薬剤師のためのBasic Evidence(制吐療法) | 日医工株式会社
全身照射を併用するまたは併用しない大量化学療法期間中の嘔吐の予防は引き続き、患者ケアにおける挑戦的な分野となっている。現在のは主として、1日の治療を扱っている;また、この状況において用いられる複数日間の化学療法または放射線療法に対する嘔吐の予防は1日の治療経験に基づいており、これらの患者に対する症状管理を改善するためには、追加の研究が必要である。こうしたことから、セロトニン拮抗薬 + デキサメタゾンの毎日の投与にNK-1受容体拮抗薬が追加されるようになっている。CR率は30%と低く、最適な併用方法を明らかにすべく追加の証拠が必要である。また、証拠は主にアプレピタントに関するものである;新たなNK-1受容体拮抗薬により追加の有益性が得られうる。
高度催吐性リスク抗がん薬に対する予防的制吐療法は、5-HT3 受容体拮抗薬、NK1 受容
全般的に、これらの制吐薬の併用は耐容性が高く、ほとんどの副作用はデキサメタゾンが関与している;さらに、薬物相互作用は当初は懸念されていたが、それらは臨床的には重要ではないようである。また、嘔吐は吐き気(引き続き、多くの患者にとって困難な問題となっている)よりもはるかに十分な程度に制御される。最後に、1件の第III相ランダム化試験では、メルファランの大量投与および自家幹細胞移植を受けた多発性骨髄腫患者における、CINV予防を目的としたアプレピタント、グラニセトロン、およびデキサメタゾンの使用が検討された。3剤レジメンを受けた患者では統計的にプラスの便益が得られ、副作用の増加も認められなかった。
嘔吐抑制については,遅発期のCR 割合を指標として評価した。2 編のランダム化比較試験の結果は差がないということで一致していたが,シスプラチンを含む治療レジメンのサブグループでは遅発期のCR 割合において1 日目投与群の3 日間投与群に対する非劣性が示されておらず,また対照群である3 日間投与はシスプラチンを含む治療レジメンに対する標準制吐療法の投与日数と異なるため,AC 療法以外の高度催吐性リスク抗がん薬についてはデキサメタゾンの投与期間短縮を推奨する根拠がない。
薬物相互作用 (27―がん化学療法における制吐剤の 薬物 ..
NK-1受容体拮抗薬のアプレピタントとそのIV製剤であるホスアプレピタントは、FDA承認スケジュールとは異なる投与スケジュールで複数日間の化学療法に関して研究されている。1件の非ランダム化試験で、催吐性が高度および中等度の3日間および5日間の化学療法に伴うCINVの予防に対するアプレピタント、グラニセトロン、およびデキサメタゾンの使用が評価された。アプレピタントは最初の化学療法投与前に125mgを経口で投与され、その後は化学療法の各日およびその後の2日間80mgを経口投与された(計、5~7日)。CRは、催吐性が高度および中等度の化学療法を受けた患者のそれぞれ、57.9%および72.5%で示された。5日間のシスプラチンベースの化学療法に対する7日間の経口アプレピタントレジメンとデキサメタゾンおよび5-HT3受容体拮抗薬の併用について調査したその後の単一群試験において、同様の有望な結果が明らかにされた。
標準的な制吐薬による予防としては、複数日間の化学療法レジメンの各日の最初の化学療法実施前に投与する5-HT3受容体拮抗薬がある。複数日間の化学療法に対してクラス内で他の薬物よりも支持される5-HT3受容体拮抗薬はない。パロノセトロンは、クラス内の他の薬物よりも半減期が長く、受容体結合親和性が高い5-HT3受容体拮抗薬であるため、投与される頻度は比較的低い。1件のプロスペクティブ非対照試験では、2つの3日間の化学療法レジメン実施前に20mgのデキサメタゾンと併用する単回の静脈内投与としてのパロノセトロンにより、80%のCR(嘔吐なし、レスキュー不要)が得られたことが実証された。パロノセトロンはまた、デキサメタゾンと併用して胚細胞腫瘍に対する5日間のシスプラチンベースのレジメンに対する予防としても研究された。パロノセトロン + デキサメタゾンを1日目、3日目、および5日目に投与した場合、51%の患者は1~5日目に嘔吐を経験せず、83%は6~9日目に嘔吐を経験しなかった。5-HT3受容体拮抗薬を送達する他の方法が研究されている。
治療)に比べて、制吐効果が上回っていた(急性嘔吐でリスク比:1.26、遅発性嘔吐 ..
段階的な筋弛緩法として誘導イメージ法、催眠、および系統的脱感作は、予測性のN&V(ANV)に対して最も頻繁に研究されており、この古典的条件付けによる反応に対して推奨される治療法である。(詳しい情報については、本要約ののセクションを参照のこと。)
悪心抑制の指標は「遅発期のCC 割合」,「遅発期のTC 割合」とした。遅発期のCC 割合は,嘔吐抑制と同じ2 編のランダム化比較試験,をもとに評価した。メタアナリシスでは出版バイアスは認められず,両群間に有意差はなかった〔RD -0.03(95%CI:-0.13-0.06,p=0.53)〕()。なお,ランダム化第Ⅱ相比較試験では両群間に有意差はなかったが,ランダム化第Ⅲ相比較試験では全体,両サブグループ(AC 療法,シスプラチンを含む治療レジメン)ともに非劣性は示されず,両試験の患者数,患者背景,統計手法(優越性あるいは非劣性)の違いが影響していると考えられた。
制吐療法におけるデキサメタゾン投与の問題点として,ステロイド誘発性糖尿病や骨 ..
デキサメタゾンは複数日間の化学療法レジメンの各日、および遅発性の吐き気のリスクがある場合は、投与後2~3日間の投与スケジュールが組まれる。化学療法レジメンにコルチコステロイドが含まれている場合は、追加のデキサメタゾンは不要である。5日間のシスプラチンレジメンの各日に投与する20mgのデキサメタゾンによって追加の制吐の有益性が得られるかどうか、および毒性が追加される可能性があるかどうかは不明である。そのため、5日間のシスプラチンレジメンを受けている患者において、CINVの時期に基づいて、ステロイドの総投与量を減らすために代替のデキサメタゾンスケジュール(1日目と2日目に20mg投与した後、6日目および7日目に8mg、1日2回、8日目に4mg、1日2回)が研究されている。
放射線療法(RT)は、がん患者における吐き気と嘔吐(N&V)の重要な原因の1つである。複数の観察研究により、RTを受けている患者においてある程度のN&Vが起こる全累積発生率は80%に及ぶと示唆されている。N&V発生に対する危険因子が明らかになっている。放射線誘発性のN&V(RINV)はQOLを悪化させることで、治療の遅延や予約のキャンセルに至り、がんの制御に支障を来す。
投与していない別の作用機序をもつ制吐薬(ハロペリドール,メトクロプラミド.
一方,後者のランダム化比較試験のサブグループ解析では,シスプラチンを含む治療レジメンの遅発期のCR 割合において,1 日目投与群の3 日間投与群に対する非劣性は示されなかった。また,シスプラチンを含む治療レジメンに対する標準制吐療法のデキサメタゾン投与期間は4 日間であるが,本試験の対照群のデキサメタゾン投与期間は3 日間であったことに留意する必要がある。最終的に2 編のメタアナリシスの結果としては差はないが,AC 療法以外の高度催吐性リスク抗がん薬に対するデキサメタゾンの投与期間短縮を推奨する根拠はない。
制吐薬は、作用機序によって異なる種類に分けられます。またそのほかに ..
ショウガのCINVの予防に対する効力に関しては、データが分かれている。576人のがん患者を対象にした第III相ランダム化用量決定試験では、5-HT3受容体拮抗薬による標準的な予防を行っているにもかかわらず、現在の化学療法レジメンによってある程度の吐き気(11段階の尺度で測定)を経験している患者において、急性の吐き気(化学療法後1日目の吐き気と定義)を予防するために1日2回投与するショウガ0.5g、1.0g、および1.5g vs プラセボが評価された。患者には各化学療法治療の3日前にショウガまたはプラセボのカプセルの投与が開始され、6日間継続された。平均的な吐き気については、0.5gのショウガがプラセボよりも有意に優れていた;「最悪の吐き気」に対しては0.5gおよび1.0gの両方が、プラセボよりも有意に優れていた。遅発性のN&Vに対する効果は有意ではなかった。この試験では、化学療法レジメンの催吐性に対して対照を設けていなかった。有害事象の頻度は低く、重度ではなかった。これとは逆に、N&Vの予防に用いられるショウガについて有望なデータは得られていない。1件のランダム化二重盲検プラセボ対照研究により、高用量のシスプラチン(50mg/m2を超える)を受けている患者において、ショウガ、160mg/日の使用が評価された。患者(N = 251)はショウガまたはプラセボのいずれかを受けるように割り付けられた。遅発性の吐き気、サイクル間の吐き気、および予測性の吐き気の発生率は、2つの治療群間で変わらなかった。
また5―HT3受容体拮抗薬とは異なった作用機序で制吐作用を発揮するアプレピタントも遅 ..
嘔吐抑制の指標は「遅発期のCR 割合」とし,デキサメタゾンの1 日目投与と3 日間投与を比較したランダム化比較試験2 編,をもとに評価した。1 編は乳がんのAC 療法のみを対象とした単施設単盲検ランダム化第Ⅱ相比較試験,もう1 編は乳がんのAC 療法とシスプラチンを含むレジメンを対象とした多施設共同二重盲検ランダム化第Ⅲ相比較試験であった。両試験ともNK1 受容体拮抗薬および5-HT3 受容体拮抗薬としてパロノセトロンを使用していた。遅発期のCR 割合において,メタアナリシスで出版バイアスは認められず,両群間に有意差はなかった〔RD 0.0(95%CI:-0.11-0.12,p=0.95)〕()。
従来制吐療法群(アプレピタント+デキサメタゾン+グラニセトロン).
要約すると、CINVの予防および治療に対する制吐薬として、現在の製品群におけるおよびカンナビノイドの位置付けは不明である。この薬剤の患者に対する使用説明には、利用可能な薬剤の効果、の既知の副作用、およびこの治療のリスク対ベネフィット評価を含めるとよい。
ラインでオランザピン・パロノセトロン・デキサメタゾンの 3 剤併用も同様に制吐対策として.
本CQ では,高度催吐性リスク抗がん薬による治療を受ける患者を対象に,デキサメタゾン1 日のみ投与とデキサメタゾン3~4 日間投与を比較した際の「嘔吐抑制」「悪心抑制」「血糖上昇抑制」「骨粗鬆症抑制」の4 項目をアウトカムとして設定し,システマティックレビューを行った。
通常、予防的な制吐療法は推奨されない。 軽度・最小度催吐リスク (経口薬)
したがって,デキサメタゾンの投与期間短縮を検討する際には,悪心・嘔吐抑制以外のアウトカムにも差異が生じる可能性について説明を行ったうえで,益と害のバランスおよび患者のライフスタイル,価値観,好みを含めて検討することが必要である。
吐き気・嘔吐を引き起こす可能性が高い抗がん剤治療には多くの場合、制吐剤が組み合わされています。
遅発期に有効なNK1 受容体拮抗薬と,半減期の長い第2 世代5-HT3 受容体拮抗薬であるパロノセトロンの登場により,中等度催吐性リスク抗がん薬を対象に,2 日目以降(遅発期)のデキサメタゾン投与省略の可否を検証した複数のランダム化比較試験が行われ,悪心・嘔吐抑制効果について,1 日目(急性期)投与群の3~4 日間(急性期+遅発期)投与群に対する非劣性が示された。その後,高度催吐性リスク抗がん薬においても遅発期のデキサメタゾン投与省略が検証されたため,本CQ を設定した。
デキサメタゾン(DEX)の3剤併用標準制吐療法を施行することが推奨されています。 ..
高度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として,3 剤併用療法(5-HT3 受容体拮抗薬,NK1 受容体拮抗薬,デキサメタゾン)を行う場合,AC 療法においては,デキサメタゾンの投与期間を3~4 日間から1 日目のみに短縮(遅発期である2 日目以降を省略)することを弱く推奨する。その場合,5-HT3 受容体拮抗薬は第2 世代のパロノセトロンを選択することが望ましい。
悪心・嘔吐を予防するため、5-HT3 受容体拮抗剤、デキサメタゾン、選択的NK1 受容体拮抗剤等の制吐 ..
2件の大規模プロスペクティブ観察研究により、RINVの頻度と制吐のための手段に関する情報が提供されている。Italian Group for Antiemetic Research in Radiotherapyでは、さまざまな種類の放射線療法を受けている患者1,020人におけるRINVの発生率が解析された。全体では、吐き気および/または嘔吐は28%の患者で報告された。嘔吐の最初のエピソードまでの期間中央値は3日であった。制吐薬は、予防的に投与された12%およびレスキュー治療で投与された5%を併せて17%の患者で投与された。RTを受けた患者368人を対象にした2番目のコホートでは、全体の発生率は吐き気で39%および嘔吐で7%であった。下腹部および骨盤にRTを受けた患者(66%)の方が頭頸部にRTを受けた患者(48%)よりも吐き気の頻度が高かった。RT中の制吐薬は十分に処方されていない。
[PDF] 化学療法により誘発される悪心・嘔吐(CINV)が患者
システマティックレビューレポートに基づいて,推奨草案「高度催吐性リスク抗がん薬の悪心・嘔吐予防として,3 剤併用療法へのオランザピンの追加・併用を強く推奨する。」が提示され,推奨決定の協議と投票の結果,23 名中22 名が原案に賛同し,合意形成に至った。
制吐薬の変更、他の作用機序の制吐薬、ステロイドの追加をする。 4
このクラスの薬剤に関する研究の多くが1970年代後半および1980年代に行われたもので、プロクロルペラジン(Compazine)およびメトクロプラミド(Reglan)など、ドパミン受容体を標的とした従来の制吐薬に対してナビロン、ドロナビノール、またはlevonantradolが比較された。この一連の研究で、カンナビノイドは中等度催吐性の化学療法に対する効果がドパミン作動性制吐薬と同程度であるか、プラセボより有効なことが実証された。副作用には、多幸感、めまい、不快気分、幻覚、低血圧などがあった。少なくとも1件の研究で効力が古くから報告されていたにもかかわらず、副作用のためにナビロンを積極的に好む患者はいなかった。