【SGLT2阻害薬2剤の比較】<フォシーガ/ジャディアンス>売上


6製品が競合するSGLT2阻害薬の市場は、「フォシーガ」(アストラゼネカ/小野薬品工業)と「ジャディアンス」(日本ベーリンガーインゲルハイム/日本イーライリリー)の2強が他を大きく引き離し、トップシェアを争う構図です。いずれも慢性心不全と慢性腎臓病(CKD)への適応拡大が承認または申請中で、糖尿病以外の領域でも市場を広げています。


DPP-4阻害薬はプラセボと比較して急性膵炎の発症を増加させる可能性

スルホニル尿素薬(SU(エスユー)薬)、速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)、DPP-4阻害薬があり、それぞれ作用などが異なります。DPP-4阻害薬は週に1度服用するタイプもあります。
スルホニル尿素薬とDPP-4阻害薬の両方を服用する際には、低血糖への注意が特に必要になります。
ここでご紹介している薬は、それぞれ代表的なものです。

2.発表のポイント
◆SGLT2阻害薬(注1)は、近年の研究から腎保護効果を有することが示されていますが、薬剤間で腎保護作用を比較した研究は少
なく、効果の差の有無は明らかではありません。
◆本研究では日本人のリアルワールドデータ(注2)分析を行い、糖尿病に対して処方されたSGLT2阻害薬間で、腎機能の経時的な
変化量に有意差がないことを新たに報告しました。
◆その結果、SGLT2阻害薬の腎保護作用はクラスエフェクト(注3)であることが示唆されました。

ジャヌビア、エクア、テネリアなど, 胃腸障害、類天疱瘡(るいてんぽうそう ..

上記表は糖尿病予備軍の方を、α―グルコシダーゼ阻害薬を用いて食後血糖を抑制した群と特に介入を行っていない群に分けて、心血管病変の発症率を調べたものです。
食後血糖を抑えた群では、血管イベントの発症率は半分に抑え込まれました。

2024年5月順天堂大学の研究チームによって、フォシーガを含むSGLT2阻害薬には老化細胞を除去する効果があると発表されました。
老化細胞は生活習慣病やアルツハイマー病といった、加齢に伴う病気につながる細胞です。

2009年に発売された比較的新しいお薬ですが、服用方法が簡便であったり、副作用が ..

膵臓にあるインクレチンというホルモンは、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促進し、血糖値を上げるホルモンが分泌されるのを抑制し、血糖を下げます。DPP-4阻害薬は、インクレチンが分解してしまうのを抑えてインクレチンの作用を助けます。体重が増えにくいというメリットもありますが、主な副作用として低血糖や便秘があり、SU薬やインスリン製剤と併用する場合は特に低血糖に注意が必要です。

3.発表概要
糖尿病(注4)の治療薬として開発されたSGLT2阻害薬は、腎臓にある近位尿細管での糖の再吸収を阻害し、糖を尿から排出することで血糖値を下げる薬剤です。SGLT2阻害薬は、これまでの大規模臨床試験において、慢性腎臓病(CKD、注5)の症例に対して腎保護効果が示されたことから、腎臓病の治療薬としても注目を集めています。国内では2014年以降、6種類のSGLT2阻害薬が保険適用され、糖尿病の治療薬として処方されています。SGLT2阻害薬の薬剤間で効果に差が生じるのか、それとも共通の効果(クラスエフェクト)を示すのかについては臨床におけるエビデンスが少ないため、こうしたエビデンスの蓄積が望まれています。
そこで、東京大学の小室一成教授、金子英弘特任講師、南学正臣教授、康永秀生教授、岡田啓特任助教、鈴木裕太研究員および、佐賀大学の野出孝一教授らの研究グループは、国内の大規模なレセプトデータベースを用いて、新規にSGLT2阻害薬が処方された約12,000件の糖尿病症例を解析し、SGLT2阻害薬間で、腎機能の経時的な変化量に有意差がないことを示しました。なお、本研究グループは、糖尿病症例における循環器疾患発症率がSGLT2阻害薬の薬剤間で同等であることを報告していますが(Cardiovasc Diabetol. 2022 May 18;21(1):67. ※)、これらの結果も合わせると、SGLT2阻害薬の腎保護作用あるいは心保護作用がクラスエフェクトであることが示唆されます。本研究成果は、今後の糖尿病、慢性腎臓病、循環器疾患の治療におけるSGLT2阻害薬の使用を考えるうえで、重要なリアルワールドエビデンスになることが期待されます。
なお本研究は、厚生労働省科学研究費補助金(厚生労働行政推進調査事業費補助金・政策科学総合研究事業(政策科学推進研究事業)「診療現場の実態に即した医療ビッグデータを利活用できる人材育成促進に資するための研究」課題番号:21AA2007、研究代表者:康永秀生)の支援により行われ、日本時間8月9日に国際腎臓学会(ISN)の学会誌「Kidney International (Article in Press)」に掲載されました。

・DPP- 4阻害薬 [ジャヌビア®、エクア®、ネシーナ®、トラゼンタ®、 ..

体重が減りやすい糖尿病治療薬には、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬があります。

4.発表内容
(1)研究の背景
SGLT2阻害薬は糖尿病治療薬として開発されましたが、大規模臨床試験において(糖尿病の有無に関わらず)腎保護作用を有していることが示され、2021年以降にSGLT2阻害薬の適応は慢性腎臓病に対しても拡大されています。臨床現場でのニーズが高まったことから、SGLT2阻害薬の処方数は増加し、国内では現在6種類のSGLT2阻害薬が糖尿病への適応を有していますが、SGLT2阻害薬の薬剤間で腎保護作用を比較した研究は少なく、SGLT2阻害薬の腎保護作用が、クラスエフェクトと考えて良いのかについては議論が分かれるところでした。そこで、今回、国内最大規模のレセプトデータベースを用いて、糖尿病に対して新規にSGLT2阻害薬が処方された約12,000症例を対象に、個々のSGLT2阻害薬の薬剤間で腎機能の経時的な変化量を比較しました。


阻害薬には多くの種類と配合剤が存在し、各薬剤にどのような特徴があるのかを比較しました。 ..

(2)研究の内容
2005年1月から2021年4月までにJMDC Claims Database(注6)に登録され、登録後、4か月以上が経過してから糖尿病に対してSGLT2阻害薬が処方され、透析治療歴のない12,100症例(年齢中央値53歳、84%が男性、HbA1c中央値7.5%)を解析対象としました。6種類のSGLT2阻害薬について、それぞれ、エンパグリフロジン(empagliflozin)は2,573症例、ダパグリフロジン(dapagliflozin)は2,214症例、カナグリフロジン(canagliflozin)は2,100症例、それ以外のSGLT2阻害薬は5,213症例(イプラグリフロジン(ipragliflozin)2,636症例、トホグリフロジン(tofogliflozin)1,467症例、ルセオグリフロジン(luseogliflozin)1,110症例)に対して処方されていました。
平均観察期間773 ± 477日の間に、年齢や性別、併存疾患やその他の糖尿病治療薬で補正した解析で、エンパグリフロジン、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、その他のSGLT2阻害薬の間で、腎機能の指標である推算糸球体濾過量(eGFR、注7)の年次変化量を比較しましたが、薬剤間において有意な差は認められませんでした(図1)。この結果は、SGLT2阻害薬の腎保護作用が薬剤間で共通しているクラスエフェクトであることを示唆しています。

結果;エンパグリフロジン(商品名ジャディアンス)はDPP-4阻害薬と比較して ..

SU薬と比較して効き目が速く、食事の直前に服用すれば、インスリンがすぐに増えて血糖値が高くなるのを抑えられます。

比較的安全性の高い薬ですが、不適切な使用法によりまれに乳酸アシドーシスという ..

超高齢社会を迎えるにあたり、現在、慢性腎臓病と心不全が重大な病気になることが指摘されている。慢性腎臓病は20歳以上の8人に1人が該当すると推計され、新たな国民病と問題視されている。この心不全の治療薬としてSGLT2阻害薬が急浮上し、2020年11月、厚生労働省が健康保険での適応を承認した。

SU薬と比較して効き目が速く、食事の直前に服用すれば、インスリンがすぐに増えて ..

もう少しこの試験を紐解いてみましょう。上図をご覧ください
ブドウ糖負荷試験の血糖レベル別に検討してみました。その結果、なんと空腹時血糖レベルとアルツハイマー型認知症の間には関連性は認めませんでした!
一方ブドウ糖2時間負荷後の血糖レベルが上昇するにつれてアルツハイマー型認知症の発症の確率が増加していきました。200mg/dlで3.4倍にまで跳ね上がります。また正常値である120-139mg/dlでもアルツハイマー型認知症のリスクがそれ未満と比較して上昇してしまいます。ここからも食後血糖値の重要性がよくわかります。

比較して、薬物動態における2つの主要評価項目を達成したと発表。皮下注 ..

(3)社会的意義
本研究は、糖尿病だけでなく慢性腎臓病や循環器疾患に対する主要な薬剤としてSGLT2阻害薬への期待が高まる中で、SGLT2阻害薬の各薬剤間における腎保護作用が同等である可能性を、大規模なリアルワールドデータで示しました。これまでエビデンスの乏しかった臨床の現場、とりわけ腎臓領域に貴重なエビデンスを提供することができたと考えています。本研究が、糖尿病や腎臓病などの疾患をもつ患者さんのQOL(Quality of Life)改善、そして健康寿命の延伸に貢献していくものと期待されます。

ジャヌビア、エクア、テネリアなど, 胃腸障害、類天疱瘡(るいてん ..

体重が増えにくいお薬には、ビグアナイド薬、DPP-4阻害薬、α-グルコシダーゼ阻害薬があります。

・早朝低血糖が発現する場合はエクアを 1 日 1 回での使用を考慮する。 ..

一方のジャディアンスは、22年の売上高が薬価ベースで448億円(前年比31.3%増)となりました。単剤ではフォシーガに水をあけられていますが、DPP-4阻害薬「トラゼンタ」との配合剤「トラディアンス」は237億円(27.8%増)を売り上げており、ジャディアンスファミリーとしては685億円(30.0%増)に達しています。成長を支えたのは糖尿病の適応で、21年11月承認の慢性心不全はこれから貢献してくると見通しています。

糖尿病治療薬について | きむら内科小児科クリニック | 名古屋市緑区

作用機序別の市場シェアはこの5年間で急速に変化してきました。17年時点で全体の約5割を占めていたDPP-4阻害薬は22年に30%台半ばまで低下し、SGLT2阻害薬と同水準になりました。SGLT2阻害薬の成長は著しく、23年には逆転が確実です。

フォシーガ®、ジャディアンス®、スーグラ®、ルセフィ®、デベルザ®、カナグル®など

膵臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を促進させる薬です。
薬物の名称としてはグリベンクラミド(商品名;ダオニール・オイグルコン)・グリクラジド(グリミクロン)・グリメピリド(アマリール)がありますが、前2者は古くから使われている薬で、現在では、ほとんどがグリメピリド(アマリール)です。いずれも、後発品があります。インスリンを直接分泌させる薬ですから、体重増加が起きやすく、厳重なカロリー管理が必要です。糖尿病の人は、インスリンが不足している病気だと思われがちですが、健常人より、インスリンをたくさん分泌している人がかなりいます。肥った人に多くみられます。インスリンの分泌を促す薬は、すい臓にムチを打って、絞り出させるようなものですから、すい臓が疲弊してしまい長持ちしなくなってしまう可能性があり、体重増加と合わせ、慎重な使用が必要です。ただ、古い薬ですから安価で、使用回数も少ないことから、こちらの処方を希望される患者さんもいます。

✓ DPP4阻害薬6製品での【推奨度×医師1人あたり処方患者人数】を見ると、「エクア」、「ネシーナ」、「テネリア」の3製品で相関

すい臓にはたらきかけて、インスリンの分泌をうながすお薬です。
のみ薬の血糖降下薬としては、もっとも古株です。
すい臓のはたらきが比較的よい方、また、インスリン抵抗性が少ない方(やせ型など)がよい適応となります。
副作用として注意しないといけないのは低血糖です。いつもより食事の量が少なかった時、忙しくて食事をとれなかった時など、血糖が下がりすぎる可能性が高まるので、きちんと食事をとることが大切です。
また、SU薬はその他のお薬との併用が可能です。ただし、胎児への安全性は保証されていないため、妊婦さんには使えません。 どんな人とも相性がよく、主役級のはたらきをする二枚目ベテラン俳優、といったところでしょうか。

を繰り返す人、腎機能が低下した人、比較的症状が軽い人など幅広い心 ..

7.用語解説
(注1SGLT2Sodium/glucose cotransporter 2)阻害薬:
SGLT2阻害薬は、腎臓の近位尿細管でのブドウ糖の再吸収を担うSGLT2という輸送体の作用を抑制し、尿への糖の排出を促進
することで血糖を下げる作用を発揮します。日本では2014年から保険適用され、現在(2022年8月)では6種類が使用可能で
す。2型糖尿病の症例を対象としたEMPA-REG OUTCOME試験によって、SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンが、プラセボ
群と比較して、心血管イベントや総死亡を有意に低下させるのみならず、腎イベントを抑制する腎保護作用を有している可能
性が示唆されました。それ以降、SGLT2阻害薬の心血管イベントや腎イベントの抑制効果が多くの大規模臨床試験で報告され
ました。糖尿病治療のみならず心不全や慢性腎臓病など幅広い生活習慣病治療に適応が拡大してきています。

フォシーガ®、ジャディアンス®、カナグル®、デベルザ®、ルセフィ ®】

伊藤教授は「SGLT2阻害薬には、塩分の吸収を抑える作用もあります。ですから、この薬剤を服用することは、血糖低下や体重減少の効果だけでなく、塩分の過剰摂取が一因である心不全の予防にもつながるのです」と言う。