用は抗酸化物質として知られるビタミンCやビタミンEよりも強いといわれています。
実際にメラトニンの抗酸化作用によって、マウスの寿命を延ばす効果や神経細胞を守る効果があることが報告されています[3]。
メラトニンの効果は多岐にわたるが、マウスの実験で寿命自体が延びている事を考えると、広範囲の病気での死亡率を下げると考えるのが妥当である。
このようにメラトニンは抗酸化作用が期待できるため、老化やしみ、しわなどの予防につながるかもしれませんね。
メラトニンには睡眠・覚醒リズムを調整する作用があるため、分泌量が減少してしまうと、眠りが浅くなったり、夜中に何度も起きたりするようになります。
同研究チームは、2019年に行った研究において、マウスの水分補給を長期的に制限すると、寿命が6カ月短くなることを明らかにしていた。 ..
メラトニンには催眠作用があることから、欧米では睡眠薬としてドラッグストアで購入でき、日本でも並行輸入で購入することができます。
演者:笠原 和起 博士
理化学研究所 脳科学総合研究センター 精神疾患動態研究チーム 副チームリーダー
演題:実験用マウスは飼育舎の中で独自の進化を遂げてメラトニンを作らないようになった
日時:平成22年6月4日(金)15:00〜16:30
場所:東京大学理学部3号館4階416号室
メラトニンは松果体において生合成されるホルモンであり、概日リズムや季節性繁殖応答の調節にかかわっていると考えられている。不思議なことに、実験用マウスの多くの系統がメラトニンを合成しない。さらに奇妙なことに、メラトニン合成系の最終酵素HIOMT(hydroxyindole -methyltransferase)をコードする遺伝子が、ゲノム解読プロジェクトの完了宣言後でもマウスからは見つかっていなかった。我々は、ラットHIOMTの配列をヒントに、メラトニンを作るマウス系統C3H/Heから cDNAをクローニングすることに成功した。メラトニンを作れないC57BL/6系統にも遺伝子は存在し、アミノ酸置換を伴う点変異が2ヶ所存在していた。どちらの変異とも、酵素の発現を強く抑制した。FISH解析の結果、遺伝子が性染色体の偽常染色体領域(PAR)に存在することを見出した。PARは組換え頻度が平均的な染色体領域よりも約100倍高いため、変異が生じやすい。このことが、実験用マウスの多くがHIOMT活性を失った原因のゲノム科学的な説明になろう。の変異が飼育舎内のコロニーに固定された生理学的な(飼育者にとっては経営学的な)要因について調べたところ、メラトニンが作れないマウスでは精巣の発達が早くなることがわかった。数多くの系統の遺伝子を調べた結果からも、の変異の固定が偶然のドリフトに起因する可能性は低く、次世代を早く誕生させる独自の進化が人間によって長年飼育された過程に起きたと推測された。
Kasahara T, Abe K, Mekada K, Yoshiki A, Kato T. (2010) Genetic variation of melatonin productivity in laboratory mice under domestication. PNAS 107, 6412-6417.
世話人:理学系研究科 深田 吉孝
マウスやラットを使った実験では、メラトニンの補充で寿命を延ばせることが報告されています。 ..
死ぬまでに宇宙飛行したい
昨年十一月二十九日、七十七歳のジョン・グレン米元上院議員がスペースシャトル「エンデバー」に乗って、史上最高齢の宇宙飛行に旅立ちました。シャトルには日本の女性宇宙飛行士、向井千秋さんが「船医」として搭乗しており、日本でも大きなニュースとして報道されましたから、みなさんも記憶に新しいことでしょう。
グレンさんが宇宙に飛び立ったのと同じ日、米中部のカンザス州では、八十六歳になるハーマン・スターンさんが、地上の五倍の重力を体験する遠心加速装置に挑んでいました。この重力はシャトル打ち上げ時の重力を上回るものです。
元弁護士のスターンさんは、民間の宇宙博物館「コズモスフィア」が高齢者向けに行っている宇宙飛行士の疑似体験コースの参加者でした。訓練を受けたからといって、本物の宇宙飛行士になれるわけではありませんが、ここには「死ぬまでに宇宙飛行をしてみたい」という元気な老人たちが全米各地からやってきています。
実験用マウスはメラトニンを合成できないので合成できるようにした
しかし、先進国で七十歳から八十歳くらいに達した人間の平均寿命はもっと伸ばすことができるのでしょうか。
動物や細胞のレベルでは、寿命の延長はすでに実現しつつあります。
カナダの研究者は、遺伝子を操作することによって、ショウジョウバエの寿命を約四〇%伸ばすことができたことを明らかにしています。人間の体にも有害な活性酸素などへの抵抗力を強めたのが功を奏したようです。
マウスやラットは食事を減らすと寿命が30%程度延びることもわかっています。
その謎を遺伝子から探っている米テキサス大のアーラン・リチャードソン博士は「食事制限すると老化の進行が遅れ、がんにもかかりにくくなります。そのうえ、腹一杯食べているマウスよりも元気なのです。その理由を遺伝子のレベルから突き止めようとしています。また、食事制限が有効なのは比較的短命なマウスやラットだけなのか、それとも人間にも効果があるのかどうかを知りたいと思っています」と話しています。
マウス及びラットとも高用量群では四肢の血管拡張、立毛、眼瞼下垂、
・胎生期のマウス唾液腺から体内時計の調整や若返りホルモンとして注目の高いとを発見。
・メラトニンは上皮細胞の形態と接着を変化させ、臓器の大きさをコントロールしている。
・毒性・副作用の少ないメラトニンを用いた臓器の大きさの調節方法により、再生医療研究への貢献に期待。
筋弛緩、自発運動の減少及び運動失調がみられた。死亡例では、正向反射・踏み直り反射など
大阪大学大学院歯学研究科の阪井丘芳教授らの研究チームは、マウス胎児の唾液腺からメラトニン とメラトニン受容体 を発見しました。脳の が発現していると考えられていたメラトニンを胎児の唾液腺も発現しており、腺房上皮先端に発現するメラトニン受容体を介して、唾液腺形成の大きさを調整していることを明らかにしました (図1) 。
バックナンバー | 健康に100歳まで生きる 米国の長寿研究レポート
人間の老化となると、さらに複雑な要因がからんできます。ショウジョウバエやマウスで寿命を延ばせたからといって、その方法が人間にも有効とは限りません。平均寿命が七十、八十歳に達する人間の場合、実験の結果がすぐには分からないという難しさもあります。長寿研究はまだ始まったばかりなのです。
老化の仕組みについては諸説が入り乱れています。
フィンチ博士は「老化には様々な要素がからんでいます。例えば、ホルモンのバランスの崩れや免疫機能の低下、活性酸素などによる体への損傷、細胞の突然変異などです。これらはいずれも老化を進め、病気の原因になります。ただ、老化の仕組みは複雑であり、今のところ、明快に説明することはまだできません」と話しています。 それでも米国の研究者は、最近の研究の進展に確かな手ごたえを感じているようです。
そして、特筆すべきことは、メラトニンを飲ませたマウスでは、抗酸化
「メラトニンの分泌は小児のときの方が多く、性成熟を抑制する作用もあると考えられています。実際、松果体に腫瘍ができて分泌が低下した小児では、思春期が早発することが知られています。また、高齢になると眠りが浅くなるのは、加齢に伴って分泌量が減少するからです」
もうひとつのに関係するホルモンが、1998年に日本人によって発見された「オレキシン」。脳の視床下部から分泌され、「眠り」から「覚醒(起きる)」へと切り替える働きをする。
「オレキ」とは「食欲」を意味するギリシャ語で、発見当初はマウス実験で食欲増進効果が注目されたが、その後の研究で覚醒を促すホルモンであることが分かっている。
「日中、突然睡眠に入ってしまう眠り発作を特徴とする『ナルコレプシー』という病気では、オレキシンがつくられなくなっていることが明らかにされています。治療薬として、オレキシン受容体を刺激する薬剤が開発されている最中です」
睡眠薬では、すでにこの2つのホルモンをターゲットにした新しいタイプの薬がある。2010年に「メラトニン受容体作動薬」、14年に「オレキシン受容体拮抗薬」が登場し、どちらも従来の睡眠薬より副作用が少なく、自然に近い睡眠が得られるのが特徴という。
メラトニンやセロトニンなどの重要なホルモンの前駆体でもあります。 ..
さらに、メラトニンには、生物時計の同調作用、睡眠誘導作用だけでなく、抗酸化作用、抗がん作用、骨誘導作用なども報告され、最近では若返りホルモンとしても注目が高く、さまざまな分野の研究への応用が期待されています。
メラトニンの分泌も、成長ホルモンと同様に、加齢とともに減少していくのです ..
「人間の体と人間の脳は少なくとも百二十歳までは正常に働くように作られていることが分かってきました。(マウスやショウジョウバエなどの)動物のように、いずれは人間の寿命ももっと延ばせるかもしれません」
もちろん、人間の寿命の限界を延ばすことはたやすいことではありません。リチャードソン博士やフィンチ博士は数十年、さらには百年もの研究が必要かもしれないと指摘しています。
将来的な目標である百二十歳以上まで生きることはさておき、現実的な目標になってきた「百歳まで健康に生きる」ために、私たちが今できることは何なのでしょうか。
リチャードソン博士は「今のところ老化を遅らせる薬はありません。メラトニンやビタミンEが有効だという人もいますが、私は効果があるとは思っていません。八十代半ばになった私の両親を見ていても感じるのですが、だれでも実行できる最も大切なことは、いきいきとした生活を送り、適切な食事をとることだと思います」と言います。
では、適切な食事とは何なのでしょうか。マウスやラットのように食事を減らせば、人間も寿命を延ばすことができるのでしょうか。
この点について、リチャードソン博士は「若い人には食べ過ぎないように勧めます。しかし、高齢者の場合、太りすぎている人を除けば、食事制限を勧めることはできません」と指摘しています。
2 TOKYO METROPOLITAN INSTITUTE OF ..
食事制限の研究をしている博士のチームは、逆に、年を取ったマウスなどの動物に与える食事の量を増やす実験をしました。その結果、平均寿命は長くも、短くもならなかったといいます。若いマウスの場合は食事制限が有効だったのですが、高齢のマウスには必ずしも効果があるとは限らなかったのです。
リチャードソン博士は「高齢者が気をつけるべきことは、むしろ十分に食事をとり、栄養のバランスを崩さないようにすることです」と結論づけています。
「百歳研究」をしているパールズ博士もバランスのとれた食事の大切さを強調しています。とくに日本の伝統的な食事の素晴らしさを称えています。
ただ、パールズ博士は「最近の日本を見ていると、肉や脂肪をたくさんとる米国型の食事に近づいてきています。日本は伝統的な食習慣の素晴らしさを見直してほしいと思います。日本は世界一の長寿国ですが、喫煙者の数も多い。このままだといずれは他の国に抜かれてしまうかもしれません」と話しています。
寿命の延長に努めることが必要となります。そこで我々は、緑内障発症の予防に ..
アリゾナ大学の助教授Dr. George Sutphin(ジョージ・サトフィン)とジャクソン研究所Associate ProfessorのDr.(ロン・コルスタンジェ)が率いる研究チームは、老化におけるトリプトファン代謝の新たな役割を明らかにしました。トリプトファンは、私たちの細胞がタンパク質を生成するために使用する必須アミノ酸であり、メラトニンやセロトニンなどの重要なホルモンの前駆体でもあります。消費されたトリプトファンの大部分はキヌレニン経路を通じて代謝されますが、そこではエネルギー代謝において重要な補酵素であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)を含む多くの生理活性代謝物が生成されます。キヌレニン経路を介したトリプトファン代謝は、炎症に反応して活性化され、免疫シグナル伝達、酸化ストレス、エネルギー生成を制御します。この経路の調節に障害が発生すると、慢性炎症、アテローム性動脈硬化、神経変性、がんなど、さまざまな加齢に関連した症状が起こります。
現実の生存曲線はこの白黒両矢印が混じった形になるので二つの ..
長寿のネズミとして注目されているハダカデバネズミはその名の通り体毛に乏しく、歯が出ているネズミで、地中で集団生活をしています。このネズミの最大寿命は30年を越え、普通のマウスの寿命の10倍にも達します。老化研究の分野でさまざまな研究がなされ、長寿であること以外にも、がんになりにくい、「ストレス」に強い、体温が低い、野生では特殊な社会を築いていることなど多くの興味深いことがわかってきました。つい最近もハダカデバネズミの長寿を説明するメカニズムの一つが報告されました(熊本大学などの研究グループから2023年7月11日付のEMBO Journal)。