・ドセタキセルの有害事象 “浮腫” についてステロイド投与対策はランダム化比較試験により有効性が示されて
a.循環血漿量低下による末梢循環の低下
・ 浮腫・胸腹水と塩分貯留を伴う低ナトリウム血症:肝機能低下,悪性胸腹水貯留,静脈閉塞,心不全などがん患者の病態に伴いしばしば見られる.
・ 脱水状態を伴う低ナトリウム血症:重症下痢,急性出血,胸腹水の排液,イレウスなどで起こる.尿からのNa 喪失はシスプラチンによる塩分喪失性腎症,副腎不全,サイアザイドの使用,あるいはくも膜下出血・頭蓋内手術に伴う中枢性の塩分喪失などで起こる.
b. 循環血漿量低下を伴わない低ナトリウム血症(抗利尿ホルモン不適切分泌症候群,SIADH)
・ 腎集合管における水再吸収が促進されるので,体液量が増加し希釈性低Na 血症が起こる.種々の腫瘍,頭蓋内疾患,肺疾患,薬剤に伴って起こる.
・ 腫瘍からのADH 分泌は肺小細胞癌が最も多いが種々の腫瘍で起こり得る.婦人科領域でも,子宮頸癌,卵巣などの小細胞癌に伴うADH 分泌が報告されている8).
・ 原因薬剤としてはビンカアルカロイド,サイクロフォスファミド,メルファランなどが多い.抗がん薬以外ではニコチン,カルバマゼピン,バルビツレート,モルヒネ,SSRI などが知られている9).
・ SIADH の診断基準:1)低ナトリウム血症,低浸透圧血症,2)尿中ナトリウム排泄20mEq/L 以上,3)尿浸透圧>血漿浸透圧,4)脱水症状なし,5)副腎,甲状腺,腎機能正常.
③治療
・表30 に示す.
A:副腎皮質ステロイドを抜管後喉頭浮腫に対して予防的に使用することの有用性について
抗がん剤、特にドセタキセルによる浮腫は投与を重ねるほど起こりやすく、3 サイクル目以降に起こることが多いとされています。
一方、術後リンパ浮腫の発症は個人差が大きく、手術直後の場合もあれば、10 年以上経ってから発症する場合もあると言われています。症状がみられなくても、普段から発症予防や早期発見のために観察を行うことが大切です。
全身性浮腫では塩分を控えましょう。
低タンパク性浮腫の場合はタンパク質の摂取を増やすようにしましょう。
また、肥満による皮下脂肪の増加はリンパ浮腫悪化の原因となることがあるので、バランスの良い食事を心がけましょう。
◎浮腫、悪心予防として下記内服を推奨。 ・デキサメタゾン錠8 mg/day 2×朝昼食後 2日分 治療翌日より内服開始(Day2-3)
1 )頭蓋内圧亢進
①病態,症状,頻度
・ 腫瘍に伴う脳転移,脳出血,髄膜炎などによる脳圧亢進;頭痛,嘔気,意識障害,脳神経障害などが生じる.婦人科がんでは稀であるが,注意すべき症候群である10).
②治療
・ 頭蓋内圧亢進が疑われたらすぐに脳圧を低下させる治療を開始するべきである.
a.過換気
・ 最も迅速に効果が出るが数時間しか十分な効果がない.挿管,人工呼吸を開始しpCO2 を25~30㎜ Hg に保つ.
b.浸透圧利尿薬
・ グリセオールは使いやすく,高Na 血症の他には大きな副作用はない.200mL を1日2 回から開始し,最高1,000~1,500mL/day まで投与可能.
・ マンニトールは即効性が高いがリバウンドや電解質異常が起こりやすい.
c.ステロイド
・ 脳転移に伴い浮腫がある場合は特に有効である.デキサメタゾン8~12㎎ /day を1 週間程度投与し,漸減していくことが多い.
2 )脊髄圧迫
①原因疾患,症候,頻度
・ 肺癌,乳癌,前立腺癌が多く,各20%前後を占める.
・ 背部痛が初発症状として多い.他に歩行障害,感覚障害,自律神経障害などがある.
・ これも婦人科がんでは骨転移が比較的少ないこともあり,稀であるが脊髄圧迫で発見された症例の報告がある11).
②診断
・ MRI が中心で,感受性44~93%,特異性90~98%とされる.
③治療
・ 放射線療法が中心になるが,必ず手術の適応について整形外科と検討する必要がある.
a.放射線照射
・ 回復例は不全麻痺例で43%,完全麻痺例で14%と報告されている.dose/fractionについて標準方法は確立していない.
b.ステロイド
・ 浮腫による悪化を防ぎ,照射と併用必要.デキサメタゾン100㎎ vs 10㎎:回復25% vs 8%(p = 0.22),維持デキサメタゾンvs なし:回復81% vs 63%(p = 0.046)との報告がある.
c.手術
・ 適応は照射既往・照射中の悪化,圧迫骨折など.除圧術+ RT の方がRT 単独より有効との比較試験がある.
3 )上大静脈症候群
①病態,症状,頻度
・ 腫瘍の上大静脈圧迫による症候群で,頭部・頸部・上肢の浮腫・うっ血・静脈拡張,喉頭・咽頭浮腫を来す.原因は肺癌が大半を占め, 婦人科がんでは稀である.
②診断
・ 造影CT にて静脈血栓症の鑑別,腫瘍の診断を行う.
③治療
a.保存的治療
・ ステロイド(デキサメタゾン4㎎ /6hrs),フロセミドなどが使われるが,明らかなエビデンスはない.
b.放射線照射
・ 肺小細胞癌の78%,非小細胞癌の63%で症状改善が見られる.
c.化学療法
・ 非ホジキンリンパ腫・肺小細胞癌の80%,肺非小細胞癌の40%で症状消失する.
d.ステント留置
・ 75~100%で48~72 時間以内に改善,再発率15%,合併症(感染,肺塞栓,出血,穿孔)
3~7%と報告されている.
4 )心囊水貯留(心タンポナーデ)12)
①病態,病因,頻度
・ 剖検においてはがん患者の10~15%で心囊水が認められる.大部分は肺癌,乳癌の転移によるが,他はリンパ腫,白血病,胸壁照射,化学療法などに伴う.婦人科がんでは稀であるが,種々のがん種で報告されている13, 14).
②診断
・ 呼吸困難,起坐呼吸,動悸,疲労,めまい;頻脈,気脈,頸部静脈怒張,脈圧低下など.心エコー,CT でほぼ診断可能.
③治療
・ タンポナーデ症状がある場合は心囊穿刺,心膜開窓を行う.30 日間のコントロール率は穿刺のみでは50%とされており,心囊内注入によるコントロール率はテトラサイクリン80~90%,ブレオマイシン75%,チオテパ0% , シスプラチン90%,OK- 432(ピシバニールⓇ)70%と報告されている.最近Bevacizumab の有効性も報告されている.
(3)治療に伴うオンコロジーエマージェンシー
1 )血管新生阻害薬に伴う出血15,16)
・ 種々の血管新生阻害薬の有効性が明らかになり卵巣癌,子宮癌でも用いられているが,その副作用の1 つとして出血が挙げられる.
・ 機序としては内皮細胞再生能力低下・アポトーシス誘導→血管脆弱化,細胞外基質の減少,血小板機能低下などが挙げられている.
・ リスク因子としては扁平上皮がん,血痰,食道静脈瘤などが挙げられている.
2 )免疫関連有害事象
・ PD- 1,PD-L1 などを阻害する免疫チェックポイント治療の有効性が明らかになっている.
・ 頻度は低いが劇症Ⅰ型糖尿病,副腎不全,心筋炎,脳炎(表31)などオンコロジーエマージェンシーとして対応が必要な有害事象が生じている.
●薬剤による、全身性のむくみ
抗がん剤治療の中でも、「タキサン系」の抗がん剤を使用するとむくみが起きやすいとされています。タキサン系の抗がん剤でもドセタキセルは「微小管阻害薬」に分類されており、比較的使用頻度の高いものです。これが細胞の中の微小管の働きを抑える際に、毛細血管の壁にすき間ができることで、結果としてむくみを生み出してしまうことになります。
急性高山病の予防および治療にデキサメタゾンの使用が推奨される(推奨度2)。高所肺水腫の予防 ..
・ 臨床腫瘍学会がん免疫療法ガイドライン17),ASCO ガイドライン18),各製薬会社の適正使用ガイドなどを参考にして,各施設での治療方針を決定する必要がある.
・ がん研ではTEAM IT(immunotherapy)として多診療科,多職種で検討してマニュアルを作成し,対応,治療方針を検討している(表32).
浮腫のある方の体は、部分的に締め付けないよう、ゆったりとした衣服・下着を着用しましょう。
下肢に浮腫がある場合、あぐらや正座など下肢を屈曲する姿勢は避けましょう。長時間の立ち仕事や脚を下ろした状態の姿勢も浮腫を悪化させる原因となるので、こまめに休憩をとりましょう。
腕に浮腫がある場合は、長時間にわたって重いものを持たないようにしましょう。また、浮腫のある方の腕に負担をかけないよう、かばんや荷物は反対側の腕で持つか、あるいは重さを左右均等に分散できるリュックサックなどを利用しましょう。ただし、出来るだけ荷物は軽くして、肩に当たるベルトの位置は時々ずらすようにしましょう。
欧米ではドセタキセル(DOC)による過敏症や浮腫を軽減する目的で、投与前日からデキサメタゾン(DEX) ..
3 )低ナトリウム血症
①病態,症状
・ ほとんどの場合異常な水の貯留が主因で,過量の水分の投与が加わる場合も多い.異常な水分貯留は抗利尿ホルモン(ADH)の異常な分泌による.
・ 主に脳浮腫による精神神経症状がみられるが,重症度および進行速度による.一般的に115 mEq/L 以下になると意識障害,痙攣の危険性が高まる.
②鑑別診断
・ ADH 分泌異常の原因として,体液量増減の評価が重要である(図31)7).
●手術や放射線治療による、手足のむくみ
がん治療でリンパ節を切除したり、放射線治療を受けたりすることが起因となるむくみが「リンパ浮腫」です。網の目のように全身に張り巡らされたリンパ管では、老廃物や不要タンパク質を運ぶ役割をするリンパ液が流れています。手術などでこれが遮断されると、行き場のないリンパ液が溜まり、むくみが生じてしまいます。このむくみがリンパ浮腫で、乳がんの手術後は脇の下や肘の周囲、婦人科・必尿器科がんでは下腹部、陰部、脚の付け根などに出現しやすいとされています。
浮腫予防のために本薬を投与して神経障害(痙攣,頻呼吸,嗜眠等)があらわれ ..
むくみは「浮腫(ふしゅ)」とよばれ、身体の水分などが皮膚の下の皮下組織に余分に溜まることで起きます。むくみが起きる原因は大きく分けて3つあります。ここでは、それぞれの原因と対処方法について見ていきたいと思います。
全身療法として,浮腫の軽減と予防,正常組織障害の軽減を目的に,禁忌でなければ ..
「いつも履いているズボンがきつい」「指輪や腕時計が通らない」など、抗がん剤を始めてから手足や顔がむくんでつらい、と感じている方もいるのではないでしょうか。むくみはその原因と対処法を知ることで、悪化させないことができます。今回はむくみの原因と対処法とともに、軽減が期待できるセルフケアについて詳しく解説します。
マウスのブラジキニンによる足蹠浮腫に対し、デキサメタゾン 0.15、0.5、1.5mg/kg 皮下注射の浮腫 ..
リンパ浮腫の対処には、医学的な側面から「用手的リンパドレナージ、圧迫療法、運動療法」を取り入れてアプローチしていくことが効果的とされています。リンパドレナージとは、足または手の先端など身体の末端部分から中心部の心臓に向けて行うマッサージです。それに加えて医療用の弾性ストッキングなどを用いた「圧迫療法」や、リンパ系を活発に動かすための関節の運動。またストレッチなどの「運動療法」で筋力強化をし、むくみの原因となっている箇所のリンパの動きを活性化します。
*10: 浮腫予防に推奨します。 プロイメンド点滴静注用150mg:13,346円
浮腫は、がん治療を受ける患者さんすべてに起こるわけではありません。薬剤性の浮腫や低タンパクによる浮腫は数ヶ月で治る方も多くいらっしゃいます。
術後に生じたリンパ浮腫でも、自覚症状のない軽度の場合は自然に改善する方も少なくありません。
リンパ浮腫を疑った場合は重症化しないよう、また重篤な皮膚感染(※1 など)を起こさないよう注意して過ごしましょう。
浮腫 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 繰り返し点滴すことにより顔や足に浮腫が起こることがある。(ドセタキセル)
リンパ浮腫治療でのマッサージは、肩こりなどのマッサージとは異なり、リンパ液を皮下から排液するという意味の「リンパドレナージ」と呼ばれます。エステなどの美容目的で行う、いわゆる「リンパマッサージ」とも異なるので注意してください。やり方を間違うと症状を悪化させて逆効果になりますので、リンパ浮腫外来などで医療従事者の指導のもと、正しい方法で行うようにしましょう。
◇ TC療法による過敏症状、浮腫、皮膚障害の予防のため、デカドロ
注1: 英語表記は本邦未承認。
注 2: 「 ※」は海外のガイドラインには記載がないが,わが国では使用可能な薬剤。
注3: 下線付きの薬剤は30 年以上前に開発された薬剤(アムルビシン,ネダプラチン,ピラルビシンを除く)。 (3)注射抗がん薬における催吐性リスクに応じた制吐薬の選択 がん薬物療法における基本的な制吐薬として,NK1受容体拮抗薬,5-HT3受容体拮抗薬,デキサメタゾンの3 剤があり,これらを催吐性リスクによって使い分けていく(→,,制吐療法アルゴリズム,制吐薬治療のダイアグラム)。最近のQI 調査においては,催吐性リスクに応じた適切な制吐療法をどの程度行っているか,それを確実に行う体制が整備されているかが評価項目となっており,施設全体の取り組みであるという認識が必要である。 5-HT3受容体拮抗薬は,第1 世代,第2 世代と多くの種類があるが, 最大限の制吐効果を得るために最新の高価な薬剤を使っても有効性の優劣が明確でない場合もある。抗がん薬の催吐性リスクだけでなく, どの化学療法レジメンで, どのような制吐レジメンを用いるかで, 第一世代と第二世代の使い分けが示されており(→), 有効性が同等であればより安価な方を選択し適切に制吐療法を行っていくことが推奨される。 がん患者では,抗がん薬以外にも支持療法や併存症に対する治療薬を併用している場合が多いため,薬物相互作用によるそれぞれの薬効の変化にも留意した選択・用量調節が必要である(→)。 (4)経口抗がん薬における催吐性リスク評価と制吐療法 経口抗がん薬における催吐性リスクについては,MASCC/ESMO ガイドライン2016 を参考に作成委員会内でコンセンサスを確認し, それ以外の薬剤については承認申請時のデータ,代表的な臨床試験の報告をもって に示すリスク分類とした。わが国で使用頻度の高いテガフール・ギメラシル・オテラシル(S-1)では,悪心の発現頻度は3~54%,Grade 3/4 は0.2~7.1%,嘔吐の発現頻度は14~28%,Grade 3/4 は1.2~4.3%と報告されており,軽度リスクに分類した。トリフルリジン・チピラシル(TAS-102)は悪心と嘔吐の発現頻度がそれぞれ48%,28%であることから中等度リスクに,アレクチニブは悪心の発現頻度が13%であり軽度リスクに分類した(→)。レンバチニブでは悪心の発現頻度が41%, Grade 3 が2.3%であり, 中等度リスクに分類した。 注1: 英語表記は本邦未承認。
注 2: 「 ※」は海外のガイドラインには記載がないが,わが国では使用可能な薬剤。 (5)制吐療法の評価 現在, 抗がん薬の副作用である悪心・嘔吐の評価方法としては, CTCAE (Common Terminology Criteria for Adverse Event) v4.0-JCOG が用いられているが,これは制吐療法の評価方法ではない(→)。従来のわが国の制吐療法における臨床試験では,悪心・嘔吐が「ない」,「我慢できる」から,「ほとんど食べられない」といったチェック項目を患者に提示して個々の治療効果を示してもらうなどの方法がとられていた。最近の臨床試験では,がん薬物療法施行後0~120 時間の完全制御割合,0~24 時間の完全制御割合(急性),24~120 時間の完全制御割合(遅発性)などが評価項目として用いられている()。しかし,医療者は過小評価の傾向が指摘されており,悪心・嘔吐の予測がどの程度できているかの評価も重要である。また, 患者自身による主観評価にあたる Patient-Reported Outcome (PRO) の重要性も認識されてきており, がん臨床試験における患者の自己評価に基づき, 有害事象評価の正確性と高い精度のグレーディングを追及したツールとしてPRO-CTCAEが公開されてきており(), 日常診療として客観的評価とどのようにして関連づけて評価していくか等に関する検討が必要になるであろう。 1) 佐伯俊昭.制吐薬適正使用ガイドラインに関するアンケート調査.癌と化療.2015; 42: 305-11. 2) 渡部智貴,半田智子,加藤裕久.日本国内の臨床試験に基づく抗がん剤の催吐性リスク分類.癌と化療.2015; 42: 335-41. 3) 有害事象共通用語規準v4.0日本語訳JCOG版(CTCAE v4.0 - JCOG)
(accessed January 18, 2018) 4) Tamura K, Aiba K, Saeki T, et al. Testing the effectiveness of antiemetic guidelines: results of a prospective registry by the CINV Study Group of Japan. Int J Clin Oncol. 2015; 20: 855-65. 5) PRO-CTCAE™ 日本語版.
(accessed January 18, 2018) 6) Yana T, Negoro S, Takada M, et al. PhaseⅡ study of amrubicin in previously untreated patients with extensive-disease small cell lung cancer: West Japan Thoracic Oncology Group(WJTOG)study. Invest New Drugs. 2007; 25: 253-8. 7) Kimura K, Yamada K, Uzuka Y, et al. PhaseⅠ study of N4-behenoyl-1-1-beta-d-arabinofuranosylcytosine and its phaseⅡ study in adult acute leukemia. Current chemotherapy and immunotherapy. Proceedings. 12th International Congress of Chemotherapy, pp 1306-8, 1982. 8) 太田和夫.ネダプラチン(Nedaplatin)について.癌と化療.1996; 23: 79-87. 9) 塚越茂.Pirarubicin(THP-Adriamycin)について.癌と化療.1998; 15: 2819-27. 10) Fujiyama S, Shibata J, Maeda S, et al. Phase I clinical study of a novel lipophilic platinum complex(SM-11355)in patients with hepatocellular carcinoma refractory to cisplatin/lipiodol. Br J Cancer. 2003; 89: 1614-9. 11) 斉藤達雄.Nitrosourea 系新規抗癌剤ACNU{1-(4-Amino-2-methyl-5-pyrimidanyl)methyl-2-(2-chloroethyl)-3-nitrosourea hydrochloride}のPhaseⅠおよびPhaseⅡStudy.癌と化療.1977; 4: 105-18. 12) 正岡徹,他.造血器腫瘍性疾患におけるMCNU の臨床第Ⅱ 相試験.Chemotherapy.1985; 33: 271-8. 13) 木村禧代二.共同研究によるVidesine sulfate の固形腫瘍に対するPhaseⅡStudy.癌と化療.1983; 10: 2036-42. 14) 犬山征夫.ペプレオマイシン.癌と化療.1980; 7: 1498-504. 15) Schlumberger M, Tahara M, Wirth LJ, et al. Lenvatinib versus placebo in radioiode-refractory thyroid cancer. N Engl J Med. 2015 ; 372: 621-30. 16) Seto T, Kiura K, Nishio M, et al. CH5424802(RO5424802)for patients with LK-rearranged advanced non-small-cell lung cancer(AF-001JP study): a single-arm, open-label, phase 1-2 study. Lancet Oncol. 2013; 14: 590-8. 17) Vidula N, Rugo HS. Cycline-dependent linase 4/6 inhibitors for the treatment of breast cancer: a review of preclinical and clinical data. Clin Breast Cancer. 2016; 16: 8-17. 18) Goss G, Tsai CM, Shepherd FA, et al. Osimertinb for pretreated EGFR Thr790Met-positive advanced non-small-cell lung cancer (AURA2): a multicenter, open-label, single-arm, phase 2 study. Lancet Oncol. 2016 ; 17 : 1643-52. 19) Kantarjian HM, Shah NP, Cortes JE, et al. Dasatinib in newly diagnosed chronic-phase chronic myeloid leukemia: 2-year follow-up from a randomized phase 3 trial (DASISION). Blood. 2012; 119: 1123-29 20) Flaherty KT, Robert C, Hersy P, et al. Improved survival with MEK inhibitor in BRAF-mutated melanoma. N Engl J Med. 2012 ; 367: 107-14. 21) Dummer R, Duvic M, Scarisbrick J, et al. Final results of multicenter phase II Study of the purine nucleoside phosphorylase (PNP) inhibitor forodesine in patients with advanced cutaneous t-cell lymphomas (CTCL) (Mydosis fungoides and Sé zary syndrome). Ann of Oncol . 2014 ; 1807-12.
*10: 浮腫予防に推奨します。 プロイメンド点滴静注用150mg:13,978円
2 )腫瘍崩壊症候群(TLS:tumor lysis syndrome)
①病態,症状,頻度
・ 腫瘍が急激に崩壊するため細胞内物質が血液中に大量に放出され,生命にかかわる危険な状態を来す.
・ 化学療法が多いが,放射線療法,ホルモン療法,分子標的療法,免疫療法でも起こり,分子標的・免疫療法では遅く発現することがある.
・ 高尿酸血症による腎不全,高カリウム血症による心不整脈,高リン血症,低カルシウム血症による筋痙攣,テタニー,心不整脈が問題になる.
・ 婦人科がんでの頻度は低いが,各腫瘍において,症例報告がある5).
②治療
・ 治療開始前にリスクの高い患者(表28)を認識し,予防することが重要である(表29).
・ 可能であれば治療開始前 24~48 時間から十分な輸液を開始し,十分な利尿をつける.尿アルカリ化により尿酸は溶けやすくなるが,ヒポキサンチン,カルシウムは析出しやすくなるため推奨されない.
・ アロプリノール,フェブキソスタット:リスクのある間はアロプリノール300~900㎎ /day あるいはフェブキソスタット600㎎を経口で投与する.比較試験での尿酸低下はアロプリノール200~600㎎ /day<フェブキソスタット120㎎ /day,アロプリノール300㎎ /day=フェブキソスタット 60㎎ /day と考えられる.
・ 治療開始後数日は毎日電解質,尿酸をチェックする.カリウム,カルシウム異常のある場合は心電図モニターを行うとともに輸液で補正する.
・ 腎不全出現時は早めに透析を行い,電解質を補正する.
・ ラスブリカーゼ: 尿酸代謝酵素,アロプリノールよりも急速かつ著明に尿酸値を低下させ,またキサンチンを増加させないので尿アルカリ化不要という利点がある.0.2㎎ /㎏ /day for 3-7 days(day 0 or day1-)を投与する.副作用として頭痛,発疹,アナフィラキシー(1%以下)が挙げられる.
✓ 浮腫の発症は毛細血管漏出症候群によるもので、発症後はデキサメタゾンの投与で対応。 ..
現在, 抗がん薬の副作用である悪心・嘔吐の評価方法としては, CTCAE (Common Terminology Criteria for Adverse Event) v4.0-JCOG が用いられているが,これは制吐療法の評価方法ではない(→)。従来のわが国の制吐療法における臨床試験では,悪心・嘔吐が「ない」,「我慢できる」から,「ほとんど食べられない」といったチェック項目を患者に提示して個々の治療効果を示してもらうなどの方法がとられていた。最近の臨床試験では,がん薬物療法施行後0~120 時間の完全制御割合,0~24 時間の完全制御割合(急性),24~120 時間の完全制御割合(遅発性)などが評価項目として用いられている()。しかし,医療者は過小評価の傾向が指摘されており,悪心・嘔吐の予測がどの程度できているかの評価も重要である。また, 患者自身による主観評価にあたる Patient-Reported Outcome (PRO) の重要性も認識されてきており, がん臨床試験における患者の自己評価に基づき, 有害事象評価の正確性と高い精度のグレーディングを追及したツールとしてPRO-CTCAEが公開されてきており(), 日常診療として客観的評価とどのようにして関連づけて評価していくか等に関する検討が必要になるであろう。