肺MAC症に対しては、長期間の抗菌薬療法を中心とした治療を行います。 · クラリスロマイシン · リファンピシン · エタンブトール.


肺MAC症は、MAC菌という結核菌によく似た細菌の感染によって起こる肺の病気。症状はかぜとよく似たせきやたんなど。国内で急増しており、1年間で亡くなる人は1000人以上と推測される。急増の理由として、もともと土や水の中に生息していた菌が屋内で生息することが増えてきたためと考えられている。最近では、中高年の女性など、なりやすい人の傾向もわかってきた。治療や感染予防などについて詳しく伝える。


播種性非結核性抗酸菌 (NTM) 感染症 | 日和見疾患の診断・治療

肺癌と活動性非結核性抗酸菌症に対し癌化学療法と抗酸菌治療の同時加療を行った1例

肺MAC症では、マクロライド系薬(CAM、AZM)、EB、RFPによる3剤治療が、現時点での標準治療であるが、菌の陰性化は十分ではない。キードラッグであるマクロライド系薬の血中濃度が、RFPとの相互作用によって低下してしまう現象が関連している可能性がある。筆者らは、CAMの効果を最大限に発揮させるため、RFPを除いたCAMとEBによる2剤治療の効果の検討を行った。3剤治療に比べて、効果は劣らず、副作用も少なく、CAM耐性菌の出現も認められなかったため、新たな治療戦略としてさらに検討していく必要がある。

クラリスロマイシン耐性肺MAC症に対する新たな治療薬の開発 ..

NTMが環境中に検出されること, および呼吸器検査から検出されるNTMが必ずしも感染の結果によらないことから, 肺NTM症の診断は, 肺結核に比べて困難である。米国胸部疾患学会(ATS)および米国感染症学会(IDSA)のガイドライン3), またわが国の呼吸器病学会非結核抗酸菌症診断ガイドライン()4)によると, 肺NTM症の診断には, 臨床的要件と細菌学的要件をともに満たす必要があり, 極めて煩雑で長時間かかる。肺NTM症の肺X線画像所見や症状は特異的なものがない。結核との鑑別診断は, 感染対策から極めて重要である。そこで, NTM症, 特にMAC症と結核の鑑別を簡便に, かつ迅速に可能にする補助診断法の開発が希求された。一般の検査室では, PCR法や市販のプローブを使用した核酸増幅法による検査で, 結核, MACの同定が可能であり, 陰性の場合はDNA-DNAハイブリダイゼーション(DDH)法(極東)を使用した簡易キットで, 18種類のNTMを同定することが可能である。これらの方法で同定ができない場合は, 特定の研究施設でのみ施行されている検査を実施することにより同定の可能性がある。ただし, 核酸増幅法だけでは検出された菌が感染の起因菌かどうか確定できないことに留意する必要がある()。これに加えて, MACが保有し, BCGを含む結核菌群が保有しない細胞壁構成成分であるglycopeptidelipids(GPL)に対するIgAをEIAで測定する血清診断法(タウンズ)が開発された。わが国における臨床試験では, 本血清診断法の感度は約80%, 特異度は100%であり5), 現在臨床現場で使用可能である。GPLはMACだけではなく, Mycobacterium scrofulaceum, Mycobacterium chelonae, M. abscessus, Mycobacterium fortuitumなどの迅速発育菌にも存在するため, これらの菌による感染症もしくはコンタミネーションとの鑑別は本キットだけでは不可能であることに注意する必要がある。

症例は55歳男性.2004年10月に胸部X線にて右肺尖部に空洞病変を認め,精査にて肺 complex(MAC)症と診断されたが,治療を希望せず経過観察となっていた.2009年7月に労作時呼吸困難が出現,胸部X線にて左胸水を認め,精査にて左上葉原発肺腺癌T2aN0M1a stage IVの診断となった.右肺尖部には肺MAC症による既知の空洞病変も認めた.排菌量が多いことより肺MAC症に対しては2週間のリファンピシン,エタンブトール,クラリスロマイシン,ストレプトマイシンによる治療を先行し,後に肺癌に対してカルボプラチン+ペメトレキセド投与を開始し,両者の病勢制御を得ることができた.現在,抗酸菌症に対する治療を継続しているものの再燃は認めていない.過去に両者合併症例の癌化学療法に言及した報告は少なく,肺MAC症の増加に伴い今後もさらなる検討が必要と考えられた.

肺MAC症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?

非結核性抗酸菌(NTM)は、結核菌と似ている名前ですが、結核と異なり、結核と非結核性抗酸菌症は、経過や胸の画像検査で区別できる場合もありますが、厳密には菌の検査が必要です。非結核性抗酸菌症の診断がつくまでは、人から人に感染する可能性のある結核として対応する場合があります。
肺非結核性抗酸菌(肺NTM)症の原因となる非結核性抗酸菌の頻度は、日本では (マイコバクテリウム・アビウム)と (マイコバクテリウム・イントラセルラー)が約90%です。とは (略してMAC(マック)と呼びます)に含まれます。また、(マイコバクテリウム・カンサシ)が約4%、(マイコバクテリウム・アブセッサス)が約3%です。は、さらに(マッシリエンゼ)と、(アブセッサス)に分類されます。MACによる肺感染症を肺MAC症、による肺感染症を肺アブセッサス症と呼びます。日本では、肺MAC症と肺アブセッサス症が増加してきています。

結核菌以外の抗酸菌が肺に感染して起こる病気です。非結核性抗酸菌は土や水などの環境中にいる菌で、結核菌とは異なり人から人には感染しません。菌の種類は150種類以上ありますが、非結核性肺抗酸菌症の80%がマック菌で、次に多いカンサシ菌が10%です。

肺MAC症の治療には, 下にある3っつの薬を使います. (これは世界共通です)

NTM症の診断基準が, 軽症例の診断を可能にした一方, 治療開始時期は診断とは別に決めるべき問題としたため, 治療開始には, 臨床医の総合的判断に委ねられている。 肺MAC症の2つの病型のうち, 線維空洞型は, 陳旧性肺結核や器質性肺疾患を持つ高齢の男性に好発する。進行性であることが多く, 診断されれば直ちに化学療法の適応であり, 病変が限局していれば外科的に切除することが推奨されている。一方, 小結節・気管支拡張型は, 基礎疾患のない中高齢の女性に好発する。病勢は, 進行を認めないものから進行例まで様々であり, 症状と画像所見に応じて治療開始時期が決定される。

MAC症の治療は, リファンピシン(RFP), エタンブトール(EB), クラリスロマイシン(CAM) の3薬剤による多剤併用療法が標準治療であり, 必要に応じてさらにストレプトマイシン(SM) またはカナマイシン(KM) の併用を行う()6)。CAMは化学療法の中心となる薬剤であり, CAM耐性MAC症の治療は非常に困難となる。CAM単剤投与は数カ月以内にCAM耐性MAC菌が出現することが報告されていることから, 症状が軽微であっても, CAM単剤投与は避けるべきとされる。 治療期間は, 少なくとも排菌陰性化後1年間は継続するべきとされているが, 治療終了後の再燃・再感染は頻繁に認められており, 最適化学療法期間の設定は今後の重大な課題である。


標準治療として、クラリスロマイシン、エタンブトール、リファンピシンの 3 剤併

当院呼吸器内科では、非結核性抗酸菌症の啓発や標準治療の普及などを目指し、地域の医療機関と協力しながら患者さんが安心して治療を受けられる体制の整備を目的として、「非結核性抗酸菌症専門外来」を開設しました。

この NTM 症の中でも肺 Mycobacterium avium complex(MAC)症はしばしば治療困難であり,長期間

近年,世界中で肺非結核性抗酸菌(NTM)症の増加が指摘され,本邦においても2014年の全国アンケート調査により,肺NTM症がすでに塗沫陽性肺結核の罹患率を超えていることが判明した。肺NTM症は病変として非喫煙・痩せ型・中高年の女性に多い結節・気管支拡張(nodular bronchiectatic;NB)型,喫煙・慢性閉塞性肺疾患(COPD)や陳旧性肺結核症などの既存肺疾患をもつ男性に多い線維空洞(fibrocavitary;FC)型に主に分けられる。最近では病型を問わず,空洞の有無が予後不良に重要とする報告もある。肺MAC症の薬物療法の開始時期は定まっていないが,いくつかの治療開始を検討すべき基準が提唱されている。難治化の原因としてクラリスロマイシン(CAM)耐性が知られており,① CAM単剤や② CAM+ニューキノロン系抗菌薬による治療は避けるべきである。
「KEY WORDS」肺MAC症,肺MABC症,クラリスロマイシン耐性肺MAC症,病型,予後

[PDF] マクロライド系抗生物質製剤 日本薬局方 クラリスロマイシン錠

米国のバイオ医薬品企業インスメッドが、難治性の呼吸器疾患である「マイコバクテリウム・アビウムコンプレックスによる肺非結核性抗酸菌症」の治療薬「アリケイス」を発売し、日本市場に進出します。ほかにも、気管支拡張症や肺動脈性肺高血圧症に対する治療薬の開発を進めており、これらを「3本柱」として日本での事業拡大を狙います。

肺MAC症には、線維空洞(FC)型と結節・気管支拡張(NB)型がある。 ..

2011年~2015年:改善しない症状に悩まされる~不信感を抱く
2011年の3月にまた主治医が退職し、後任の医師に変更になりましたが、クラリスロマイシンとL-カルボシステインという投薬内容に変更はありませんでした。その後、自覚症状を伝えても「肺MAC症の悪化ではない。前回とレントゲンに変化はない」と言われるだけでしたので、自分からは特に報告することはしなくなりました。血液検査はするものの、喀痰検査やCT検査も特になく、薬をもらうための通院という感じでした。しかし、単剤投与を再開して4年目の2014年7月、激しい咳こみと痰に悩まされ始めます。受診したところ、細菌感染かもしれないといわれ、スルタミシリントシル酸塩水和物を処方されました。その時は後から、インフルエンザ菌への感染であったことがわかり、投薬の効果で症状が改善しました。しかし最初の健診より10年が経ち、自覚症状は明らかに悪化しているのに診察には進展はなく、主治医への不安が強くなりました。そこで転院を希望したところ、「専門病院に転院したら強い薬を飲んでまた副作用が出ますよ。よく考えたほうがいい」と言われました。そう言われると気持ちが消極的になり、身内の手術などもあり、転院は保留となっていました。

は,リファンピシン,クラリスロマイシン,エタンブトールの3剤が使われる。 Mycobacterium kansasii(M

現在結核は一部の多剤耐性結核を除いて多くが治癒を期待できるようになったのに比較して、非結核性抗酸菌症は治療がまだ確立しておりません。結核と類似した病気のため、抗結核薬を含めた3~4種類の薬を用いて治療を行います。(手術を行う場合もあります)。

(CAM)またはアジスロマイシン(AZM)+エタンブトール ..

非結核性抗酸菌による感染症が、世界的に増加しています。
結核菌の仲間を、抗酸菌(こうさんきん)と呼びますが、結核菌、ライ菌以外の抗酸菌による感染症が非結核性抗酸菌症です。
結核菌との最も大きな違いは、人から人へは感染しないということです。結核菌は人への感染力が強く、痰から菌が検出された場合、結核病棟への入院が必要となりますが、非結核性抗酸菌は人から人へは感染しないため、一般の外来、病棟で治療を行うことが可能です。非結核性抗酸菌は土壌、水、給水システム、家畜の体内など広く環境中に生息する菌です。菌を含む水分や埃の吸入により感染すると推測されていますが、詳細は未だ不明です。現在150種類以上の菌種が発見されており、日本でも20種類以上の菌種で感染症の報告があります。
Mycobacterium avium complex(MAC)による肺MAC症(肺マック症)が非結核性抗酸菌症全体の約80%、次いでMycobacterium kansasii(カンサシ)が約10%を占めます。以前は、陳旧性肺結核症など肺に病気を持つ人に多くみられていましたが、近年、肺に病気のない、免疫力の正常な人の肺MAC症が、特に中高年女性を中心に急増しています。日本の非結核性抗酸菌症の罹患率は、人口10万対0.82(1971年)から急増し、現在、人口10万対6以上と推定されており、これは欧米と比べきわめて高い水準です。

以下は、肺MAC症についてのお話です。

[PDF] ストレプトマイシン硫酸塩 非結核性抗酸菌症の適応追加

以前は、陳旧性肺結核症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺切除後やじん肺、間質性肺炎などの既存の肺疾患を有した男性に多くみられていました。しかし最近では、過去に基礎疾患のない中年以降の女性の増加が顕著で、なぜ女性に多いのかははっきりとはわかっていません。

○リファンピシン(またはリファブチン)+エタンブトール+クラリスロマイシン(+ストレプトマイシンまたはカナマイシン).

2015年:喀血・転院
そうしてC病院でクラリスロマイシン単剤での療養を続けながら過ごしていた2015年8月、初めて喀血をしました。主治医からは「肺MAC症の悪化は見られないので重いものを持った瞬間に気管支に負荷がかかったことにより血管が切れたのだろう」と言われ2週間の安静を指示されました。その年の10月、肺NTM症専門病院の市民講座に参加し、講師の医師に相談したところ「現状の投薬では耐性化の危険がある。今の状態なら投薬する価値があるし、減感作療法で副作用の影響を考慮しながら投薬できる可能性がある」と言われ転院を決意しました。 主治医にその意思を伝えたところ「紹介状を書くのは構わないが専門の先生には怒られると思う。なぜならクラリスロマイシンの単剤投与はやってはいけないといわれているから」と言われて絶句しました。やってはいけないと知っていて単剤投与を長期間していたことを知り、言葉がでませんでした。勝手に大学病院を辞めたことは誤りだったことにこの時、気が付きました。

肺MAC症に究極の治療法が誕生 | Medical Tribune

画像的には、線維(せんい)空洞型(空洞;肺に穴があく)と結節(けっせつ)・気管支拡張型に大きく分類されます。MACが肺に定着して感染を起こし空洞を作るのが線維(せんい)空洞型で肺結核類似の上葉の空洞を主病変とする病型です。これに対して結節や気管支拡張病変を作るのが結節(けっせつ)・気管支拡張型で肺MAC症のCT所見で観察される頻度が高いのは、中葉(ちゅうよう)舌(ぜっ)区(く)を主体とする末梢(まっしょう)肺(はい)の小結節(しょうけっせつ)と気管支拡張です。現在、肺MAC症の多くの症例(8~9割)は、結節・気管支拡張型です。

[PDF] 肺MAC症に対するエリスロマイシン(EM)少量長期投与の臨床

このQ&Aは2013年10月26日開かれた第1回肺非結核性抗酸菌症公開市民講座に患者さん代表で話されたIさんの依頼で出来ました。Iさんは, 最近肺MAC症のことはインターネットにも比較的沢山見られるようになりましたが、 断片的であったり、 信頼できるものかどうか不明な情報も数多いと不満を感じており、沢山のQuestionを寄せられました。
もちろん判らないことがまだたくさんある病気なので断言出来ないことが色々ありますし、これからも内容を更新していきたいと思っています。
病気総論(全体像をおおまかにつかむ)

【背景/目的】1997 年の ATS ガイドラインが示して以来、肺

intracellulareという別々の菌種であるものを、これら2つの菌種の性質が非常によく似ていることから、まとめて“”と呼んでいます。近年、我が国では感染症が急激に増加しており、2007年には推定罹患率が10万人あたり5.7人であったものが、2014年には10万人あたり14.7人となっています1)。単純に日本の総人口で換算すると、年間18000人以上罹患していると推定されることになります。特に、中高年の女性を中心とした肺症の増加が目立っています。は、土壌、池や沼などの水系、トリやブタなどの動物といった自然環境や、浴室内や水道水などの居住環境に生息し、主な感染源として、家庭内の水回り(お風呂場、シャワーヘッドなど)や農業やガーデニングなどの際の土壌が強く疑われています。一方、結核の様なヒトからヒトへの感染はおこらないと考えられています。はヒトに対して、主に肺感染症を引き起こし、咳、痰、血痰などの呼吸器症状や、微熱、全身倦怠感、体重減少などの全身症状が現れます。しかし、症状がなく健康診断などで偶然にに罹患している事が見つかる場合も多くあります。また、稀にリンパ節炎、胸膜炎、骨髄炎や皮膚疾患などを引き起こす場合もあります。感染症は、従来、既に肺疾患を有する人に感染するいわゆる二次感染型での感染が多いと言われていました。しかし近年では、基礎疾患や喫煙歴のない人に感染するいわゆる一次感染型の患者が、中高年女性を中心に急増しています。また、HIV感染者やその他の易感染性宿主では、に感染し易くなります。現在までのところ、の感染を予防する方法は、確立していません。その理由として感染経路や感染の原因が明らかになっていないことが挙げられます。ただし、ガーデニング・農作業などの際や、水仕事をする際には、マスクを着用することを心がけることや、菌が生息しやすい家庭の水回り(お風呂場やシャワーヘッドなど)をこまめに掃除し清潔に保つことで、ある程度、感染を防ぐことができると考えます。症の治療は、治療効果を高めることと多剤耐性菌の出現を抑えることを目的として、リファンピシン、エタンブトール、クラリスロマイシンの多剤併用療法が原則であり、必要に応じてストレプトマイシンやカナマイシン、またはアミカシンをさらに併用することとなっています2)。しかし、症は、このような治療を行ったとしても、(1) 菌の増殖速度が遅いため抗菌薬の効果が得られにくい、(2) 菌株ごとに薬剤感受性が異なり薬剤耐性菌も存在する、(3) 多クローン性の感染をしている、などの理由で治療に難渋することが多くあります。さらに、多くの場合、(1) 病状の進行が非常にゆるやかであること、(2) 治療期間が長期間となること、(3) 長期内服治療により副作用が出現しやすいこと、(4) 再感染や再発が認められることから、いつ化学療法を開始するのか、いつまで治療を続けるのかについて、現在の指針では治療期間は菌陰性化注1)後最低12か月間となっているものの、十分な根拠に基づいたものではなく、明確な基準はありません2,3)。長期的な投薬治療を必要とし、治療に難渋することも多い抗酸菌に対して、既存のものよりも強力で副作用の少ない新しい抗菌薬の開発が望まれています。しかし、抗菌薬の開発は一筋縄ではいきません。そのような状況においては、既存の抗菌薬による治療に何らかの免疫修飾剤注2)を併用して、宿主の免疫能を増強、または組織傷害を引き起こしてしまう過度の炎症反応を制御することにより、抗菌薬の治療効果の向上をねらう「免疫補助療法」も有望な方法であると考えられます4)。抗酸菌は細胞内寄生性の細菌であり、感染防御にはマクロファージ注3)をはじめ好中球注4)、1型ヘルパーT(Th1)細胞注5)などが働く細胞性免疫が重要な役割を担っています。筆者らは、マウスを用いた感染実験において、の感染により特徴的な形質を備えたマクロファージが誘導され、さらにそのマクロファージにより17型ヘルパーT(Th17)細胞の分化が増強されることを報告しました5)。Th17細胞は、炎症反応を引き起こし、病原体の殺菌に働くとともに、組織傷害を強く誘導するという二つの側面を持ちます。このTh17細胞を適切に制御できれば、感染宿主の殺菌力を高めることや、病状の悪化を防ぐことができる可能性があります。また筆者らは、生体内に豊富に存在するadenosine 5’-triphosphate (ATP)が、そのFeイオンキレート作用によりをはじめとする病原菌の増殖を抑制することを報告しました6)。今後、有効な免疫補助療法の開発に向けて、このような研究がさらに発展することが期待されます。

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【参考資料・文献】1) Namkoong H .